執筆者:ピーター藤尾(在チリ・サンティアゴ)
今月から、チリ在住のピーター藤尾さんが毎週発信されている「チリの風」を月ごとにまとめて転載させていただくことになりました。
この週末、サンティアゴの最高気温は23、24度で秋の気配です。朝早く外を走ると指先が冷たく感じます。
昨年から眼科に通っていますが、今週、指示された目の検査に行くと、係の人が日系3世でした。彼女は私にどこの出身ですかと聞いてきました。神戸と答えると、私の祖母と同じところですと大喜び。おばあちゃんは終戦後、日本では将来がないと南米を目指した移民家族の子供さんでしょう。私と違って、命を懸けた移民の旅だったでしょうね。山歩きは、先週見つけた新しいルートを一人で歩き始めました。もうその山系は40年以上歩いていますが、まだ知らないルートが見つかるわけです。楽しい。マラソン練習で、週日10キロを走りましたが、今年の新記録がでました。にっこり。もちろん日曜日は仲間と一緒に走りました。そのうちの一人は来月のサンティアゴマラソンでフルを走るので気合が入っています。私も昔はそれに参加していたのですが。土曜日に今年度の第1回サッカー教室がありました。大人・子供で20名弱。いつものように楽しく練習しました。また娘の所に行って話し合いをしました。彼女の人生の新計画が楽しみです。いつものように今週も幸せな毎日でした。
1)ボリッチ動向
アルゼンチン訪問
最初は飛行場に到着した時、そして飛行機の中で記者団に囲まれ話をするのがニュースになりました。向こうについてフェルナンデス大統領と政治・経済・文化などの話し合いをしたのも大きく報道されました。現地の経営者との集まりもありました。これが将来の両国の関係にどう影響するかな?
戻ってきてチリ社会の安定化について新政策を発表しました。しかし彼にとって頭の痛いのは内務大臣問題です。
2)内務大臣
新内閣開始でまだ1か月もしませんが、内務大臣は3つの大問題を抱えました。マプチェ問題で、ピニェラを批判し、彼の4年間の政権で同地区の犯罪は4倍になっている。従って彼と同じような軍隊を出して力で抑えると言う方針はとらないとし、現地でマプチェと面談するとしましたが、同地区を訪問した時、銃弾で脅され、全く話し合いは無しに終わりました。そしてマプチェ問題をウオルマプとしました。それは国境を挟んでチリ・アルゼンチンに住むマプチェ族を表すので、アルゼンチンから国内干渉をしないようにと苦情が出ることになり謝りました。
最後は不法移民問題です。彼らを国外追放にした飛行機が、彼らをその国に降ろさないで(入国を禁止されたのか?)またチリまで連れて帰ったと、ピニェラ政権を批判しました。しかしそれは嘘の情報だったとバレて、謝りました。このエラーはひどいので彼女を罷免すべしとするコメントが出ています。ボリッチは帰国後、彼女と面談し、その後、彼女を支持するとしました。
隣のペルーで、内閣が頻繁に入れ替わっていますが、チリもそんなことになるのかな?新聞の社説に、これは彼女一人の問題ではなく、たった1か月で新内閣の疲労が表立っているのではとされました。これに関しては問題点(もしくは課題点)として先ず、大使の任命問題が出ています。ボリッチは大統領候補の時、「大使はそれまでの政治的経験を考慮して任命したい。何かの褒美でその職を与えることはしない」とコメントしていますが、先月の彼の任命した大使は、全く逆ですね。社会党や共産党の関係者を大使にしています。2番目は厚生年金の引き出し。これも大きく彼の見解が変わりました。3番目はマプチェ問題。ピニェラを批判していたが、新政策を全く実施できず、問題が悪くなっています。4番目は警察軍との関係。批判と協調が入れ替わり。5番目は教育問題、そしてコロナ対策問題。つまりピニェラ政権を批判していたのに、自分たちが政権を取っても何も新しいことを実施していないと言うわけです。もちろん、何もできないので疲労するなら、この先、新政権への世論の批判は厳しくなりますね。
