連載レポート85:桜井悌司「ラテンアメリカ主要国の文化人人名録 国別編 コロンビア」 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート85:桜井悌司「ラテンアメリカ主要国の文化人人名録 国別編 コロンビア」


連載レポート86

ラテンアメリカ主要国の著名文化人・スポーツ選手等の人名録(コロンビア編)

執筆者:桜井悌司(ラテンアメリカ協会常務理事)

「はじめに」

ラテンアメリカ協会のホームページの「投稿欄」に2021年4月から12月まで、12回にわたって、「ラテン好きのためのリベラルアーツ」というタイトルで連載しました。内容は下記の通りです。

1回目  ラテンアメリカのノーベル賞受賞者
2回目  ラテンアメリカの国花と国鳥
3回目  ラテンアメリカ出身のメジャーリーガーたち
4回目  ラテンアメリカの著名サッカー選手 上中下
5回目  ラテンアメリカの歴代オリンピック・ゴールドメダリスト
6回目  ラテンアメリカの著名建築家
7回目  ラテンアメリカの著名作家たち 上下
8回目  ラテンアメリカの著名ボクサー
9回目  ラテンアメリカの著名画家たち
10回目 ラテンアメリカの著名作曲家たち
11回目 ラテンアメリカの国際空港と人名
12回目 ラテンアメリカ主要国の紙幣と人名

これら一連のレポートは、ラテンアメリカ全域をカバーしていますが、個々の国に関心のある方から見ると使い勝手が悪いかも知れません。そこで今回、上記レポートを基本にして、主要国の著名文化人・スポーツ選手等の人名録を作成することにしました。さらに詳細な情報入手を希望される方は、上記のレポートにアクセス下さい。今回は、ラテンアメリカで第3の人口大国であるコロンビアを取り上げました。内容は、下記の通りです。

  • コロンビアのノーベル賞受賞者
  • コロンビアの著名作家・詩人
  • コロンビアの著名画家
  • コロンビアの著名作曲家
  • コロンビアのメジャーリーガー
  • コロンビアの著名サッカー選手
  • コロンビア著名ボクサー
  • 国際空港に見るコロンビア人
  • 紙幣にみるコロンビア人

1)コロンビアのノーベル賞受賞者

ラテンアメリカ・カリブ諸国には17名のノーベル賞受賞者がいる。コロンビアは2名のノーベル賞受賞者を輩出している。文学賞のガブリエル・ガルシア・マルケスと平和賞のフアン・マヌエル・サントスである。

*Gabriel Garcia Marquez(ガブリエル・ガルシア・マルケス) 1982年受賞

1925年~2014年。コロンビアのジャーナリスト、小説家。主要な作品は、「百年の孤独」(Cien años de Soledad),「迷宮の将軍」(El general en su laberinto)、「族長の秋」(El otoño del patriarca)、「コレラの時代の愛」(El amor en los tiempos del cólera)等。彼のほとんどの作品が翻訳されている。受賞の理由は、「現実的なものと幻想的なものとを融合させて、一つの大陸の生と葛藤の実相を反映する豊かな想像力の世界を構築した」こと。「魔術的リアリズム」という手法で、ラテンアメリカ文学の世界的ブームを起こした。

*Juan Manuel Santos Calderón (フアン・マヌエル・サントス・カルデロン)
2016年受賞

1951年~。コロンビアの政治家。国防大臣、財務大臣を経て第57代大統領に就任(2010年~2018年)コロンビアは、1960年代以降、農村運動に端を発するコロンビア政府と左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」とのコロンビア内戦が続いていた。サントス大統領はFARCと和平交渉を行い、2015年12月に合意に達した。合意についての賛否を問う国民投票が2016年10月に行われ、僅差で否決されたが、2016年11月にFARCと和平合意に調印し、国会から承認を受けた。FARCの武装解除により、半世紀に及んだ内戦が事実上終結した。受賞理由は、「50年以上にわたる国内の内戦に向けた決然たる努力に対して」である。

コロンビアの著名小説家・詩人

コロンビアもまた著名な小説家を輩出している国である。下記の11名を紹介する。

*ホルヘ・イサァクス Jorge Isaacs Ferrer

1837年~1895年。 コロンビアの小説家、詩人、政治家、軍人。代表作は、唯一の小説「マリア」Maríaでラテンアメリカのロマン主義文学の傑作。1人称で語られる悲恋物語。政治家としては、アンテイオキア州知事。

