連載パナマ・レポート24:ルベン・ロドリゲス 2022年4月分 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載パナマ・レポート24:ルベン・ロドリゲス 2022年4月分


連載パナマ・レポート24: ルベン・ロドリゲス 2022年3月分

執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(北海道大学法学研究科助教・パナマ共和国弁護士)

I.新型コロナウィルスの現状

4月25日時点で、パナマにおける新型コロナウィルスの感染者は771,819人、死亡者は8,182人、回復者は760,199人と確認された。2月下旬から始まった新感染者数は減少傾向が続き、死亡者が出ない日も増えている。政府は保健省の2020年の政令によって決定された公の場および公共交通機関におけるマスク着用義務を3月28日から解除し、聖週のイベントを許可した。しかし、マスク着用義務の解除、およびカーニバルの影響によって感染者が少し増え、3月下旬の4.8%の感染率に対して、4月24日時点の感染率が7.8%となっている。

II.政府

A.ファブレガ市長の国民解職手続き 

4月20日にパナマ市のファブレガ市長の国民解職に必要な署名収集が開始された。4千万ドルの公設市場の建設についてのパブリックコメントには、22人しか参加しなかったにもかかわらず、ファブレガ市長が妥当なプロセスとして主張し、一方的に建設を進めようとした。また他の公金の利用についてパナマ市民のみならず、全国の国民から厳しい批判を受けている。 ファブレガ市長は、パナマ憲法においては市長に関する国民解職は明記されていないと述べ、最高裁判所で手続きの違憲性を求めている。国民解職が決まるには、約20万人の署名が必要とされ、選挙裁判所は、4月23日時点で10万人の署名が確認されていると発表した。

III. 経済

A. 再生可能エネルギー 

エネルギー事務局(Secretaría Nacional de Energía)の報告によると、2022年1月から3月の間、再生可能エネルギーの利用は、2019年と比べると53%増加した。歴史的に、パナマにおける再生可能エネルギーの利用は、75%であったが、2021年末に81%まで上がった。近年においては太陽エネルギーが普及している。2015年から2021年の間、電気自動車の販売は91%増加して、充電スポットは、11か所(2019年)から94か所(2022年)まで増加した。現在、炭素排出の60%は、交通および物流の活動から発生している。これをもって政府が、個人自動車は20%、交通バスは35%、そして政府の自動車は50%を電気自動車にすることを目標としている。

さらに、太陽エネルギーを用いる住宅は569戸(2019年)から1613戸(2022年)となった。政府は病院などのような大規模の施設においてもソラーパネルの利用を進めている。パナマ政府は、2030年までに11%、2050年までに24%の炭素排出減少を目指している。

IV. 外交

A.ブリンケン国務長官の公式訪問

アメリカのブリンケン国務長官が移民問題および米州首脳会議の開催に関する対話を行うため、4月19日からパナマを訪問している。ブリンケン国務長官のきっかけに、4月20日に、パナマのピノ国家安全大臣と在パナマ・アメリカ大使スチュワード・タトルは移住と移民保護についての了解覚書を締結した。
 
B.中国の中立条約への批准交渉

パナマ政府は、中国政府に対してパナマ運河の永久中立と運営に関する条約(中立条約)の批准を要請した。中華民国(台湾)は、1980年に批准したため、国際連合安全保障理事会を構成する国家の中、中国のみが中立条約を批准しないと述べている。これに対して、パナマ外務省は、中国と台湾は批准した条約が存在することを検討している。バレーラ前大統領は2017年に台湾と外交関係を断った。しかし、中国政府から金銭的な支援を受けた疑いで、バレーラ前大統領に対する刑事調査が行われている。

以    上