3)新憲法委員会
3社の世論調査で、全部が9月4日の新憲法可否の投票でノーが勝つだろうと発表し、問題になっています。ラゴス元大統領は新憲法を成立させるための努力をすぐに始めるべしとしました。まだ新憲法は完成していませんが、委員会のイメージがパッとしないのは事実です。
4)厚生年金積立金の引き出し
5回目の引き出しを国会で審議中。いつまでこんなアホなことをするのか不可解。ボリッチは議員の時は引き出しに賛成しましたが、この引き出しがあれば、チリ経済に悪影響すると、現在は反対の立場です。
1) 経済政策
政府は国民援助として下記の政策を発表しました。チリを安定的に成長させるため、37億ドルの費用をかけ21の項目で経済発展を図るとしています。例えば、次の2年間で50万人の新規雇用を創出し失業率の低下を図る。ガソリンや灯油の値上げを抑える。反インフレとしてバスなどの公共運送費を30ペソ上げることになっていたのを政府の支出で抑え、現状価格を維持する。IFEの低賃金労働者への援助を9月まで継続するなどです。最後のIFE(緊急家族収入案の略です)はピニェラが自分の政権が終わる3月以降も継続するとしたのを余計なことだとクレームしましたが、結局はピニェラ式の継続を認めました。
2) 輸出の伸び
1-3月の輸出は249億ドルで過去8年間の最高でした。輸出の半分近くを占める銅の価格が急上昇ですから、輸出額が伸びるのは当然ですね。これは年内続きそうです。
3) 物価上昇率IPC
何と3月は1.9%の上昇で、過去12ヵ月では9.4%。これは1993年以来の28年ぶりの酷い数字。中央銀行の公定歩合をさらに上げる必要があると言われています。キリスト教民主党DCは食品についている消費税を外すか、減少してほしいと政府に要求しています、
4) 銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.71ドルと4.7の壁を越えました。チリ政府にとって最高のニュースですね。それでペソは対ドルで強くなるとみられましたが、消費者物価指数がひどくなったのでドルが息を吹き返し1ドル817ペソになりました。
5) 果物輸出
毎年、果物の輸出量が増えています。さて先月、ウニフルッチ社がアブダビの会社に買収されました。これで大手10社のうち、半数が外国資本で動いています。一番生産量が多いのはサクランボです。昨年の国別輸出先は1位がアメリカ41%、2位が中国20%、3位はオランダ8%でした。さぁ外国資本が参入してくると言うこの傾向はこれからも続くかな?
1) コロナ問題
低め安定です。新規患者数は5千人を割った所で落ち着いています、今日、日曜日は新規感染者数が3,057人でした。新規陽性率も4.7%。これは94日ぶりの低い数字。そのため、患者数も減少してきて、救急病棟などの余裕もかなりはっきりしています。来週後半から、道路・公園などでは、マスクなしに歩けることになりました。5月1日からすべての国境がオープンになります。チリ政府はコロナが終焉すると見込んでいるのですね。本当にこのまま収まるかな?
2) マプチェ
先年、マプチェグループに焼殺されたルーシンゲル夫妻の荘園にまた火がつけられました。マプチェの組織CAMが犯行声明を出しています。政権交代後、一向にマプチェの攻撃が収まりません。逆に過激化しているようです。過去3週間で83件の攻撃が記録されています。ビオビオ州で37件、アラウカニア州で46件です。その大半は家屋への攻撃です。昨年は1786件と対前年で46%も上昇し、過去10年間で最悪でしたが、今年はそれと同じような傾向です。
3) 黒崎殺人事件
もう数年前の事ですが、日本人留学生の黒崎さんが、元恋人だったチリ人のセペダにフランスで殺されたとみられる裁判が始まりました。彼は自分は無罪、彼女を殺した事実は全くないと主張しています。でもどうしてフランスの警察は彼女の死体を発見できないのでしょうか???
