メキシコ映画 『ルド and クルシ』 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

メキシコ映画 『ルド and クルシ』


 バナナ農園の現場監督でギャンブル好きなルドはアマチュア草サッカーのゴールキーパーとして鳴らし、異父弟クルシは歌手志望だが同じく草サッカーのストライカーとして非凡な才能がある。こういった埋もれた人材を探すスカウトに見出された兄弟は、まずはクルシがメキシコ市のプロチーム入りし、スター選手にのし上がる。ルドも一足遅れて対抗するプロチーム入りし、無失点記録を更新する。

 しかし女好きのクルシはコマーシャル娘に誘惑されて振られ極度のスランプに陥り、ルドはギャンブルでマフィアに多額の借金をしてしまう。最後はそれぞれのチームが対決する試合で、スランプからの脱出を目指して兄のゴールを割ろうという弟と、マフィアに恐喝されて八百長失点をしようとする兄とのPK対決になる。

 兄弟の自由気まま、底抜けの楽天さ、そしてラテン男のマザコンぶりと家族の絆の強さが、サッカー界のリベートと駆け引きなどとともに楽しめるが、貧しい日々から抜け出るためにもがいて翻弄される低所得の若者の生き様は、ラテンの世界を知る上でも一見に値する。

 “Rudo y Cursi”  監督・脚本 カルロス・キュアロン、主演 ガエル・ガルシア・ベルナル(Cursi)、ディエゴ・ルナ(Rudo)   2008年メキシコ カラー 110分

  (渋谷シネマライズで2010年3月19日まで上映中)