連載エッセイ185:ピーター藤尾「チリの風」その6 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ185:ピーター藤尾「チリの風」その6


連載エッセイ182

「チ リ の 風」その6

執筆者:ピーター藤尾(在チリ・サンティアゴ)

「2022年8月29日―9月4日」

「政治」

1)ボリッチ動向 
彼は日曜日の投票に故郷の南米最南端の街プンタアレナスに飛び投票しました。「タイムス誌」アメリカの雑誌にボリッチ特集が掲載されました。ラテンアメリカに多い左翼政治家の新しい顔と言う書き方です。

ブラジル大統領選挙
現大統領ボルソナソが、競争相手の左翼を批判するのにボリッチを利用しました。安定していたチリが社会騒乱を起こし、危ない国になったのはボリッチの責任だとしました。チリ政府は全く根拠のない発言で容認できないと同国チリ大使を呼んで抗議しました。ボリッチが3年前の騒乱で何をしたかは知りませんが
彼のグループがデモを繰り返し、その中のメンバーが商店略奪などの犯罪行為を起こしたのは事実でしょうね。
弟の事件  ジャーナリストの彼の弟は取材をしている時に学生グループに襲われ負傷しました。チリも危ない国になりました。

2)新憲法賛否
ラディカル党の前党首マルドナルドは党の決断(新憲法賛成)を受けないと発表したので、やむを得ず、党は彼を処罰することに決めました。左翼は新憲法に賛成、右翼は反対と言う簡単な構造ではありません。党が賛成しても個人が反対する例とかがあり、各自が自分の判断を出しました。

バチェレット元大統領は4年間務めた国連の人権委員会のトップの座を明け渡しました。彼女はチリに戻って新憲法賛成のビデオに出ました。さて、その結果はどうなったかです。予想ではノーが10%の差をつけて勝つでしたが、今日の数字は何と20%以上もの大差になりました。

今、道路を車がクラクションを鳴らしながら走っています。1台や2台ではありません、大量です。この投票は盛り上がらないと書きましたが、投票が終わってから随分盛り上がっています。???
ボリッチはパタゴニアから首都圏に戻り、モネダ宮殿でこの結果に関してコメントを出しました。新憲法に関し国民のあの熱意が、新憲法委員会に伝わらなかったと言う自己批判はするが、チリの現状で健康問題・年金問題・社会安全などなど数多くの問題を抱えているのは事実で、それを解決しようとするのは政府の責任だが、その基本になる憲法も訂正する必要がある。このため、明日両院の議長と面談し、どのように新憲法を作成できるか検討したいとしました。まだ結論は出ていないようですが、来週に内閣改造をするらしい。

上記とは関係ないですが、国会で議員同士が揉めあい、右翼の議員が左翼の議員の顔にパンチを入れました。右派の議員は自党から離党処分を受けました。更にこの後どんな制裁を議会から受けるか待つ必要があります。独りぼっちですねとマスコミに言われるとイエスキリストもそうだったとか???

「経済」

1)経済状況
チリの現状はほとんどの分野で停滞、もしくは縮小が進んでいます。例えば、先月の新車の販売数で35000台と18カ月ぶりに7%も前年より下がりました。新聞の社説にコロナ問題やウクナイナ戦争の影響だけでなく、チリ国内の政治・社会問題がチリ経済停滞を招いていると書かれています。中銀発表では7月は1%の経済上昇とか。先月の失業率は7.9%で前年対比1%下がりました。まだ高いですが。

ところが、今週の株式市場は4.5%の上昇で5600ポイントを超え今年の新記録。日曜日の選挙でノーが勝って経済が安定化し、再度、経済成長が見込めると言うことらしい。その予想は当たりましたね。大蔵省も先日発表した新税制の改定をするらしい。

2)銅価格と為替
1ポンド3.44ドルと1カ月ぶりの悪い数字。しかし為替はそれほど影響せず1ドル898ペソでした。専門家が日曜日の投票の結果が月曜日の為替市場にどう影響するか議論しています。それは今週900ペソだったのがペソ高になって800ペソまで行くのか逆に1000ペソまで落ちるのかと言うことです。

「一般」

1)マプチェ問題
 南部のコンツルモで由緒ある建物に放火され、そこの住民3名に発砲がされました。一人は重傷です。マプチェのグループが攻撃を宣言しています。もう、こうした襲撃事件は日常茶飯事ですね。CAMのリーダーが先週逮捕されましたが、今週はその息子が捕まりました。こうしてリーダーが逮捕されてもグループの勢いは収まりません。南部に住んでいる人は大変ですね。いつこうした事件に巻き込まれるか分かりませんから。

2)コロナ問題
今週は新規陽性者が1万人を超えることはありませんでした。収まっていると言われます。4回のワクチン接種が効いているのかな?コロナ問題で急に出生率が減少しました。2020年からなんと30%も下がっています。2020年は1月から8月までで13万人、それが今年は9万人です。しかしもっと遡ると2018年は16万人でしたから7年で44%の減少。
つまり出生率の減少はコロナ問題だけでなく,もう子供は欲しくないとするカップルが増えているのが原因でしょう。  

