連載レポート93:桜井悌司 ラテンアメリカ主要国の著名文化人・スポーツ選手等の人名録(ベネズエラ編) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート93:桜井悌司 ラテンアメリカ主要国の著名文化人・スポーツ選手等の人名録(ベネズエラ編)


連載レポート93

ラテンアメリカ主要国の著名文化人・スポーツ選手等の人名録(ベネズエラ編)

執筆者:桜井悌司(ラテンアメリカ協会常務理事)

「はじめに」

 
ラテンアメリカ協会のホームページの「投稿欄」に2021年4月から12月まで12回にわたって、「ラテン好きのためのリベラルアーツ」というタイトルで連載しました。内容は下記の通りです。

1回目  ラテンアメリカのノーベル賞受賞者
2回目  ラテンアメリカの国花と国鳥
3回目  ラテンアメリカ出身のメジャーリーガーたち
4回目  ラテンアメリカの著名サッカー選手 上中下
5回目  ラテンアメリカの歴代オリンピック・ゴールドメダリスト
6回目  ラテンアメリカの著名建築家
7回目  ラテンアメリカの著名作家たち 上下
8回目  ラテンアメリカの著名ボクサー
9回目  ラテンアメリカの著名画家たち
10回目 ラテンアメリカの著名作曲家たち
11回目 ラテンアメリカの国際空港と人名
12回目 ラテンアメリカ主要国の紙幣と人名

これら一連のレポートは、ラテンアメリカ全域をカバーしていますが、個々の国に関心のある方から見ると使い勝手が悪いかも知れません。そこで今回、上記レポートを基本にして、主要国の著名文化人・スポーツ選手等の人名録を作成することにしました。さらに詳細な情報入手を希望される方は、上記のレポートにアクセス下さい。今回はベネズエラを取り上げました。内容は、下記の通りです。

  1. ベネズエラの著名画家・詩人
  2. ベネズエラの著名作曲家
  3. ベネズエラの主要建築と設計者名
  4. ベネズエラの出身のメジャーリーガー
  5. ベネズエラの著名ボクサー
  6. 国際空港に見るベネズエラ人

1)ベネズエラの著名作家・詩人

 
ベネズエラで押さえておくべき小説家は下記の3名である。

*ロムロ・ガジェーゴス Rómulo Angel del Monte Carmelo  Gallegos Freire
1884年~1969年。ベネズエラの小説家、政治家。第48代共和国大統領。代表作は、 ドーニャ・バルバラ」Doña Bárbaraで古典中の古典と評価されている。独立後に迫る米国の侵略に立ち向かうスリルに富む冒険と恋愛の物語。その他「カナイマ」Canaima。彼の功績を称え、スペイン語文学作品に与えられる「ロムロ・ガジェーゴス賞」が1967年創設された。大学時代にドーニア・バルバラが読解のテキストに使われ大いに苦しんだ思い出がある。

*アルトゥーロ・ウスラル・ピエトリ Arturo Uslar Pietri
1906年~2001年。ベネズエラの小説家、詩人、教育者、政治家で最も知られた人物。元大蔵大臣。 代表作は、「エル・ドラドへの道」El Camino de El Dorado、「赤い槍」 Las Lanzas Coloradas。まだ日本語に翻訳されていない。1990年アストウリアス皇太子賞受賞、1991年ロムロ・ガジェゴス賞を受賞。1970年代ジェトロが10日間、夫妻で招へいした際にアテンドしたが、驚くべき教養と見識の持ち主であった。日本の俳句にも大きな関心を持っていた。

アドリアーノ・ゴンサレス・レオン Adoriano González León
 1931年~2008年。ベネズエラの詩人、小説家、短編作家、ジャーナリスト。代表作は、「携帯国家」 País portátilで20世紀後半のベネズエラでの最高傑作と言われており、この作品でビブリオテカ・ブレベ賞を受賞した。

2)ベネズエラの著名画家

 ベネズエラの著名画家として下記4名を紹介する。

*アルマンド・レベロン Armando Julio Reverón Travieso
1889年~1954年。ベネズエラのモデルニスムの画家、彫刻家、アーチストでポべラ・アートの先駆者で20世紀のラテンアメリカの中で最も重要な人物の一人。作品も青の時代、白の時代、セピア色の時代等に変化している。1937年のパリ万博に出展。2008年には、ニューヨークのMOMAで個展が開催された。ラテンアメリカでは、デイエゴ・リベラ、カンジド・ポルチナリに次ぐ3人目であった。彼の作品は、ベネズエラのみならず、MOMA、サンデイエゴ、ヒューストン、アムステルダム、ブエノスアイレス、ボゴタの美術館でも見られる。
 
