1968年/キューバ/監督:トマス・グティエレス・アレア
原題:Memorias de subdesarrollo/モノクロ/97分
配給:アクション/公式サイト:http://www.action-inc.co.jp/memorias/index.html
ベニチオ・デル・トロやガエル・ガルシア・ベルナルらが「生涯ベストの1本」、「最も刺激を受けた1本」と口を揃えて絶賛しているというので、もの凄〜く期待しました。
さて、映画が始まると、カミュの『異邦人』とよく似ていることに気づきます。
革命からミサイル危機に至る動乱のキューバで、出国する妻や友人を尻目に1人ハバナに残り、現実感が得られないまま無為に日々を過ごす資産家の青年セルヒオ。彼は、ムルソー青年(戦火の中にあるアルジェリアで、養老院から母の死亡通知をうけ、何にも刺激を感じられないままに仕事の事務所に通う)を彷彿させます。やたらとバルコニーから通行人やプールサイドを眺めるところもそっくり。ムルソー青年が「太陽のせいで」アラブ人を殺してしまったように、セルヒオ君も何かやらかすに違いない(そして物語が第2部に入る)。と思いきや、法廷に引っ張り出される場面ありますが、中途半端な感じの終り方でした。
原作はエドムンド・デスノエス(『いやし難い記憶』小田実訳)、『苺とチョコレート』で知られる監督の作品。『コマンダンテ』と同じく、ユーロスペースで公開中。渋谷ユーロスペースは昨年「キューバ映画祭」を開催するなど、熱心ですね。