執筆者:ピーター藤尾(在チリ・サンティアゴ)
「政治」
1)ボリッチ動向
今週はチリ最北端のアリカ・パリナコタ州を訪問しました。その地区は隣国から不法に移民が入ってくる問題が長い間続いています。その移民が犯罪集団になって同地区の安全に大きな影響を与えているとか。そこでマプチェの問題対策と同じように、そこにも軍隊を駐屯させれば良いのではと言うアイデアが出ています。その凶悪集団がアリカの後ろの丘に違法建設をして住み着いているようです。素人の私の考えでは、その一軒一軒を訪ねて違法建設を確認するのと、そこの住民の身分証明書を調べれば、大半はチリ人でしょうが、移民の違法入国問題が分かりますから、犯罪歴によって刑務所に収容するか国外追放にすれば、そのグループは消滅すると思いますがどうでしょう。チリで活動する3大麻薬グループはメキシコのハリスコとシナロア、それにべネスエラから来た「アラグアの汽車」と呼ばれるグループです。
その違法建設に関連して、ボリッチは今日、日曜日にモネダ宮殿で,記者を前に、貧困層の人の住居を用意したいとしました。彼の4年間の任期の間に26万軒の家を建てて市民に渡すとか。うまく行くでしょうか?
ボリッチはマプチェのアラウカニア州も近いうちに訪問するとしています。そこは今週、国会で軍隊の駐屯をさらに15日間の追加が認められましたが、森林会社に銃を持った覆面グループが入り込み、従業員に発砲し、重機・トラックに放火しました。軍隊を置いても犯罪行為は無くなりません。警察や軍隊が治安を維持できないことが、他の犯罪グループには励ましになって??チリの治安が悪化する一方です。国際問題では、ボリッチはウクライナのゼレンスキー大統領と電話で話し、チリも彼らの援助をしたいと伝えたとか。
さて問題の新税制に関し、メルセル大蔵大臣は過去の9名の大蔵大臣と会談し、彼らのコメント聞きました。その後、ボリッチは新税制を発表しましたが、ロイヤリティ税など鉱山関係の企業関連の他に、所得税としては人口の3%、所得が4百万ペソ以上の人が
その増税の対象になるとか。また投資のためにマンションを買いそれを貸し出している人にも新税制では税金を払うように指示します。ところで新税制システムの目標は合計で
GDPの4.1%、120億ドルです。大蔵大臣はこの新税制は新規投資を抑えることはないとしました。国会で議論が始まります。
先日、大きな問題になったコデルコのベンタナス精錬所が、1か月の停止期間を終え、許可をもらって再操業開始。全面停止までまだまだ問題が続きそうです。
2)新憲法委員会
とうとうすべての議論を終えました。委員はこれで職務を終え、7月4日の閉会式の後に自宅に戻る(失業する)ことになります。その日、委員会はボリッチ大統領に新憲法案を手渡すわけです。この後、新憲法是非の運動が始まります。どっちが勝っても社会騒乱が起きると言う予想です。新聞の社説に、同委員会が発足した時の熱気は消えてしまった。委員会の運営方針、そして委員の素質に問題があり、国民の共感を得られなかったと厳しいコメントが掲載されました。
「経済)
1)経済成長率
中銀発表の月例指数が発表されました。5月の数字は前年対比6.4%の上昇でした。昨年3月以来ずっと上昇が継続しています。もっとも5月の上がり方は4月のそれより低かったので風が変わって来たのかと言われます。つまり今年の第2四半期は第1四半期より数字が下がりそうです。
2)銅価格と為替
銅の価格は6月は13.2%も下がりました。6月30日は3.74ドルでした。7月1日はさらに下がって3.62ドルでした。それから6月のチリの対ドルペソの下落は世界で2番目とか。1ドル920ペソでした。3月28日は780ペソでしたから、わずかの期間にそれだけ落ち込んだわけですね。7月になって1日はさらに下がって932ペソ。どこまで落ち込むのでしょう。
3)株式市場IPSA
6月は4993ポイントで終わりましたが、月半ば5500ポイントほどまで上がっています。今年になてから1-6月で14.9%の上昇ですから、株に投資をしている人はニッコリですね。
「一般」
1)コロナ問題