*ホセ・マリア・バルガス・ビラ José María de la Consepción Apolinar Vargas  Villa-Bonilla

1860年~1932年。 コロンビアの作家、ジャーナリスト、出版者、政治活動家。代表作は、「アウラ、あるいはすみれの花束」Aula o las violetas、「アイビス」bis等。

*ホセ・エウスタシオ・リベラ José Eustasio Rivera

1888年~1928年。 コロンビアの詩人、小説家、法律家、ジャーナリスト。モデルニスモの流れを組む。代表作は、「渦」La Vorágineで国民的な叙事詩の傑作と評価されている。他に詩集「約束の地」Tierra de promisión。

*アルバロ・ムティス Alvaro Mutis Jaramillo 

1923年~2013年。 コロンビアの詩人、小説家、エッセイスト。現代イスパノアメリカ文学で最も重要な作家の一人と考えられている。1997年アストゥリアス皇太子賞、2001年セルバンテス賞受賞。代表作は、「マクロール・ガビエロシリーズ」Empresas ytribulaciones el Gaviero。

*ガブリエル・ガルシア・マルケス Gabriel García Marques
1982年ノーベル文学賞受賞

1925年~2014年。コロンビアのジャーナリスト、小説家。主要な作品は、「百年の孤独」(Cien años de soledad),「迷宮の将軍」(El general en su laberinto)、「族長の秋」(El otoño del patriarca)、「これらの時代の愛」(El amor en los tiempos del cólera)等。彼のほとんどの作品が翻訳されている。受賞の理由は、「現実的なものと幻想的なものとを融合させて、一つの大陸の生と葛藤の実相を反映する豊かな想像力の世界を構築した」こと。「魔術的リアリズム」という手法で、ラテンアメリカ文学の世界的ブームを起こした。ラテンアメリカの小説家で最も人気と知名度がある作家。

*フェルナンド・バジェホ Fernando Vallejo

1942年~ 。 コロンビアの小説家、映画製作者、エッセイスト。代表作は、「崖っぷち」El Desbarrancadero。この作品で2003年ロムロ・ガジェーゴス賞を受賞。その他「暗殺者の聖母」La Virgen de los sicarios、「碧き日々」Los días azules。1971年メキシコ国籍を取得。

*ラファエル・ウンベルト・モレーノ・ドゥラン Rafael Humberto Moreno Durán

1945年~2005年。コロンビアの小説家、短編作家、エッセイスト、劇作家。20世紀のコロンビア文学で重要な一人と評価されている。代表作は、「ファミナ・スイート」Famina Suite。

*ラウラ・レストレポ Laura Restrepo

1950年〜。コロンビアの作家、ジャーナリスト。若いころに社会主義の共鳴し、活動に従事した経験に基づく彼女の小説は、ラテンアメリカの社会の現実を知る上で役に立つ。代表作は、「妄想」Delirioでアルファグラ賞を受賞。内外の文学賞を多数受賞。

*エベリオ・ロセロ Evelio Rosero

1958年~。コロンビアの作家、詩人、ジャーナリスト。ポスト・ラテンアメリカ・ブームの世代を担う小説家の一人。代表作の「顔のない軍隊」Los éjercitos でツスケツ賞や英国の有力紙のインデペンディエンテ氏の外国賞を受賞。その他、「無慈悲な昼食」Los almuerzosや「ボリバルの馬車」La carroza de Bolívarがある。内外の文学賞を多数受賞している。

*ホルヘ・フランコ Jorge Franco Ramos

1962年~。コロンビアの小説家。ガルシア・マルケスはたいまつを渡したいコロンビアの作家の一人と言っている。代表作は「ロサリオの鋏」Rosario Tijeras、「パライソ・トラベル」Paraíso Travelは映画化された。「メロドラマ」Melodramaは舞台化された。多くの文学賞を受賞している。

*フアン・ガブリエル・バスケス Juan Gabriel Vázquez 

1973年~。コロンビアの作家、ジャーナリスト。ソルボンヌ大学でラテンアメリカ文学博士号を取得。代表作は、「物が落ちる音」 El Ruido de las cosas al caerで2011年アルファグアラ賞を受賞。その他作品として、「コスタグアナ秘史」Historia secreta de Costaguanaがある。

