「不良少女の悪戯」 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

「不良少女の悪戯」


         

この正月休みに バルガス・ジョーサの最新作”Travesuras de la niña mala”を読みました。

ガルシア・マルケスの「コレラの時代の愛」は、彼女への思いを胸に独身を守ってきた男(76歳)が、夫を不慮の事故で亡くしたばかりの彼女(72歳)にその夜ついに愛を告げる純愛物語ですが、バルガス・ジョーサのこの作品も男の純愛を扱ったものと言えるでしょう。尽くしても尽くしても裏切られる彼女を今度こそ諦めようとしますが、諦めきれず、ついに彼女の最後を看取るところまで付き合うという話。さすが卓越したストーリー・テラーのバルガス・ジョーサ。読み出したら、面白くて一気に読んでしまいます。日本のフクダというヤクザっぽい悪徳商人が出てくるのは頂けませんが。一読をお勧めします。

                       伊藤昌輝