今週も毎日1万人以上の新規感染者が出ていますが、ほとんど大きな問題にはなっていません。もう慣れてしまったのでしょうね。それで良いのか、また緊急病室が不足するとかの問題が出るのか分かりませんが。
2)雨量
6月は一月で20ミリの雨しか降らず、過去20年で2番目に低い数字でした。(年平均は80ミリです)この乾燥状態がどうなるかは生活に大きな影響を与えることになります。7月1日の雨は少しは問題軽減になりそうですが。その日、首都圏のあちこちで水があふれ車の運行に支障が出ました。雨が降らないと困りますが。雨が降ると困るわけです。道路が冠水した所で、女性が靴を脱ぎ、はだしで道の反対側に渡るのがニュースに出ました。冷たかったでしょう。
3)冬休み
今週から学校は冬休みに入りました。金曜日はかなりの雨だったのに、バスターミナルに多くの乗客が詰めかけました。200キロ以上離れた場所に移動するには移動パスが必要です。それは既に4回のワクチンを接種したと言う証明書です。それを携帯電話に入れて必要なときに係員に見せるわけです。ちゃんと機能しています。 以 上
「2022年7月4日~7月10日」
「政治」
1)ボリッチ動向
大統領府のボリッチ動向報告ですが、火曜日に中高年ツァーが久しぶりに開始され、その最初の汽車の旅に彼も同行したとか。昔、バチェレットが大統領だった時、彼女は政治的にはパッとしませんでしたが庶民と楽しく交流する様子が頻繁に報道されました。ボリッチもその路線を歩くのかな?その汽車に乗ったニュースがなんと日曜日までトップで継続。じゃ今週はそれより大事な仕事はしなかったのかな?
2)新憲法委員会
9月4日の投票に向けて賛否の両グループが活動を始めました。
もっとも多くの国民は賛否を唱えていても、過半数の人は新憲法をちゃんと読んでいないとされてます。私も読んでいませんが、私の語学力では憲法案を読みこなすのは無理です。単語も言い回しも良く分かりません。実力不足ですね。
しかし揉めているのはキリスト教民主党DCです。党としては賛成に回るようですが、旧党首など主要メンバーの多くが反対に回っています。私はそれで党が2分し、野党と与党に分かれるのではと想像しましたが、そこまではまだ行っていません。その党員で元大統領のフレイは反対を表明しています。
そして元大統領のラゴスも新憲法は自分と意見が一致しないところがあるとコメント。それで彼ら二人は新憲法委員会の閉会式に参加を拒んだのですね。新聞の特集で、民政化して以来の中道左派政権の時の大臣一人一人に賛否を問いかけたところ、50.3%が賛成とか。賛否がぴったり半々なのですね。与党側は賛成と言うのは間違いですね。
ところで、憲法は軍事政権が作成したものではなく、自分たちの手で作ろうとこの委員会が発足したのですが、うまく行かなかったようです。9月4日の投票はどうなるでしょう。さて日本では外人が作った憲法をいまだに大事に守っていますね。チリと大きな違いがあります。
「経済」
1)物価上昇率IPCとインフレ
6月のIPCは0.9%、過去12か月で12.5%になっています。その12.5%は過去28年で最高とか。現状はそこまでひどいのです。給料は上がっていますが、物価上昇率より低いので実質賃金は下がっているとか。日本も同じようですね。つまり物価上昇を抑えるのが、緊急の課題になっています。ガソリン価格は、その動きを原油市場・為替に直接反映させず、政府機関のクッションを通してコントロールしています。それで今まで週に5,6ペソの上昇・下降が通常でした。ところが今週はそれが一気に跳ね上がって20ペソ高になりました。ドライバーが怒っています。政府は何を考えているのだと。
でも不思議ですね、ほんの少し前に政府の金をつぎ込んで価格の安定を図ると発表しているのにボリッチは何をしているのかな?ボリッチ大統領を支持しないとする市民が今週は60%まで上昇です。野党の右翼が、政府の側に立って市民の援助をしたいのでガソリン税の一部を下げる・無くす案を出してほしいと発表しました。マプチェ問題と同じくボリッチは野党と 組んでいるみたいですね。何か手を打てるのかな?
