アルゼンチン北部、ボリビアとパラグアイとの国境に近い地域の厳しい気候の乾燥サバンナで狩猟や採取で暮らしてきた少数民族ウィチーに伝わる昔話。
むかし、ジャガーが大切な火をひとり占めして、動物たちがどんなに頼んでも火を分けてくれなかった。老猿が頼んでも駄目、モグラに近いツコツコがトンネルを掘って火を盗みに行ったが気付かれて失敗、万策尽きて困り果てたところ「ぼくがいくよ」とウサギが名乗り出て川魚を手土産にジャガーに近づき……。動物たちが力を合わせ、助け合って生きることの知恵と勇気、自然との調和をユーモラスに説いた子ども向きの絵本。
〔桜井 敏浩〕
(玉川大学出版部 32頁 2022年2月 2,500円+税 ISBN978-4-472-06010-6 )