4) 社会騒乱
3年前の10月に社会騒乱が始まりましたが、その初期に地下鉄の駅を襲う事件が続発。駅に放火して全焼状態になった所も出ましたが、今週、その犯人に判決が出ました。12年の刑でした。政治犯ではないですから、刑務所で反省してほしいです。出てきたら、また同じようなことをするかな? 以上
イースターの祝日が入ってこの週末は3連休でした。40年前はイースターのミサに参加していましたが、カトリックの腐敗でそんな気にならなくなりました。金曜日、サンティアゴの最高気温は16度でしたが、夜になると最低温度は5度まで下がり、今年初めて暖房を使った所が出たらしい。今週も山歩き、マラソン練習、目の検査、娘との食事など先週と同じようなスケジュールが続きましたが、一番、面白かったのは来月帰国する友人が挨拶に訪れてきてくれたことです。彼女は長いチリでの仕事を終え、日本での勤務になります。遠くにいて日本の良さが分かったとコメントがありました。日本でまた頑張ってほしいです。
それから日本の歴史を、侍を中心にしてまとめました。そしてそれをスペイン語にしました。嫁さんに直してもらってからそれを頭に入れます。近くの学校で特別授業としてやらせてもらいたいです。また近くで拾った栗を茹でて、栗ご飯にしました。おいしかったです。いつもと同じく今週も幸せな毎日でした。
1) ボリッチ動向
チリ大学を訪問し挨拶。また首都圏のセロ ナビア区で区民を前に私たちは社会正義のために働いていると演説しました。来週は初めて国内訪問で、北部を訪れます。移民問題で北部地区は厳しい状況ですからね。
就任1か月が経過しましたが、彼を支持するは落ち込んで28%、不支持は上昇して51%です。前のバチェレット、ピニェラと比較すると不支持はトップ、支持は最下位でした。普通、新政権が出ると、4年間の古い政権をどう変えていくか期待感が多いのですが、ボリッチの場合は全く逆ですね。さて新聞に南のマプチェ問題をどう解決するか、軽減させるかがボリッチにとって最大・緊急の問題だろうと言うコメントがあります。それから厚生年金の5回目引き出しに関して、政府案を出しました。今までは野党の左翼が引き出し賛成、与党の右翼が引き出し拒否でしたが、ボリッチはこの引き出しでまたインフレが拡大すると考え反対側に立ちました。しかし与党側の左翼から圧力がかかり、引き出しを認めるが、条件を付けるとしました。例えばローンなどで借金がある人には引き出しを認めるわけです。それが通るかどうかで、彼が与党内を把握しているか、全く抑える力が無いかがはっきりするとされます。明日の月曜日に国会で議決されます。与党議員が政府と対決するなんて今まででは考えられなかったことです。明日はこれで大騒ぎになるでしょうね。
ボリビアのシララ川問題は論議継続で大きな動きはありません。
さてレコレタ区の区長ハドゥエ(先の大統領選挙の時の共産党の候補者)がべネスエラを訪問しました。マドゥロ大統領を入れた会議に出席し、ここの人権問題が国連で論議されたりするが、チリでも同じような政治犯の収容もあるわけでここだけの問題ではないなど、べネスエラ援護の発言をしました。さらに「ボリビアの軍隊を尊敬する。彼らは国を守っている。チリの場合は逆に、軍隊が国を壊している」とコメント。これはアジェンデ政権を壊した軍事革命のことを言っているわけですね。もちろん、チリの中で彼を批判する声も大きいです。
2)内務大臣
約1週間、姿を消していた内務大臣は仕事を始めたようで、私たちは市民のために全力を尽くしますとコメントしました。新聞に彼女について、自分の能力を過大評価しているのかとするコメントがありました。また政府内で彼女と対立するグループがあるとかで、見通しは苦しいですね。
3)新憲法委員会