2)銅価格と為替
1ポンド3.53ドルとまだ下がっていきます。今週、為替が一時期1ドル1000ペソを超え、大騒ぎでした。恐慌とさえ言えそうでした。それがやや収まり金曜日は公式には960ペソ、一般的には974ペソで閉めました。これに関し、政府側が中銀にどうして適切な介入をしないのかとクレームしているらしい。そのペソ安が、輸入品の価格を上げているわけですね
もっとも農産物の輸出業者はこのペソ安で、ニッコリと言う記事が掲載されました。雨が少ないので生産が上がらず、コストが上がったので今年は軒並み赤字と言われていました。それがこのペソ安で・・・、神風ですね。
「一般」
1)コロナ問題
毎週同じです。毎日1万人ほどの感染者が出ているのに大騒ぎにはなりません。感染率も15%ほどと高いレベルが継続です。大騒ぎする必要はないのかな?
2)マプチェ問題
先週、軍隊駐在案を国会が認めましたが、政府をそれをさらに15日延長するようよう要求とか。全く理解できませんね。その無駄な動きを止め、一度で3か月、認証すればよいのでは???しかし今週も各地でマプチェグループの攻撃があり、多くの施設・車両が破壊されました。森林地区での盗伐も継続ですが。どうしてそれだけの組織を持つマプチェのグループを監督・把握できないのでしょうか。小さな町で何も仕事をせずに生き延びている若者がいれば、その人はグループに関連している可能性が大きいですからね。
先週のチリの風を読んだ読者から次のコメントが来ました。
「警察力で国内治安を維持できないのであればそれはもう非常事態です。軍事力導入での治安回復は、右傾化ではなく、左翼政権の優柔不断さが過激派を増長させた結果です」
私は政治家は右も左も同じようなものだと最近思っていますが、読者のコメントはどう思われますか。3年前、ピニェラ政権を潰すための大規模デモが起きましたが、その暴力デモを起こしたのはボリッチなどの新左翼でした。
「政治」
1)ボリッチ動向
全国の市町村長会議に参加し。みんなが手を取り合って国を良くしていこうとコメントしました。貧困層援助の冬のボーナスを発表750万人に12万ペソのボーナスを出すとし、国会で議論されます。それが通ると8月に支払われるとか。
内務大臣批判
内務大臣が機能していないと国会で議論されましたが、その批判は拒否されました。辞任する必要はありません。それに関して、ボリッチは意味のない論争をするより、議会を上げて犯罪抑制について議論してほしいとコメントしました。ボリッチが野党だったころ、何度かピニェラ大統領が機能していないと違憲として訴えたことがありますね。自分たちがしたことを相手側がするとクレームするのは見苦しいです。つまり右も左もチリの政治家は大したことはないと言うわけです。
2)新憲法委員会
ボリッチが9月4日の投票で新憲法拒否が勝った時は、新憲法の設立をもう一度はかる必要があるとしました。与党の中から大統領がなにを言うのだと強いクレームがでています。軍事政権時の現行憲法を新しくすると言うのは、野党側の夢でしたからね。政府と与党の意見の不一致、与党内でも意見の相違と見苦しいです。賛否の両グループが行動を始めました。私にはどちらにも参加する気はないですが。9月4日の後、大混乱が起きるのは間違いないし、与野党ともにグループ内でのいざこざが表面に出て混乱・破綻騒ぎになりそうです。
議会の7分の4
新憲法が国民に承認された場合、現法議会でその確認をしますが、過半数ではなく7分の4の票がいります。新憲法が国民に承認され、国会で否決されれば、どうなるでしょう。国会解散になって、新憲法否定に動いた議員を引きずり降ろそうとするでしょうね。
「経済」
1)銅価格と為替
先週1時、為替で1ドルが1000ペソを超えた時がありましたが、その日の終了時はまた900ペソ台に戻りました。ところが今週は1日の終わりに1000ペソを越えました。それが週末に大きく変わりました。中銀がドル相場に介入し、いろんな部門への合計250億ドルを投入すると発表しました。するともうドルを買っても利益は出ないとする動きが出て1ドルは979ペソ迄下がりました。1日のドルの下がり方としては歴史上最高の数字でした。専門家の意見では為替はこの先、800ペソ台まで戻るだろうとしています。
さて、今週の銅の価格は1ポンド3.18ドルと先週より大きく下がりました。毎週のように下がっています。ボリッチ政権には大きな痛手です。さぁ来週はどうなるかな?
