『アマゾニアにおける市民権の生態学的動態』 後藤 健志 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『アマゾニアにおける市民権の生態学的動態』  後藤 健志


ブラジルの法定アマゾニアの南端マト・グロッソ州における、植民者の私的所有権に対する都市住民の土地なし運動を通じて市民権を考える研究書。

植民という実態をともなった軍政・民政期におけるアマゾニア植民の領域統治をめぐる立法・政策体制形成の法制史的過程、土地なし運動(MST)グループのキャンプにおける非公式な入植者の所有地作製の形成、発展、消滅を辿り、公式な入植地における土地利用を、入植者の住民連合、運動、農地の私有化、入植者の流動性、そして大豆耕作者の参入などによる変容を含めて検証し、同州北部のノルタゥンでの事例実査を通じて入植地の発展軌道を報告している。

零細な植民者が土地を占有することにより市民権の根底をなす権利概念として発展を遂げた「占有」の行使の過程を生態学的動態として把握しようとした試みで、著者は人類学・科学技術社会論を専攻する若手研究者。

〔桜井 敏浩〕

(明石書店 2021年3月 320頁 5,400円+税 ISBN978-4-7503-5160-5 )
 〔『ラテンアメリカ時報』 2021年秋号(No.1436)より〕