3)コロンビアの著名画家

コロンビアの画家をインターネットで調べると下記の10名がリストアップされた。その中で4名を紹介する。

The 10 best Colombian Artists and where to find them

画家名、画廊名 画家名、画廊名
Fernando Botelo at Museo Botelo Oscar Murillo at David Zwirner
Antonio Caro at Galería Casas Riegner Gabriel Sierra at Galería Casas Riegner
Pedro Ruiz at Beatríz Esguerra Art Mónika Bravo at BGC
Adriana Salazar at L A Galería Miguel Angel Rojas at Galería M U
Doris Salcedo at Luis Angel Arango Library Danilo Duenas at Galería Jenny Vila

 

*デボラ・アランゴ・ペレス Debora Arango Perez

1907年~2005年。コロンビアの代表的な画家、陶芸家。メデジン美術大学、メキシコ国立美術学校、スペインのサンフェルナンド王立美術アカデミーで学ぶ。彼女の作品は、表現主義の運動の中で展開され、コロンビアで最も重要かつ論争のある画家の一人と考えられている。コロンビア社会や政治に対する批判的な作品が多い。またコロンビアで最初に女性の裸体を描いた画家としても知られている。後に233作品をメデジン近代美術館に寄贈。代表作は、「青年期」Adolescencia、 「正義」Justicia。

*フェルナンド・ボテロ Fernando Botelo

1932~  。コロンビアのneo-figurative画家、彫刻家。名実ともにコロンビアを代表する画家で最もコロンビアらしい芸術家と言われる。作品は風景画や生物もあるが、肖像画が多く、人間や動物をふくよかな体型で表現するので、一見すると忘れられない。モナリザの肖像画などは思わず笑いを誘う。世界的に有名で、全世界で展示会が開催された。日本でも広島、山梨、徳島、埼玉、宮城、東京で個展が行われた。コロンビアのメデジンにあるアンチオキア博物館やボゴタにあるボテロ博物館には多数の作品が展示されている。筆者が最初に見たのは、1990年代後半にフィレンツエのシニョリア広場での彫刻展であった。

*ベアトリス・ゴンサレス Beatríz González 10人女性

1932年~ 。コロンビアの画家、彫刻家、批評家、キューレーター、美術史家。西洋美術史と地元新聞からのイメージを元にポップアート的絵画を描いた。ロスアンデス大学でフォトジャーナリストを学ぶ。コロンビアの「La Violencia」と呼ばれる10年の内戦を取り上げた。MOMAやテートが作品を所蔵する他、六本木の森美術館でも今年、「アナザー・エナジー展」のなかでも展示されている。

*オスカル・ムリーリョ Oscar Murillo

1986年~ 。コロンビアのアーチストで、12歳でロンドンに移り、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶ。リサイクル品、メモ、ほこり、液体、汚れなどを縫い合わせてキャンバスで新しい作品に生まれ変わらせる。世界のトリエンナーレやビエンナーレに参加、2016年には愛知トリエンナーレにも出品した。2019年には、画家M.W.Turnerにちなんだ「ターナー賞」を受賞している。

4)コロンビアの著名な作曲家  

ジャクリーネ・ノバ Jacqueline Nova Sondag

1935年~1975年。コロンビアの音楽家、作曲家。70年代のコロンビアの最前線を行く作曲家で、コロンビアでアコースチック音楽を取り入れた最初の音楽家と言われている。コロンビア国立大学の音楽院でピアノと作曲を学ぶ。その後ブエノスアイレスでも作曲を学ぶ。様々な音楽ジャンルの曲目を作曲した。代表作はアコースチックの作品で、「Opposition-Fusion」、「Creación de la Tierra」(天地創造)、映画音楽「Las Piedras de Machu-Picchu」(マチュピチュの石」。

5)コロンビア出身のメジャーリーガー

カリブ海諸国ほど盛んではないが、コロンビアでも野球が行われている。2名のメジャーリーガーを紹介する。

*オルランド・カブレラ(Orlando Cabrera) 

1974年生まれ。エクスポス、エンジェルズ、ホワイトソックス等に所属。ショートでゴールドグラブ賞を2回受賞(2001年、2007年)

*エドガル・レンテリア(Edgar Lenteria

1975年生まれ。マーリンズ、カージナルス、ブレーブス等に所属、ショート。ゴールドグラブ賞2回(2002年、2003年)。オールスター5回出場。ワールドシリーズMVP1回。