2)インフレ
公定歩合の上昇です。9.75%まで上がりました。金利を上げて消費を抑え、インフレを元に戻すと言う作戦です。なんとチリのインフレは現在のラテンアメリカで第3位とか。普通、ラテンアメリカで3位と言うとニッコリしますが、この場合は・・。チリより酷いのはべネズエラとアルゼンチンです。そのアルゼンチンは政治・経済が混乱し、毎日大規模デモが起きています。国が破産しそうですからね。アルゼンチンに住んでいなくてよかったと思います。もちろんべネスエラにも住みたくないです。その次にひどいのがチリなんて。これに関してボリッチは「商品の価格を政府が抑えようとすれば、商品は闇市場に流れることになるわけで、意味はない。従って物価を強制的に抑えるつもりはない」としています。
「一般」
1)大雨
今週も大雨で16年ぶりの雨量とか。7月に入って今までで68ミリですが、今までで170ミリになり昨年1年の量を越えました。これは今年が大雨なのではなく、今まで雨量が少なすぎたと言うことです。つまり正常化してきたと言うわけです。それに低温が加わって各地で被害が出ています。雪で道路の通行が出来なくなり、奥地の村が孤立するのが多いです。
所で、話が違いますが、南米最南端の街プンタアレナスで海水浴祭りがありました。参加者は約5000人とか。そのうちの30%は外人でした。もちろんアメリカなどから来たのではなく、大半は隣のアルゼンチンから車で来た人たちです。しかし海水は零度の水温でしたが、楽しくお祭りをしてから水着になった人が泳ぎました。毎年恒例のお祭りですが、私は海に入る気にはなりませんね。さぁこの大雨(もしくは通常の雨量)はこの先も続くのかな?
2)コロナ問題
先週とほとんど同じような数字です。感染者数毎日約1万人、陽性者率15%、死亡者数は59000人です。
3)大学ランキング
ラテンアメリカの13か国197の大学を比較した今年のランキングが発表されました。1位はチリのカトリカ大学でした。国別の数字では1位がブラジル、2位がチリでした。チリはボリュームでは規模の大きいブラジルに勝てませんが質ではトップですね。うれしいニュース。
「政治」
1)ボリッチ大統領動向
ボリッチは新しく開通した首都圏の東アメリコ・べスプシオ高速道路の開通式に参加し、こうして各区の間の交通・連絡が進み共通して発展していくのが素晴らしいとしました。
2)新憲法
政府は内容を理解して投票しようとするキャンペーンを開始しました。新憲法賛成の運動で話題になったのはラテンアメリカで有名な歌手のシャイアンをその宣伝に使いましたが、許可なくイメージを使用したらしく問題です。また同グループの運動員にサッカーチリ代表のユニフォームを使ったのも批判が出ています。国連の人権委員会のトップを務める元大統領のバチェレットがチリを訪問し、ボリッチと3時間にわたる面談をしました。他の元大統領が反対の票を投じるとしていますが、彼女は新憲法に関し、それが完ぺきとは言わないが、現行憲法を改善しているのは自明で、私は賛成票を投じるとコメントしました。まだ賛成も反対側も大きな動きにはなっていませんが、市町村長などが中心になって運動を準備中です。
「経済」
1)銅価格と為替
1ポンド3.34ドルと先週よりずっと高くなりました また1ドルは957ペソで閉めましたが、一時921ペソ迄落ちています。それでも1000ペソを越えてた時より中銀介入もあって落ち着いてきています。それとは直接には関連しませんが、政治の不安定さと外部との関係の動きは、チリ経済の低迷に大きく関連するだろうとのコメントが出ています。
新税制に関して経営者グループが少しづつ前進するのを願う、いきなり大きく変われば安定性が失われるとしています。またこのペソ安で、移民がチリを離れるケースが増えているとか。外国からチリに来て、もらう給料の一部を母国に送っているのに、それがみるみる内に減少し、何も送れなくなったとしています。
「一般」
1)マプチェ問題
アラウカニア州(第9州)がその問題の中心ですが、その南の州にも問題が広がっています。マフィルやロンコで車両・重機・家屋への放火事件が起きています。マプチェの最尖鋭グループの動きとか。ところでカナダを訪問中のローマ法王が現地の先住民に皆さんの先祖にカトリックが問題を起こしたことをお詫びしますとしたとニュースに出ました。アメリカ・アジア・アフリカ・オセアニアでスペイン・ポルトガルを使って同じ侵略を繰り返したわけで、その事故批判だけでなく、その犯罪を償うことは出来ないのでしょうか?
