【有識者インタビュー】ルイス・アルベルト・モレノ前米州銀行総裁 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【有識者インタビュー】ルイス・アルベルト・モレノ前米州銀行総裁


有識者紹介

ルイス・アルベルト・モレノ(Luis Alberto Moreno)氏は、1953年コロンビア生まれの政治家、ビジネスマンであったが、2005年から米州開発銀行の総裁を3期、15年間務め、2020年に退職。世界経済フォーラムの評議員、国際オリンピック委員会、バイデン政権のPartnership for Central Americaのリーダーシップのメンバー、Nu Holdings Ltd.、Dowの取締役会メンバーを兼任。2021年から民間投資銀行であるAllen & Coのマネージング・ディレクター。

IDB在任中は、モレノ氏は、資本活用の最適化による財務体質の強化、民間部門との提携(IDB Invest)およびイノベーションラボ(IDB Lab)の新設、IDBの業務の効率化に取り組み、IDBを変革させた。COVID-19パンデミック発生時にはいち早く域内国支援を実施した。

IDB以前は、1998年から2005年まで駐米コロンビア大使を務め、麻薬取引撲滅と社会・経済復興のためのプログラム「プラン・コロンビア」など、超党派および二国間援助イニシアティブを主導した。大使職以前は、コロンビアにて、ガビリア政権下で経済開発大臣や、公的セクターの持ち株会社である産業振興研究所の代表を務めた。

サンダーバード大学のアメリカ国際経営大学院で経営学修士(MBA)を取得。コロンビアの最高の栄誉であるボヤカ勲章大十字型章、ウッドロー・ウィルソン公共サービス賞、クリントン・グローバル・イニシアチブ地球市民賞、大西洋評議会のリーダーシップ賞など、そのリーダーシップと公共サービスに対して数多くの栄誉を受けている。 2021年に同氏は日本の旭日重光章を授与された。

本文概要

COVID、ウクライナ情勢に鑑み、ラテンアメリカも大きなサプライ・ショックの影響を受けている。それは「質の逃避」を伴い、ドル高を招き、財政赤字、対外債務の大きいラテンアメリカ諸国を圧迫している。しかし、ラテンアメリカ諸国が全て同じ状況にあるわけではなく、コモディティー生産国であり、輸出国である南米諸国は、中米のような輸入国とは状況が異なる。サプライチェーンの再構築の流れの中で、ラテンアメリカには良い機会が訪れていると言える。米州開発銀行(IDB)を含む国際開発機関は生産拠点の移転の動きを支援し、世界的に起こっているエネルギー転換にクリエーティブに対応すべきであろう。さらに、これらの国際開発機関は、ラテンアメリカが抱える根深い格差問題に対して支援を強化すべきであろう。それには教育の質と労働市場の環境改善が重要となる。

日本はラテンアメリカで好意的に受け入れられており、自分自身も多くの良い思い出がある。日本の支援、通商関係はラテンアメリカに発展をもたらした。ラテンアメリカに深い理解を示し、ラテンアメリカの人々に愛情を示して下さった故安倍首相のご逝去に心からお悔やみ申し上げる。

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