6)コロンビアの著名サッカー選手

コロンビアは近年になって、南米のサッカー強国になりつつある。FIFAワールドカップでは21回の内6回の出場実績がある。ここでは、下記7名を紹介する。

*フランシスコ・マットゥラナ(Francisco Maturana)

1949年生まれ。DF。 アトレティコ・ナショナル等所属。選手と言うよりむしろ名監督として有名。コロンビアの代表監督を長年にわたり務めた他、エクアドル、コスタリカ、ペルー、トリニダード・トバゴの代表監督も務めた。

*レネ・イギータ(Jose Rene Higuita Zapata)

1961年生まれ、2010年引退。GK。愛称は「El Loco」(狂人)。アトレティコ・ナショナル(コロンビア)→レアル・バジャドリー→ベラクルス(メキシコ)等。コロンビア代表1987年~99年、国際試合68戦8得点。コロンビアのシンボル的な存在で、ぺナルテイ・エリアから飛び出し、スイーパー的な役割やドリブルで活躍した新しいタイプのゴールキーパー。1989年のコパ・リベルタドーレス決勝では4本のPKを止め、自らはPKを成功させ優勝に大きな役割を果たした。麻薬問題で逮捕歴あり。

*カルロス・バルデラマ(Carlos Alberto Valderrama Palacio)

1961年生まれ、2003年引退。MF。愛称は「El Bipe」(少年)。デポルティーボ・カリ(コロンビア)→モンペリエ→アトレティコ・ジュニオール→タンパベイ・ミョーデイニー等。コロンビア代表1985年~98年、国際試合111戦11得点。ワールドカップ3回出場。コパ・アメリカ5回出場。コロンビア代表の主将、背番号10。1987年、1993年、南米年間最優秀選手。米国でのチームでも活躍した。ライオンのような金髪の髪型でスタジアムを駆け回る姿は大変印象的であった。

*フレディ・リンコン(Freddy Eusebio Rincon Valencia)

1966年生まれ、2004年引退。MF。 アメリカ・デ・カリ→パルメイラス→ナポリ→レアル・マドリード→コリンチャンス等所属。コロンビア代表1990年~2001年、国際試合84戦17得点。FIFAワールドカップ、1990年、94年、98年出場。ナポリでも大活躍したが、金銭的に引き留められなかった。

*ファウステイーノ・アスプリージャ(Faustino Hernan Asprilla Hinestroza)

1969年生まれ、2005年引退。FW。 愛称は「Tino」アトレティコ・ナショナル→パルマ(イタリア)→ニューキャッスル→パルメイラス等。コロンビア代表1993年~2001年、国際試合57戦20得点。FIFAワールドカップ1994年、1998年出場。素行と言動に問題ありで、チームを転々とした。パルマ時代にミラノで見る機会があった。

*ラダメル・ファルカオ(Radamel Falcao Garcia Zarate)

1986年生まれ。FW。リーベル・プレート(アルゼンチン)→ポルト→アトレティコ・デ・マドリー→モナコ→マンチェスター・ユナイテッド→ガラタサライ(トルコ)等。コロンビア代表2007年~ 92戦36得点。FIFAワールドカップ出場1回(2014年)。2010年~11年、2011年~12年の2年にわたり、UEFAヨーロッパ・リーグで得点王。代表Aマッチ戦で35ゴールはコロンビア・ナンバー1。

*ハメス・ロドリゲス(James David Rodriguez Rubio)

1991年生まれ。MF。FW。ポルト→ASモナコ→レアル・マドリード→バイエルン・ミュンヘン→レアル・マドリード→現在、プレミアリーグ・エヴァ―トン所属。コロンビア代表2011年~ 国際試合76戦22得点。ワールドカップに2回出場(2014年、18年)。2014年のブラジル大会のでは、ゴールデンブーツ賞(得点王)兼大会ベストイレブンに選出。その他多くの賞を受賞している。カルロス・バルデラマの後継者と目されている。コロンビアで最も注目されるプレーヤー。