*ヘスス・ラファエル・ソト Jesús Rafael Soto
1923年~2005年。ベネズエラのオプアート、キネティック・アートの巨匠、画家、立体作品作者。代表作は、「Pénétrable」シリーズ,無数の細い垂直な棒や紐を空間に吊り下げたもので、見学者は、中に入ることができ、その世界に浸透していくというもの。彼の作品は、ベネズエラの国内美術館のみならず、テート美術館、MOMA、ポンピドーセンターにも展示されている。日本でも、2018~19年に、エスパス・ルイ・ヴィトン東京で彼の展示会が行われている。1958年ブラッセル万博、1967年モントリオール万博にも展示された。

*カルロス・クルス・ディエス  Carlos Cruz-Diez 
1923年~2017年。前述のヘスス・ラファエル・ソトと並びベネズエラのオプアート、キネティック・アートの巨匠。「目の感覚から来る動き」を作品に取り入れた。色彩の達人といわれる。代表作は、「Physicromie-Series」。MoMA等で何度も展示を行っている。代々木公園内に「カルロス・クルス・デイエス色彩記念館」という個人記念館が2020年にオープンになった。

*マリソル  María Sol Escobar
1930年~2016年。ベネズエラの彫刻家、作家でポップアートの作品で傑出している。パリ生まれ,ニューヨークで死亡。代表作は、Father Damianでハワイの州議事堂に、Father Damian Statuteは、米国国会議事堂に設置されている。米州機構(OAS)が1979年に創始した「ガブリエラ・ミストラル賞」を受賞している。

3)ベネズエラの著名作曲家

下記2名を紹介する。
 
*アントニオ・ラウロ Antonio Lauro
1917年~1986年。ベネズエラのギターリスト、作曲家、歌手、音楽教師。20世紀におけるギター音楽の最先端を行く作曲家の一人と考えられている。大衆音楽からクラシックまで広範囲に及ぶ作曲を行った。小さいころ後述するパラグアイのアグステイン・バリオスの演奏会に感動した。代表作は、「Concierto para guitarra y orquesta」、「Vals venezolano No.3」、「4 valses venezolanos」。後にベネズエラ・シンフォニー・オーケストラの総裁に就任。彼の名前をとった「アントニオ・ラウロ・全国ギター・ビエンナーレ」が開催されている。
 
*ガブリエラ・モンテロ Gabriela Montero 
1970年~ 。ベネズエラのピアニスト、作曲家で国際的に知られている。特に大衆音楽からクラシックまでのメロデイを即興的に演奏することで有名。12歳でベネズエラ政府の奨学金を得て、米国に留学、その後さらに英国ンポ王立音楽院に留学。ショパン国際ピアノコンクールで銅賞を獲得、マルタ・アルゲリッチにも高く評価されている。米国のCBCの番組である60 Minutesにも2006年に取り上げられたが、同じ番組が2008年TBSでも放映された。多数の国際音楽賞を受賞したが、グラミー賞の最優秀クラシック・クロスオーバー・アルバム賞を受賞した。彼女のアルバムは、日本でも販売されている。代表的な作曲は、「Ex Patria. Poema sinfónico para piano y orquesta」 「Concierto para piano nº 1 (concierto latino)」等。

4)ベネズエラの主要建築と設計者名

*New Congress、1873年(カラカス)、Luciano Urdaneta,
*Guzmán Blanco Theatre(市立劇場)、1879年~81年(カラカス)、Esteban Ricard.
*Church of Santa Teresa、1876年(カラカス)、 University of Caracas、1878年、Hurtado Manrique.
*City Hall、1933年(カラカス)、Gustavo Wallis
*Ministry of Public Works、1934年~35年(カラカス)Carlos Guinand Sandoz
*Museum of Fine Arts、1935年~36年(カラカス)、Carlos Raúl Villanueva.
*Fermin Toro School、1936年(カラカス)、Cipriano Domínguez
*Gran Colombia School、1939年~42年(カラカス)Carlos Guinand Villanueva.
*Centro Símon Bolívar、1940年代半ば~50年代半ば(カラカス) Cipriano Domínguez,
*Polar Building (1952–54), by Martín Vegas and José Miguel Galia,
Central University of Venezuela、1944年~60年(カラカス)、Carlos Raul Villanueva.
*Corporacion Venezolana de Guayana Headquarters、1967年~68年(シウダー・グアイヤナ)、Jesús Tenreiro-Degwitz
*Poliedro Stadium、1972年(カラカス)、W.J. Alcock
* San Ignacio shopping centre、2000年(カラカス), Carlos Gómez de Llarena

