1927年にコロンビアのカリブ海地方の辺境の村で生まれ、ボゴタの国立大学で学び、ジャーナリストとして働きながら小説の執筆を始め、1958年にメルセデス・バルチャと結婚し生涯62年間連れ添い、1967年に出版された『百年の孤独』や1975年の『族長の秋』などの長編小説が評価されて1982年にノーベル文学賞、2020年にメキシコシティで亡くなったガルシア=マルケスの長男ロドリゴがつづった父ガルシア=マルケスの最晩年の入院、死去、火葬、メキシコシティのPalacio de Bellas Artes(国立芸術院)で行われメキシコとコロンビアの大統領も参列した追悼式典、その6年後の母メルセデスの死に至る日々。
父が徹底的にローカルな題材を扱いながら、目の前にあるものではないものも地理的にも時間的にも遠いところから書くスタイルが「魔術的リアリズム」作家として世界的に高く評価されたが故に、その対極としてロサンゼルスで映画監督、脚本家として英語世界で活躍してきたロドリゴのまなざしから見た、父と母の思い出とガルシア=マルケスの家族の歴史。巻末に家族の写真22点と年譜、著作の書誌と訳者のあとがきを載せている。
〔桜井 敏浩〕
(旦 敬介訳 中央公論新社 2021年12月 190頁 2,000円+税 ISBN978-4-005483-9)