連載パナマ・レポート18: ルベン・ロドリゲス 2021年 10月分 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載パナマ・レポート18: ルベン・ロドリゲス 2021年 10月分


連載パナマ・レポート18: ルベン・ロドリゲス 2021年 10月分

執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(北海道大学法学研究科助教・パナマ共和国弁護士)

I. 新型コロナウイルスの現状

 10月26日時点で、パナマにおける新型コロナ・ウィルスの感染者は471,884人、死亡者は7,314人、回復者は462,287人と確認された。パナマ政府は、1月中旬から接種計画を継続した結果、10月24日時点、ワクチンの約577万5千回分(ファイザー産500万回分、アストラゼネカ産75万2千回分)が提供され、接種率は人口の77%に至ったと発表した。また、10月18日から24日の間にトクメン国際空港からの入国者感染数は一名のみ、10月24日には新死亡者は確認されなかった。さらに、10月下旬から、55歳以上の者、ハイリスク患者、医療従事者に、ファイザーワクチンの追加接種が行われている。保健省は、パナマ医師会に対してメディアで科学的な根拠なきワクチン副反応についてデマを流した医者の処分を求めている。

汎アメリカ保健機構のデータによれば、パナマはラテンアメリカにおける最もワクチン接種を実施している国と指摘されている。10月13日に、政府は、他のラテンアメリカとカリブ海の国に配布されるように、汎アメリカ保健機構にアストラゼネカワクチンの約24万4千回分を寄付した。

Ⅱ.政府

A.選挙法改正の部分拒否

コルティソ大統領は、国会が10月15日に可決した選挙法改正の一部を拒否した。選挙裁判所、国民、大学、および民間企業が政府の透明性に違反する改正と無所属候補への制限を批判し、選挙法改正の完全な拒否を求めたが、コルティソ大統領は、未払い罰金の免除に関する条文のみを拒否した。国会は、大統領の拒否を受け、改めて10月21日に改正を可決し、22日に発布されたが、様々な機関が改正に対する違憲審査の手続きを行うことが分かった。

B.医療大麻に関する法律

10月13日に、医療大麻に関する法律が成立した。法律は、医療目的のため大麻の葉や種の輸入、出入、栽培、処理、検査、取得、保管、運送、販売、および利用を規定する。さらに、医療大麻の研究および利用についての全国プログラムが設立された。パナマは中米において医療大麻に規定する最初の国となった。保健省は、法律についての規則を作成する予定とされているが、10月15日時点では、国立病院の取扱は未定で、七つの民間企業が医療大麻の取引を申請している。

C. パナマ運河のカーボンニュートラル

 パナマ運河局は、2030年までにカーボンニュートラルを達成するためのロードマップを公開した。カーボンニュートラル計画は、2021年4月に発表され、再生可能なエネルギー、デジタル化、および設備の交換に約53億ドルの投資をする予定とされている。バスケス(Vásquez)局長は、通航料金の値上げによってカーボンニュートラルを充当すると述べ、10月上旬から様々な運送会社の意見を求めている。

Ⅲ.経済

A.経済状況

人材派遣・人材紹介のマンパワーグループの調査によると、対面で取引を行う企業と社員250人以上の企業で、人材が不足している。特に、物流、事務所管理、製造、カスタマーサービスは最も影響を受けている。新型コロナウィルスによって失業率は18%を超え、パンデミック前の民間企業社員の37%が解雇され、33%の労働契約が停止され、そして、残りの30%のみが労働を継続した。10月14日時点では、停止された契約の18%は回復している。労働局は、11月1日に民間企業がすべての労働契約を回復する義務があると発表したが、ホテル業界は、2022年2月までの延長を求めている。

 2004年に決定したパナマ運河の拡張によって、建設業界の労働者が増加したが、その他の専門職を目指す若者が減った。2010年以降、政府の教育に対する充当は150億ドルを超えているにもかかわらず、高校を卒業する者は30%に過ぎない。2004年から2009年の間、30歳未満が新規雇用の1/4だったが、2019年には1/27となった。また、2019年時点では仕事も勉強もしない若者(ニニ:ni estudia, ni trabaja) は約26万人であったが、2021年8月時点では40万人に増加した。

 また、2010年から2015年の間、所得税や国民健康保険料を納付しないインフォーマル部門の労働者は12%から74%まで上がり、国民年金の悪化に影響を与えている。マンパワーグループの調査によれば、民間企業は、社員数が変わらない企業は74%、新社員を雇う予定の企業は9%、社員を解雇する予定の企業が9%であると分かった。会計検査院は、2021年1月から8月の間、回復した契約に、約14万の新規雇用契約が結ばれたと発表した。さらに、商工農会議所は2021年経済の約14%成長を予測している。

B.国際線の復帰

2020年10月に再開したトクメン国際空港国際線の利用者は、約700万人でパンデミック前の53%に戻ったことが分かった。さらに、2021年10月12日時点で、89の国際線の中から、66線、そして38の目的国の中から31か国の便が再開している。政府は、10月1日からパナマに訪問する観光客にアストラゼネカ産のワクチンを提供する計画Vacutur-Panamáを発表し、これによって観光業界に125,000,000ドルの利益、および100,000人の雇用が予測されている。 

IV.外交

パナマ、コスタリカ、ドミニカの協力強化ロードマップ

10月20日に、パナマのコルティソ大統領、コスタリカのケサダ大統領、およびドミニカ共和国のアビナデル大統領はパナマで政治的および経済的な協力を中心とする宣言に署名した。宣言は、ハイチの移民問題、およびニカラグアの政治的な状況に関してアメリカの積極的な協力を要望し、コルティソ大統領は、イギリス・グラスゴーで開催される予定の第26回気候変動枠組条約締約国会議でバイデン大統領との面会を求めていると述べた。

以    上