5)ベネズエラ出身のメジャーリーガー

ベネズエラはドミニカ共和国と並び米国のメジャーリーグに多数の名選手を送り出している。下記の15名を紹介する。

*ルイス・アパリシオ(Luis Aparicio)
1934年生まれ。ホワイトソックス、オリオールズ、レッドソックスに所属、ショート。新人王(1956年)、ゴールドグラブ賞9回、通算安打数2677、盗塁数506、オールスター戦出場10回。1984年南米出身者で初めて殿堂入り。

*デーブ・コンセプシオン(David Concepción)
1948年生まれ。レッズに所属・フランチャイズ・プレーヤー、ショート。ゴールドグラブ5回。オールスター出場9回(1981年MVP)、通算安打数2326本、13番はレッズの永久欠番。レッズの黄金時代の名ショート。

*アンドレス・ガララーガ(Andrés Galarraga)
1961年生まれ。エクスポス、ロッキーズ、ブレーブス等に所属、ファースト。首位打者1回(1993年)、本塁打王(1996年)、打点王2回、ゴールドグラブ賞2回、オールスター戦出場2回、WBC出場(2009年、2013年)、通算安打数2333本。

*オマー・ビスケル(Omar Vizquel)
1967年生まれ。マリナーズ、インデイアンズ、ジャイアンツ、ホワイトソックス等に所属、ショート。ゴールドグラブ賞11回。守備率0.984、通算併殺数1734(歴代1位)、通算安打数2877、盗塁数404、オールスター戦出場3回。WBC代表2006、WBCベネズエラ代表監督(2017)

*ボブ・ケリー・アブレイュ(Bob Kelly Abreu)
1967年生まれ。アストロズ、フィリーズ、ヤンキース、エンゼルス等に所属、外野手。ゴールドグラブ賞1回、オールスター戦出場2回、盗塁数400、通算安打数2470本、WBC出場2回(2006年、2009年)

*マグリオ・オルドニェス(Magglio Ordóñez)
1974年生まれ。ホワイトソックス、タイガースに所属、外野手。首位打者1回(2007年)、オ-ルスター戦出場6回。通算安打数2156本。WBC出場(2006,2009)

*アレックス・ラミレス(Alex Ramírez)
1974年生まれ。MLBではインデイアンズ、パイレーツに計3年所属、外野手。その後日本のヤクルト、ジャイアンツ、ベイスターズに所属。首位打者1回、本塁打王2回、打点王4回、最多安打数3回を記録。ベイスターズの監督も務める。ラミちゃんで人気を集める。

*ヨハン・サンタナ(Johan Santana)
1979年生まれ。ツインズ、メッツに所属、投手。2006年投手の3冠達成。サイヤング賞2回、ゴールドグラブ賞1回、最多勝利19勝(2006年)、最多奪三振3回(2004年~06年)、オールスター戦出場4回、ノーヒットノーラン1回。

*カルロス・サンブラーノ(Carlos Zambrano)
1981年生まれ。カブス、マーリンズに所属、投手。最多勝利16勝(2006年)オールスター戦出場3回、WBC出場2回(2009年、2013年)。

*フランクリン・グテイエレス(Franklin Gutiérrez)
1983年生まれ。インデイアンズ、マリナーズ、ドジャースに所属、外野手。ゴールドグラブ賞1回(2010年)、シーズン外野手連続守備機会無失策記録、シーズン外野守備率1.00。

*ミゲール・カブレラ (Miguel Cabrera)
1983年生まれ。マーリンズ、タイガース所属、内野手。現役唯一の3冠王達成者(2012年)。首位打者4回(2011~13,2015)、本塁打王2回、打点王3回、シーズンMVP2回、オールスター戦出場11回、WBC代表4回。通算本塁打数487本、通算安打数2866、通算打点数1729本。現役でイチロー、プーホールスと並んで最も殿堂入りの可能性が高い選手。