国会の2院制から上院を廃止することになったようです。しかし地方議会を設置するとか。上院関係者は右翼も左翼もこの委員会案に反対です。国民のほとんどが新憲法委員会の設立に賛成しましたが、ここまできて国民の過半数が委員会を否定です。9月4日の新憲法是非投票は揉めるでしょうね。なんでも現行の国歌・国旗・国の紋章は変更ないとか。
1) 銅価格と為替
1ポンド当たり4.66ドルと先週とほとんど同じ。為替は1ドル805ペソで、まずまずでした。
1) コロナ問題
連日、新規感染者数は3000人ほどで、陽性率も5%ほどと低め安定しています。今週から街を歩くのにマスクが不要になりました。もう2年ほどマスクをつけて歩いていましたから、マスクなしで歩くと不思議な気がします。ただ商店や地下鉄の中では使用の義務は残っています。
2) 社会騒乱
毎週、金曜日の夕方にサンティアゴのバケダーノ広場でデモ隊が集まりますが、今週は連休になったので、一日前の木曜日に集会がありました。道路のバリケードをして車の通行を止めます。近くの地下鉄の駅もそのため全部入り口が閉められ乗客の乗降はできません。3年前にボリッチのグループがそのデモで
騒いでいたわけですが、新政権になっても全く様子は変わりません。デモ隊は何を要求しているのか、政府はそれにどう対応しているのか不思議です。全然、それには関係ありませんが、最近電線泥棒が増えています。銅の値段が上がって、電線も高く売れるとか。もちろん電線を切られると、その地区は停電になります。
3) 黒崎殺人事件
チリでも注目されていましたが、犯人とみられるセペダに28年の実刑が課せられました。日曜日にこの件の特集記事が掲載され2ページにわたって彼の異常な性格が詳細に書かれました。「フランスの裁判所は素晴らしい。チリの裁判所ではそんな刑を科すことはないだろう」と言うコメントが出ました。28年、異国の刑務所に入るのは厳しいでしょうが、もちろん。彼が殺人をしたのは間違いないでしょうから、当然でしょうね。再審を要求するようですが。新しい事実がなければただ時間と金の無駄遣いになるでしょう。彼らが30時間、一緒に過ごした後に黒崎さんが歩いているのが確認されれば無罪になるでしょうが。
4) 交通渋滞
この週末は多くの車が首都圏から外に出てゆき、交通事故のあった南行きの幹線5号線は何と12時間の渋滞になったとか。運転手は動かないと言ってもぐっする眠るわけにはいきませんから、疲労の極みでしょうね。水・食料が無ければ高速道路の中では近くで買い物と言うわけには行きません。公共事業省の大臣が高速道路を設計した時の通行量を大きく越えているから、こうした問題は頻繁に起こる。車の運行量を下げるためには市民に今よりもっとバスや汽車の利用をしていただきたいとしています。
5) 乾燥
サンティアゴは今年未だ1回しか雨が降っていません。13年ぶりの異常乾燥とか。そのため一部の区で断水が始まりました。その内、私の住むところも断水になるかも。厳しいですね。
なんだか夏から一気に晩秋になったようなサンティアゴです。今晩から暖房を使い始めました。昼間も太陽が当たって暖かくなるべランダに座って新聞を読みます。ありがとう。金曜日の深夜、少しですが、やっと雨が降りました。来週はもっと本格的な雨が降ると予想されています。
19日、親父の命日でした。ロウソク・線香をつけて娘がお経をあげました、彼女は般若心経を日本に留学した時に覚えました。彼が亡くなって10年になります。それからコロナ問題が収まってきたので、市内観光をしました。行ったのは歴史博物館、考古学博物館、カトリック大聖堂、新憲法委員会議場、モネダ宮殿、そしてその文化センターです。中に入ったのはその最初と最後の二つですが、どちらも移動証明書の提示が求められました。こうして街の中心部を歩いていると人々の生活が通常化(正常化)しているのが良く分かります。
