執筆者:匿名希望
私は現在コロンビアに本社を置く有機食品の商社に勤めており、本年の3月26日(土)~4月9日(土)まで2週間ほど現地に滞在しました。訪問先は、首都ボゴタ、北部でカリブ海に面するサンタ・マルタ、中央部に位置しコーヒーの最大の生産地ペレイラ、マニサレスの4拠点。
成田空港から米国ダラス経由でコロンビア首都ボゴタまで19時間。到着後、ゲートから出てすぐ目に留まったのは、スペイン語の看板表記、エンパナーダがずらりと並んだベーカリー、そして麻薬探知犬を連れて歩く警備員の姿。初めてのスペイン語圏コロンビアでの滞在に胸が高まると同時に、無事滞在先のホテルに着いた際は緊張からほぐれほっとしました。
↑コロンビア首都ボゴタにあるエル・ドラド国際空港。
↑中南米を代表する揚げ料理エンパナーダ。
小麦生地パンの中には牛ひき肉や卵が詰まっていました。
↑コロンビアの行政機関が集まるボリバル広場。コロンビアはサイクリスト大国で土日になると道路が封鎖され自転車天国になるほどでした。
次の日から研修が始まり、本社があるサンタ・マルタに移動しました。サンタ・マルタは沿岸部に位置し、どこにでもマンゴーやアボカドの木が見つけられるほど気候が暖かく自然が豊かです。市街地を歩くと、楽器を弾く若者の姿や壁に描かれたアートを見ることができ、街がつくるのびのびとした雰囲気に心身ともに癒されました。
↑サンタ・マルタのビーチ。カリブ海に面しています。
コロンビア滞在で最も驚いたことは、食べ物の多様性とその美味しさです。フルーツはもちろん、エビ、タコはじめ現地で獲れる新鮮なシーフード、だし汁が効いたスープ、緑のバナナを揚げたプランテンフライ、シュリンプカクテル、そしてナチョスやタコスをはじめとするメキシカン料理。コロンビアの歴史的背景である様々な人種の方が合わさっていること、ラテン系、アフリカン系、ヨーロッパ系それぞれの地域の旨味が合わさって、どれもコクの味があるものばかりで感動しました。
↑クリーム風味の海鮮シチューとライス、揚げバナナ。
↑コーヒー農家さんが作ってくださった豚肉とお豆のシチュー、バナナを合わせた
コロンビアで最もスタンダードな食事バンデハ パイサ。
また、コロンビアはスペイン語が公用語で現地の方は英語を話す方は少ないものの、何か困ったことがあると進んで手を差し伸べてくれました。ほとんどが車社会で多くの車が走っていました。家族でテーブルを囲んで賑やかに食事を楽しむ姿や日本の3倍の面積を持つコロンビアの地域によって全く気候も植物も異なるその多様性が大変印象に残りました。
↑コロンビアで見た野生のクジャク。コロンビアは世界1鳥の種類が多い国で地球に生息する約9,000以上の鳥類のうち約1,800種がコロンビアに生息すると言われています。
現地では、主にコーヒー農園、パーム油精油所、バナナ農園を訪問しました。コーヒー農園はシエラ・ネバダという海に面した山では世界一高い山脈の中にありました。自動車から出る排気ガスや山への影響を考えて、山中はラバに乗って移動しました。ラバに揺られること片道2時間。霧のような白い雲に全体が囲まれ、地上の方を覗くと緑が広がる頂上にコーヒー農園と農家の方の住居がありました。
↑移動で使用したラバ。
↑山の頂上から見た景色。
コロンビア産のコーヒーは全て手摘みで収穫されます。急な斜面にある木から実を取る際は、安全ロープを使用するそうです。農園に住む農家の方は買い物にも山をラバで下りて向かい、筆者が移動する途中にも急な坂を下りながら学校に向かう子どもたちの姿も見られました。
↑コーヒーの木の芽。
また、バナナ農園に行くと懸命に段ボールにバナナを詰める1人の男性がいました。お話を伺うと家族を支えるため20年間バナナ農園で働かれているとのこと。その工場で収穫、パッキングされた商品は船でイタリア、デンマーク、米国、日本、韓国に出荷されます。
日本で毎日当たり前のようにスーパーに並べられたバナナ、そして毎朝何気なく飲んでいたコーヒーの生産の裏には、こんなにも沢山の方の力と生活が携わっていたのだと感銘を受けました。
帰国後も毎朝飲むコロンビア産コーヒーですが、そんなコーヒーを見て、コロンビアで出会った現地の方の存在を思い出し温かい気持ちに、そして何かつらいことがあった際は、世界の裏側にも頑張っている仲間がいると励みになり毎日の支えになっています。
私は今回の経験を通して、日本で販売されている一杯のコーヒーやバナナの裏側にある生産者の方の姿や生活を知ることができました。相田みつをさんの詩に「花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 根は見えねえんだなあ。」という言葉があります。今回の出張を無事終えて、このように記事を執筆する機会をいただけたことも、出張に関わってくださったすべての皆様、そして会社、家族、周りの方のおかげです。
今後はこの経験を糧に感謝の気持ちとその裏で支えてくださっている方の存在を忘れず、コロンビアはじめ日本そして世界に貢献できる人材になれるよう精進して参ります。
最後になりましたが、この度執筆の機会をくださいました貴会理事 工藤様そして貴会関係者の皆様に御礼申し上げます。