7)コロンビアの著名ボクサー

ここでは1名のみ紹介する。

*ロドリゴ・バルデス(Rodrigo Valdés

1946年~2017年 元WBA-WBC世界ミドル級王者。73戦63勝〈内43回KO〉,敗戦8回、引き分け2回。1974年、アルゼンチンのカルロス・モンソンの王座はく奪に伴う王座決定戦でKO勝。その後4回防衛なるも、復帰したカルロス・モンソンに2度敗戦。モンソン引退に伴い、WBA-WBC統一王者戦に勝利し、統一チャンピオンになるが、防衛ならなかった。

8)国際空港にみるコロンビア人

インターネットで調べると、コロンビアには151の空港があり、内国際空港が12、国内空港が131、人名のついた空港49となっている。ここでは、下記5空港をピックアップした。

コロンビアで人名のついた空港 5空港

空港所在都市 空港名、人名
Bogotá Aeropuerto Internacional El Dorado Luis Carlos Galán Sarmiento
Medellín Aeropuerto Internacional José María Córdova
Cartagena Aeropuerto Internacional Rafael Nuñez
Baranquilla Aeropuerto Ernesto Cortíssoz
Santa Marta Aeropuerto Internacional Simón Bolívar

 

*ルイス・カルロス・ガラン・サルミエント  Luis Carlos Galán Sarmiento 

1945年~1989年。ボゴタのエル・ドラド空港の正式名称に彼の名前がとられている。コロンビアの政治家。ジャーナリスト時代にパストラーナ大統領巳見いだされ政界進出。1982年コロンビア自由党から大統領選挙に立候補し、保守党のベタンクールに敗れる。1989年再度大統領に立候補するが、メデジン・カルテルによってマシンガンで射殺される。

*ホセ・マリア・コルドバ   José María Córdova

1799年~1829年。コロンビアで2番目に大きいメデジン国際空港は彼の名前に因んでいる。コロンビアの独立軍の将軍。コロンビアの独立戦争でシモン・ボリバルと一緒に戦い、バルガス・スワングの戦い、ボヤカの戦い、有名なアヤクーチョの戦いで勝利する。「アヤクーチョのライオン」と呼ばれた。後にボリバルの独裁政治に反対し、反乱を起こすが鎮圧される。コロンビアの陸軍アカデミーも彼の名前をとっている。

*ラファエル・ヌニェス   Rafael Núñez

1825年~1894年。カルタヘナ国際空港の名前は彼に因んでいる。コロンビアの政治家、作家、弁護士、ジャーナリスト。15歳で反乱軍に投じる。財務大臣等を経て、1880年から84年まで大統領を務める。陸軍士官学校、国立音楽アカデミーの創設、国際電話サービスの開始、コロンビア国歌の作者でもある。

*エルネスト・コルティッソス   Ernesto Cortíssoz

1884年~1924年。バランキージャで生まれ、死ぬ。バランキージャ国際空港は彼の名前に因んでいる。コロンビアの飛行家、冒険家。コロンビア及びラテンアメリカの商業航空発展のパイオニアの一人。

*シモン・ボリバル   Simón Bolívar

1783年~1830年。カラカスのマイケテイア国際空港及びコロンビアのサンタ・マルタ国際空港は、彼の名前に因んでいる。ベネズエラのカラカスの名家に生まれる。スペインからの独立に立ち上がり、南米大陸のアンデス5カ国を統一した大コロンビア共和国を打ち立てようとした。解放者(El Libertador)と呼ばれる革命家、軍人、政治家、思想家。ベネズエラ第二。第三共和国大統領、グラン・コロンビア初代大統領、ボリビア初代大統領、ペルー第八代大統領。カラカスとボゴタの中央広場は、「ボリバル広場」と呼ばれるほか、ボリビアの国名もボリバルから来ている。ベネズエラの国名や通貨にもボリバルが使われている。ガルシア・マルケスの小説「迷宮の将軍」はボリバルのストーリーである。1830年12月17日にサンタ・マルタ州近郊のサン・ペドロ・アレハンドリーノ農場で亡くなった。

9)紙幣にみるコロンビア人

コロンビアの紙幣は7種類であるが、バラエティに富んでいるのが特徴である。文化人・知識人が4名となっている。画家のデボラ・アランゴ、詩人のアスンシオン・シルバ、人類学者のビルヒニア・グティエレス、小説家のガルシア・マルケスである。もう一人は20世紀の政治家のエリエセール。残りの2人は元大統領のロペス・ミチェルセンとジェーラス・レストレポである。