それから、今年に入って今までに700名を超える警官が辞職しました。マプチェが警官を狙って発砲する事件が多く出ていますが、もちろん首都圏の犯罪の増加も警官の生命の危険を増やしているのは確かです。それで警官を止めてそのほかの機関の安全関係の仕事に就いた方が良いのではとしているらしい。給料も民間の方が良いでしょうね。昨年より3割以上も辞職する人が増えているとか。外国からの麻薬組織がチリに続々と進出していますが、その一つのべネスエラから来た「アラグアの汽車」が勢力を伸ばしていますが、今週その3人が逮捕されました。
2)コロナ問題
今週は大きな動きはなく、毎日7,500名ほどの新規患者が出ています。今週の私たちの南への旅で、飛行場、ホテル/レストランなどで移動パス(ワクチン4回の接種証明書)を要請されました。そのため、新規患者が増えていても、以前のような自宅待機令はでていません。 以 上
「政治」
1)ボリッチ動向
教育と健康生活に関する二つの集まりで、彼は同じタイプのコメントをしました。それはすべての国民は健康で充実した生活をする権利がある。つまり病気・怪我をすれば誰でも適切な治療を受けることが出来ると言うことです。国民の健康問題を営業目的にしないとか、世界でトップクラスの国になりますね。また親の収入状況には関係なくすべての児童は充実した教育を受ける権利があるとしました。どちらも言うのは簡単ですが、それをどう実現させるのかな?借金が増えれば隣国のような苦境に立たされますね。
2)新憲法
賛成・反対のグループが運動を準備中ですが、新憲法を勝ち取ろうと国民が動き始めた3年前の熱気はありません。左翼の賛成派の中では共産党と新左翼が争っています。主導権争いでしょうね。どこの国でも共産党とそのほかの左翼は仲良くないみたいです。反対運動の右翼側も似たようなものです。つまり左翼も右翼も大した差はないと言うのが結論でしょう。政府がその活動に介入したとするクレームに関し監査委員会が調査することになりました。新聞の社説に速やかに調査を進めその結果を発表してほしい。そうでなければ新憲法是非の投票に悪影響を及ぼすとしています。
3)健康保険
チリの健康保険は国営のフォナサと民営のイサプレに別れます。フォナサのトップが「国民の健康を保証するため私たちが全力を尽くす。それが実現できればイサプレは必要ではない」としました。簡単に言うと、現在の情況はフォナサに加盟している人は毎月支払う額は低いですが受けるサービスのレベルも低いです。つまり何かの病気で手術をする必要が出たとき、何ヵ月、ひどい時は何年も待たされます。イサプレなら何日・何週間で実施されます。もちろん民間の健康保険会社がニッコリ笑って、ハイさようならと言うはずはありませんから、厳しい論争が始まるでしょう。
これと似たような気がするのですが、厚生年金AFPを国営に変えようとする動きが先の社会騒乱の時から続いています。民営ではなく国営にしようとするものです。でも親方日の丸式が民間の営業力を超えるとは、私には思えません。過去20年間の年金運営利益を比較すれば、ほとんど毎年チリの方が日本より上だったと記憶しています。
「経済」
1)経済成長率
最近のIMFの発表ではチリの今年度の成長率は1.5-1.8%とそこそこですが、来年度は成長なしとか。それはラテンアメリカ諸国の中で最低ランクです。チリの政治・経済が来年はそれほどひどい混乱に落ちるとみられているわけです。しかしIMFは各国の政治・経済の動きを深く・細かく観察・予測出来るのですね。不思議です。
先週、アメリカでチリ政府がチリ・ディと言うプレゼンテーションを実施しました。それに参加した大蔵大臣に現地の経営者は新税法、特に鉱山のローヤリティ税について多くの質問をしたとか。想像できますね。さてその新税のうちの一つ所得税ですが、個人のケースで、高額所得者は、例えば月収1500万ペソなら現行の税制では月給の3ヶ月分を支払うが、新税ではそれが4ヶ月分に上がるとか。
