『南米レストランの料理人 -海を越えて沖縄へ 日系家族のかたいつながり』 漢那 朝子 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『南米レストランの料理人 -海を越えて沖縄へ 日系家族のかたいつながり』  漢那 朝子


 著者は沖縄出身、ベネズエラの彫刻家と結婚して1973~83年の間ベネズエラに滞在しその後帰国、編集プロダクション勤務を経て現在はフリーのエディター・ライター。

 他県にはみられない5年毎に開催される「世界のウチナーンチュ大会」に見られるように、広島県に次いで多い沖縄からの海外移民は実に結束が固い。移住先からいろいろな事情で沖縄に戻った人たちの中には、それぞれの移住先の料理店やフルーツパーラーを営む人たちがいる。彼・彼女等アルゼンチン、ペルー、ブラジルの一~三世の11人にインタビューし、移住の理由、現地での生活と哀楽、南米料理の特徴、チャンプルー、ソーキそばなど沖縄料理を知らしめたいとの思いを聞き出し綴っているが、そこに共通するのは「家族・アイデンティティ・自己主張・働き者・生活力」であった。

 沖縄に戻った南米移民がそれぞれ各国の料理店を沖縄で開き、現在に至るまでの逞しく生きる家族の姿を、取材先から提供された昔の写真も交えて、生き生きと親近感をもって描いたルポルタージュ。

〔桜井 敏浩〕

(ボーダーインク 2021年12月 304頁 2,200円+税 ISBN978-4-9982-417-6 )
〔『ラテンアメリカ時報』 2022年春号(No.1438)より〕