金額 人名
1000ペソ Jorge Eliecer Gaitán
2000ペソ Débora Arango Pérez
5000ペソ José Asunción Silva
10000ペソ Virginia Gutiérrez de Pineda
20000ペソ Alfonso López Michelsen
50000ペソ Gabriel García Márquez
100000ペソ Carlos Lleras Restrepo

 

*ホルヘ・エリエセール・ガイタン Jorge Eliecer Gaitán

1903年~1948年。コロンビアの政治家。20世紀のコロンビアで最も影響力のあった政治指導者。公務員、議員として活躍し、文部大臣、労働大臣、ボゴタ市長を歴任、自由党のカリスマ指導者。社会の不均衡是正、教育水準や健康水準の向上、平等社会の実現に尽力したが、1948年暗殺された。暗殺後、コロンビア各地で大暴動が発生し、地方でゲリラ戦が勃発し、ビオレンシアの時代に突入した。

*デボラ・アランゴ・ペレス Débora Arango Pérez

1907年~2005年。コロンビアの代表的な画家、陶芸家。メデジン美術大学、メキシコ国メキシコ国立美術学校、スペインのサンフェルナンド王立美術アカデミーで学ぶ。彼女の作品は、表現主義の運動の中で展開され、運動の中で展開され、コロンビアで最も重要かつ論争のある画家の一人と考えられている。コロンビア社会や政治に対する批判的な作品が多い。またコロンビアで最初に女性の裸体を描いた画家としても知られている。後に233作品をメデジン近代美術館に寄贈。代表作は、「青年期」Adolescencia、 「正義」Justicia。

*ホセ・アスンシオン・シルバ José Asunción Silva

1965年~1896年。コロンビアの詩人。ラテンアメリカのモデルニスモの創始者・推進者の一人と考えられている。代表作は、「詩の本」El libro de versos、「デザートについて」 Desobremesa、「苦い滴」 Gotas amargas。30歳でピストル自殺を遂げた。

*ビルヒニア・グティエレス・ピニェーダ Virginia Gutiérrez de Piñeda

1921年~1999年。コロンビアの人類学者、カリフォルニア大学バークレーで、社会医学人類学の修士号取得、コロンビアの国立教育大学で、社会経済科学の分野で博士号を取得。コロンビアにおける家族の研究、医学人類学、社会学のパイオニア。特にコロンビアにおける女性の地位の研究で有名。主要著作として、「コロンビアにおける家族と文化」、「コロンビアにおける家族の構造、機能と変化」がある。後にコロンビア国立大学で教鞭をとり、名誉教授となる。

*アルフォンソ・ロペス・ミチェルセン Alfonso Lopez Michelsen

1913年~2007年。コロンビアの政治家、大統領。父はコロンビアの大統領を2期務めた。欧州や米国で教育を受けた後、コロンビア国立大学教授、弁護士を務める。1960年から66年まで上下院議員を務めた後セサール州知事、外務大臣を歴任。1974年、自由党から大統領選に立候補、当選。任期中、アンデス共同市場の推進やラテンアメリカ経済機構(SELA)の設立に貢献した。

*ガブリエル・ガルシア・マルケス Gabriel García Márquez

1925年~2014年。コロンビアのジャーナリスト、小説家。主要な作品は、「百年の孤独」(Cien años de soledad),「迷宮の将軍」(El general en su laberinto)、「族長の秋」(El otoño del patriarca)、「これらの時代の愛」(El amor en los tiempos del cólera)等。彼のほとんどの作品が翻訳されている。受賞の理由は、「現実的なものと幻想的なものとを融合させて、一つの大陸の生と葛藤の実相を反映する豊かな想像力の世界を構築した」こと。「魔術的リアリズム」という手法で、ラテンアメリカ文学の世界的ブームを起こした。ラテンアメリカの小説家で最も人気と知名度がある作家。

*カルロス・ジェーラス・レストレポ Carlos Lleras Restrepo

1908年~1994年。コロンビアの政治家、大統領。財務大臣を3期務めた後、自由党から大統領に立候補、第22代大統領に就任。任期中積極的かつ広範囲な社会経済改革プログラムを展開した。「国家貯金基金」、「コロンビア家族福祉インスティトゥート」、「再生エネルギー・インスティトゥート」、貿易投資振興機関「プロエクスポ」(現プロコロンビア)、「コロンビア文化インスティトゥート」などを創設した。

以     上