もちろん、私の生活はいつもの通りです。一人で走った10キロで今年のベストと同じ記録が出ました。週に一度の山歩きはいつもの第1展望台へ。涼しくても少し汗をかきました。それから4月は税金の月で、税務署に家屋税・所得税について質問・相談に行きました。また区役所の中高年援助課に行くと、昨年私が支払った清掃経費が戻してもらえることになりました。こうした交渉は私にとって楽しみになります。土曜日は今年度1回目の登山教室、楽しく近くの丘に登り、遊歩道を歩きました。いつも言っていますが、毎日幸せです。
1)ボリッチ動向
ラテンアメリカカリブの自然保護条約についての話し合いがチリでありボリッチはそれに参加しました。そして北部のラ・セレナを訪問していると、石を投げつけられました。その後のテレビの番組で、その件について、「私は国民の近くにいたい、この石投げ事件があってもそれは変わらない」としました。その犯人を裁判所に訴えたようです。ただ、その前日に、政府の公安関係の人間が現在の犯罪状況はチリが民主化して以来最悪の事態だと発言した件について、自分たちはそういう状況で前政権から受け継いだとコメントし責任をピニェラに擦り付ける感じです。私なら、「そういう状況で引き継いだけど、それをよくしようと頑張っています」と言いますが。
今週、もっとも重要な要件は第5回の年金引き出し案の失敗です。左翼側議員から5回目の引き出し案件が出たとき、政府はそれはチリ経済に悪影響するとして拒否の態度を取りました。しかし市民を助ける引き出し案を認めよと押されると、借金があってその支払いに困っている人には引き出しを認めるとするアイデアを出し、議会に提出しました。今週その2案が別々に議論され両方とも拒否されました。政府にとって良かったねと言うところですが、左翼側から困っている市民を助けようとしない政府は何を考えているのかと強いクレームが出て与党内部の争いです。つまり内部の違う考えをうまく統一・抑制できないボリッチの力のなさがはっきりしました。それにも絡んで、与党内でぎくしゃくしている関係を少しでも正常化するためボリッチはキリスト教民主党DCのメンバーをモネダ宮殿に招待し話し合いました。民主化して以来、中道左派グループの中心党だったDCが今回はほとんど蚊帳の外ですからね。DCを嫌う共産党がボリッチを動かしていますから。その共産党の区長ハドゥエは毎週のように問題を起こしていますが、今週は彼でなく彼の弟です。ボリッチはその弟を電話関連の政府機関の幹部に任命しました。右翼からおかしな人事はやめよと抗議が出ています。最もピニェラの時にも似たような人事はありましたが。
2)新憲法委員会
9月4日の可否投票が任意でなく義務制になりました。投票に行かないと罰金がとられます。急に義務制にしたのは、投票者数が半数にもいかないと後で問題が残るからでしょうね。世論調査でその委員会の活動について評価するとしたのは1年前は71%でしたが、今月は44%。逆に同意しないは29%から56%に上がっています。
3)大蔵大臣がアメリカ訪問 現地でIMFや世銀で面談するとか。
1) 経済成長率
IMFの予想ではチリの今年の成長率は2.1%です。少し前は2.9%だったのですが、下がりました。ラテンアメリカの平均は2.5%ですから、チリは平均にもいかないわけですね。おまけに来年の予想は0.5%と最悪です。経済不安と言うより、政治の不安定、新憲法の可否が大きく影響しているのでしょう。
2)銅価格と為替
1ポンド4.64ドルと少し下がりました。為替は1ドル817ペソとペソ安になりました。
3)就業率
コロナ問題で失業者が急増したわけですが、それが収まり、今週の発表では、就業者数はコロナ前を乗り越えたとなっています。給料はどうなったかわかりませんが。最低賃金を大幅に上げるアイデアが国会で議論されています。
1) コロナ問題