2)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド当たり3.54ドルと先週よりずっと高くなりました。そのため為替も1ドル911ペソと落ち着いています。国立機関コチルコの発表ですが、今年の年間平均の銅価格は4月に発表した4.4ドルを下方修正して4.0ドルにしました。年末に4ドル辺りで落ち着けばよいのですが。IMFもその辺はちゃんと抑えているのでしょうね。しかしドルの価格の変移は不思議です。今年の初め1月3日は1ドル853ペソでした。それがペソが強くなり始め3月25日に1ドル779ペソまで行きました。それが一変してペソ安に変わり、800,900、1000ペソになりました。7月14日は1051ペソでした。その日はアメリカの記念日ですね。チリの中銀の介入でそれが変化し、今月は903ペソ迄戻りました。つまりどこかの勢力がチリペソを操って商売をしていたのではないですか?素人の私にも不可解な為替の動きです。
「一般」
1)CAMの動き
CAMと言うのはアラウコ・マジェコ連盟の略ですが、そのリーダーのエクトル ジャイトルは「何年か前に政府が特別法案をでっちあげ、それを使ってマプチェを虐待してきた。それに反対する我々のグループから多くの逮捕者が出て刑務所に送り込まれた。これは政治犯としてすぐに釈放していただきたい」とコメントしました。もちろん、これに関して大きな反応がありました。彼らの暴力行為を認められないとするのが多く、CAMのリーダーを(すでに逮捕されたこともありますが)コントロールするべきだとされています。今週も、いつものように暴行事件が発生です。トラック・重機の他にホテル・教会などの家屋への放火事件があり、警官が4名火傷を負いました。マプチェの政治犯の釈放を訴えるパンフレットがありました。
さて今週の国会で、それに関連して大騒動がありました。いつものように南部の州を例外州(特別州)にして軍の駐屯を認めることになりました。その議論の場に内務大臣が呼ばれ、彼女がマイクを握りました。彼女はこの問題に関し、「皆さんはこれを3月11日(ボリッチ政権発足)以降に起きたと思っておられるかもしれませんが、違っています。その前の4年間も同じ問題が続いています」問題の根源ををピニェラに渡したわけです。議場は混乱し、一時中断しました。再開した時、大臣は私の言い方に問題があったかもしれずお詫びしますと逃げました。結局、南部州の特別扱いは認められましたが、政府の考え方は頼りない・はっきりしない・リーダーシップがないことが分かりました。もちろん問題は南部のマプチェだけでなく、北部の違法移民問題は全く収まらず、逆に増加しています。べネスエラの麻薬組織が地域住民に恐怖を与えていると今日のニューに出ました。政府は何をすべきかよく理解していないようです。
2)犯罪の増加
3年前の社会騒乱の時から人権委員会は政府にクレームしていました。ピニェラ政権が警察・軍隊を使ってデモ隊を襲いその人権を無視したと言うわけです。従って、左翼系からは政治犯の釈放を求める声が続いています。高校生の地下鉄タダ乗りから始まった社会騒乱ですが、商店を壊す、物品を奪う、建物に放火するなどの暴力行為が日常化でした。つまり反政府運動と言うより、日常の不満をそれで満足させる暴力行為だったのでしょう。政治犯とはとても思えません。そのグループを煽ったのが新左翼運動で、一気に注目を集め、大統領選挙でその中心だったボリッチが勝ちました。その後、暴力行為は一時収まりかけたのですが、また復活してきました。今週、イタリア広場の近くに30名ほどのグループが現れ、近くの店を襲いました。例えばレストランで、椅子を道路に投げつけるなどをしました。店の物を略奪すると言うのではなく破壊行為を楽しむと言う感じです。
それから最近多い犯罪は自動車の強奪ですが、止まっている車に近づき、運転手からキーを奪って、運転手を外に放り出し、その車で逃走するわけです。その事件で捕まった犯人の半数が未成年とか。中学生・高校生が目立ちます。
今週からほとんどの学校で授業が始まりました。サンティアゴで、国立学院の近くで、白いオーバーオールの服を着た高校生がバリケードを作って道路を封鎖して暴れました。
もう何回もそれを繰り返していますが、学校教育改善に結びつく抗議とはとても思えません。学校も行政機関も何もできませんね。
3)コロナ問題
先週とほとんど同じです。新規患者数は一日9000人ほど。陽性者合計は36000人ほどです。それに対し、政府の規制はありません。ピニェラの時は自宅待機令などいろいろ手を打ちましたが現政権はほとんどゼロです。今日、厚生大臣が5回目のワクチン接種を考えているとしました。