*カルロス・ゴンサレス(Carlos González)
1985年生まれ。ロッキーズ、カブス等に所属、外野手。首位打者(2010年)、最多安打数197(2010年)、ゴールドグラブ賞2回。オールスター戦出場2回。WBC出場2回(2013年、2017年)

*フェリックス・エルナンデス(Felix Hernández)
1986年生まれ。マリナーズ等所属、投手。サイヤング賞1回(2010年)、最多勝利1回、最優秀防御率2回、オールスター戦出場5回。

*ホセ・アルトゥーベ (José Altuve)
1990年生まれ。アストロス所属、セカンド。首位打者3回(2014,16,17)、最多安打4回、盗塁王2回、ゴールドグラブ賞1回、シーズンMVP1回、オールスター戦出場6回、2017年WBC代表。現在、最も輝いている選手の1人。

*マルセル・オスーナ(Marcell Ozuna)
1990年生まれ。マーリンズ、カージナルス、ブレーブスに所属、外野手。本塁打王・打点王(2020年)、ゴールドグラブ賞1回(2017年)オールスター戦出場2回。2021年2月、ブレーブスと4年総額6500万ドルで契約。

6)ベネズエラの著名ボクサー

 
下記の3名を紹介する。

*ベツリオ・ゴンサレス(Betulio González)
 1949年~   93戦77勝〈内KO52回)、負け12回、引き分け4回。元WBCフライ級王者(1回目は防衛1回、2回目は防衛2回)、元WBAフライ級王者(防衛3回)日本選手との試合が多く、大場政夫とは判定負け、小熊正二とは4回闘っており、判定負け、判定勝ち、引き分け、KO勝であった。
 
*エドウイン・バレロ(Edwin Valero)
1981年~2010年 27戦27勝(KO27回)というパーフェクト・レコードの持ち主でDINAMITA(ダイナマイトの異名を持っている)コカイン、飲酒、交通事故等でニューヨーク州のライセンスが得られず日本の帝拳に所属、日本を舞台に活躍。2006年、WBA世界スーパーフェザー級王者、4回防衛後、ライト級に転向。日本の本望信人や嶋田雄大にKO勝ちを納めている。家庭内暴力で母親や姉妹に暴力を加えて逮捕されたり、最後には妻を殺害し、自殺した。
 
*ホルヘ・リナ―レス (Jorge Linares)
1985年~   51戦46勝(うちKO),負け5回。ゴールデンボーイ(El Nino de oro)という異名。17歳の時に訪日し、帝拳に入門。元WBC世界フェザー級王者、元WBAスーパーフェザー級王者、元WBC世界ライト級王者と3階級を制覇した。現在は村田諒太のトレーナーを務めている。日本の荒川仁人を判定で退けている。

7)空港名に見るベネズエラ人

ベネズエラには69の空港があり、内国際空港は9、国内空港は60となっている。人名のついた空港は30ある。ここでは、下記2空港を紹介する。

ベネズエラで人名のついた空港 2空港

空港所在都市 空港名、人名
Caracas Aeropuerto Internacional de  Maiquetía Simón Bolívar
Porlamar,

Isla Margarita

Aeropuerto Internacional del Caribe “Santiago Marino”

*シモン・ボリバル   Simón Bolívar
1783年~1830年。カラカスのマイケテイア国際空港及びコロンビアのサンタ・マルタ国際空港は、彼の名前に因んでいる。ベネズエラのカラカスの名家に生まれる。スペインからの独立に立ち上がり、南米大陸のアンデス5カ国を統一した大コロンビア共和国を打ち立てようとした。解放者(El Libertador)と呼ばれる革命家、軍人、政治家、思想家。ベネズエラ第二・第三共和国大統領、グラン・コロンビア初代大統領、ボリビア初代大統領、ペルー第八代大統領。カラカスとボゴタの中央広場は、「ボリバル広場」と呼ばれるほか、ボリビアの国名もボリバルから来ている。ベネズエラの国名や通貨にもボリバルが使われている。ガルシア・マルケスの小説「迷宮の将軍」はボリバルのストーリーである。

*カルロス・サンティアゴ・マリーノ   Carlos Santiago Marino
1788年~1854年。マルガリータ島のポルラマル市の国際空港は彼の名前に因んでいる。1811年から1821まで続いたスペインからの独立戦争のベネズエラ軍の将軍として勝利に導いた。マルガリータ島の生まれである。

以    上