もう大騒ぎは治まったかのようです。前政権の時は毎日、厚生大臣がその日の新患者数などの説明をする番組がありましたが、新政権では全くありません。新規患者数は、少し前一日3万人にもなっていたのに、今週は3千人以下でした。もっともPCR検査数も15万人にもなっていたのが、今週は3万人位です。
2) 交通事故
先週の3連休で、首都圏から30万台の車が近郊に出たようですが、その3日間の事故の結果は、交通事故数は580件、死亡者は19名。アルコールテストで捕まったのは260人でした。
3)マプチェ問題
火曜日、なんと1晩で4件の襲撃事件が起きました。マプチェの政治犯を釈放せよと要求する文書が置かれて いました。それが継続して、金曜日、走行しているトラックに発砲し、運転手に命中。トラックは道のわきに転倒。彼は瀕死の重傷で入院中。その銃は小さなピストルではなく軍が使うような大口径のものでした。 もう誰も安心して仕事が出来ませんね。政府はその件に関し、政府の名前で裁判所に訴えました。新聞の社説に、各政権で独自の政策がとられるのは当然だが、このマプチェ問題は緊急に問題の軽減・解決が求められており、それをボリッチが実行しようとしているようには見えないと書かれました。軍隊で抑えるのではなく、対話で問題縮小を図ると言うわけですが、全く進歩はありません。
サンティアゴの最低気温が今週は零度まで下がりました。もっとも昼には20度くらいまで上がってポカポカの暖かさです。火曜日、とうとう降りました。天気予報の通り、短時間で30ミリも降り、水害が出ました。それでもこれだけの雨が降るのは素晴らしいです。その後、三日目に山登りをしたら、サンティアゴの空はスモッグで汚れていました。
さて家屋税、所得税を支払いました。そして先日、申請したカルネ(身分証明書)を入手しました。これで5年間チリの中を自由に歩けます。次の申請時には私は80歳、まだ生きているかな?そうそうマンションの住民総会があり、私はオーナーですから、それに参加して意見を述べました。コロナ問題で過去2年間、集会が出来なかったので久しぶりでした。
1)ボリッチ動向
EU代表のウレボラと面談し、チリの現状を説明しました。その他、近郊の住民集会に参加して政府の社会安全政策を説明しました。5月1日のメーデーの前に労働者連盟CUTと面談して、労働者援護の政策を説明しました。そのメーデーですが、いつもの通り、イタリア広場に集まったデモ隊は街の中心アラメダ通りをデモし、モネダ宮殿近くで集会を持ちました。CUT代表が長々と演説しましたが、その中で何度もアジェンデの名前が出ました。「彼は銅鉱山の国有化を行いました。そしてコデルコ銅公社を作りました。その恩恵を私たちは今でも受け取っています」そのおかげで外国資本はチリから抜け出し、経済危機が襲ったことを忘れていますね。更にその代表の彼は新憲法で労働者の権利が明確になると喜んでいました。そのデモ隊に中央駅付近で露天商が攻撃し、ピストルで撃たれてデモ隊3名が負傷。政府はその事件を裁判所に訴えました。直ぐに犯人が2名逮捕されましたが、コロンビア人とべネスエラ人でした。俺たちの商売の邪魔をするなと言うわけです。
ボリッチは今日の夜のテレビの番組に招かれ、話をしました。就任50日であまり人気が出ませんねと厳しく質問されると、今までの政権でできなかったことを新政権に期待されたわけですぐに解決はできません。努力していますから見守ってくださいとしました。
2)新憲法委員会
もう最後の日が近いのに、これが私たちの作った新憲法ですと言う最終案がまだ出来上がっていません。なんと、もう少し、3か月ほど期間を延長してはどうかと言う声が委員から出ています。既に一度延長はしていますから、これが通ると、延長が何度も続くでしょうね。新憲法が国民に否決されれば、社会騒乱の復帰になるのでしょうか?
1)最低賃金の変更
8月から最低賃金は40万ペソになります。最近の物価上昇分に見合ったものと言えそうです。その額を比較すると、ラテンアメリカではコスタリカに続いて2番目の高い数字とか。それからブラジルの2倍になる由。各国が独自の政策を取っているのが良く分かります。しかしブラジルの人の生活は厳しいですね。もっともOECD参加国の平均賃金と比べるとチリのそれは約半分とか。世界の壁はまだ遠い。
2)女性の幹部が増加
上場企業の重役に女性が増えています。2019年に8.6%だったのに今年は一気に18.4%になりました。有名企業の女性幹部の数が新聞に掲載されましたがそれを受けて、「うちももう少し女性を増やそうよ」と言う社長が出てくるでしょうね。必要と言うより、雰囲気の問題ですね。
3)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.45ドルと先週からかなり下がりました。するとそれにつれて為替も1ドル857ペソと先週よりチリペソは約5%弱くなりました。銅公社コデルコは昨年過去9年で最高の利益を出しましたが、今年は風が変わって売り上げが下がりコストが上がり今年の第1四半期は昨年から6.5%の減少になりました。もっともまだ今年は始まったばかりですけど。
1)コロナ問題
かなり良くなってきています。火曜日は新規感染者数が993人と今年最少の数字でした。今まで2回ワクチンを接種した人が持っていた移動パスは今日から効力を失いました。つまり3回目接種が義務付けられたわけです。入院者数は過去最少にまで減少しているとか。さぁこのままコロナ問題は治まっていくかな?隣国との陸の国境40カ所の内、22カ所が今日からオープンされました。
2)マプチェ問題
毎週、激しくなります。先週と同じく、トラックが銃撃され運転手が負傷しました。これに関し前政権の内務次官をしていたガジが共産党と新左翼は社会デモとゲリラの破壊活動の区別が出来ていないとコメントしました。そしてなんとトラック・重機が30台以上も燃やされる事件がありました。防犯カメラに写っていますが、軽トラックに乗ったグループが手に機関銃を持っており駐車場施設に入る際から威嚇射撃です。そこに入ってくるトラックを止めて動けなくし、警察の車が入れないようにしてから、敷地にあったすべての機械を燃やしました。マプチェの問題なのか、一部のゲリラグループが社会騒乱をするためにこうした攻撃をしているのか分かりませんが、南の第8州、第9州でこうした社会騒乱が継続し、政府が全く手を打てないのは自明です。対話で問題解決を図るとするのは間違いでしょうね。
3)高校生の抗議活動
政府は高校生の環境をよくする政策を取っていないと学校内外で抗議行動をしています。高校生の犯罪かどうかまだ決まっていませんが、学校近くで公共バスに火がつけられ全焼しました。話し合いが大事だ、そうした暴力行為は認められないと政府はしています。校舎の改善などに100億ペソの予算を組むと発表しました。
今週、学校の前でモロトフ爆弾を投げた生徒が捕まりましたが、彼はその学校の生徒でした。いくつかの高校が学生に占拠されています。それを警官が排除すると言うのはまだ起きていません。いつも出てくる共産党の区長が警察が学生をひどい目に合わせているとコメントしました。爆弾を投げる学生を逮捕するのは正常と私は思いますが。
4)トラックの抗議活動
トラックが道路を封鎖する抗議活動が全国各地で起きています。3車線の道路を2車線分トラックで抑えると残りは1車線。交通渋滞が起きるのは当然です。彼らは、高速道路の料金・ガソリン代、そして何より交通の安全が保障されていないと政府に抗議しています。政府は、何日の何時以降はその行為を認められないと 脅しをかけましたが、彼らは政府案を無視したので、政府は裁判所に訴えました。政府は彼らの抗議内容に関し、政府案を提示して説得するべきです。今日、政府はそれをトラック業界に提示するとしました。
5)スーパーマーケット襲撃
今週、首都圏近くの店が襲われました。数人のグループではありません。200名と言われる大集団です。そのグループは店の近くの道路を封鎖し、警察の介入を妨げようとしましたが、何人も逮捕されました。もちろん、偶然そのグループが出来たのではなく、作戦を練り上げて実行したのですね。逮捕した人間からどんな秘密が聞き出せるかな?政府はそのグループを犯罪者として起訴しました。3年前の社会騒乱の時、同じような暴動を裁判所に訴えたピニェラを左翼グループは批判しましたが、今回は自分たちも 同じことをしています。
6)交通規制
今週の山登りは大雨の3日後でしたが、空はスモッグで覆われていました。サンティアゴの場合は暖房に薪を焚くから空が汚れるのではなく自動車・工場が原因のようです。そこで明日から8月末まで週日の車の交通規制が始まります。新車は別にして、古い車は週に一回、通行禁止があります。月曜日はナンバープレートの末尾の数字が0と1の車がそれに当てはまります。もちろん規則を守らないと罰金を取られます。
以 上