「2022年9月5日―9月11日」

「政治」

1)ボリッチ動向
 内閣改造
6名の大臣が入れ替わりました。 その内4名が女性でした。それから新左翼・共産党系でない、以前の中道左翼系の人が多かったです。それより話題になったのは、いや問題になったのは、新内閣発表が90分も予定より遅れたことです。何それ?と聞かれそうですね。大臣と合わせてその下の次官も変更することになりました。内務省は大臣と次官を両方とも変更するはずでしたが、その次官は、共産党員で、3年前の社会騒乱の時から、「チリの警察は何だ。人民を殺す・迫害するのを任務にしているのか、それを認めるピニェラ政権は何だ」喚いていました。その人事が分かった時、与野党からクレームが出て、ボリッチ政府を混乱にする最悪の人事だとされました。それでその90分で彼を外し、同省次官をそのまま据え置くことにしたわけです。共産党党首は我々を認めない人事で容認しがたいとコメント。一部の陣営から、それなら共産党はボリッチ政権から引き揚げようかとする声が出ました。

ボリッチはこの金曜日、第1回の新内閣会議を実施し、「我々は国民のために働く。与党に参加する党のために働くのではない」としました。惨めですね。そんなコメントをするなんて。政権の基礎を新左翼・共産党から従来の中道左翼系に方向を転換したと言うことでしょうね。元大統領のラゴスやバチェレットの影が後ろに見えるかな?新聞の社説にこの人事に関し、解決できない問題、例えば凶悪犯罪・麻薬組織の増加、そして経済停滞があるが、もしそれ等が解決・軽減できなければ、再度社会騒乱が戻ってくることになるだろうとされています。確かにもっとも重要な政府の仕事ですね。

2)新憲法
今回のやり方では新憲法は作成できないと分かったので上下院の議長とボリッチは面談して、新憲法をどのように実現できるか考え始めました。明日の月曜に何かのアイデアが出そうとか。新憲法委員会の促進派の自己批判と言う記事が出ましたが、新憲法を国民の待つように仕上げることが出来ず、委員会のイメージを下げる行動が続いたと言うのが最悪だったのでしょうね。

新憲法が拒否された先週の日曜日の夜、一部の地区でデモがありましたが、それほどの規模ではなかったので、チリにも常識が戻ったのかと思わせました。国際機関の人間開発ランキングで、チリは191か国中の42位に入り、ラテンアメリカではトップとか。3年前までは、私はそう思っていましたが、最近はそうではないねと感じます。

「経済」

1)銅価格と為替 
銅の価格は1ポンド3.62ドルと先週よりずっと上がりました。このまま以前のレベルに戻るかな?そのためペソも安定し、1ドル881ペソでした。中銀が新憲法が承認されなかったので、それがチリ経済に与える影響はほとんどなかったと発表しましたが、良かったねと言いたいところ。

2)消費者物価指数IPC
しかしIPCは全く手を緩めず上昇し、8月は1.2%でした。そして過去12か月の数字は14.4%となり、過去30年で最悪とか。これがチリ経済に強く影響し、来年の経済成長は極めて低いものになりそうとか。

「一般」

1)高校生デモ
新憲法推進派が怒り狂って起こすデモはほとんどなかったのに、今週の高校生運動はまるで3年前の社会騒乱を思い出すようです。4日続けて高校生グループのデモがありました。公共バスに火をつけ全焼させる事故が起こっています。以前と同じ白いオーバーオールの服を着たグループがモロトフ爆弾をぶつけます。また地下鉄の駅でタダ乗りをして中に入り駅のホームに座って線路の前に足を出します。もちろん事故になるのは当然ですから地下鉄は運航停止です。おまけに近くの商店に入って商品の略奪を実施。3年前と同じ状況です。テレビカメラの前で、リーダーが政府は教育改善に全く手を付けないと厳しい批判していますが、それが暴力デモの正当化にはならないでしょう。

文部大臣は、こうした暴力行為は認められないとコメント。
前のピニェラ政権の時は警察が前面に出て押さえつけようとしましたが、ボリッチはそれをしていません。来週も継続するのかな?

今日、9月11日はピノチェット軍事革命の起こった日です。今年は49年、来年に50周年となります。モネダ宮殿の前の広場にアジェンデの銅像が立っていますが、その前で共産党や社会党が追悼式を上げました。数人の大臣が参加しました。毎年、極左層が反軍事政権の抗議デモを起こしますが、今年もモネダ宮殿の前と、中央墓地で警察と衝突。警官が2名負傷しました。その墓地に行ってボリッチはアジェンデの墓の前で祈りました。

2)マプチェ問題
今週も同じです。第8州ビオビオ州のウワルキで、高圧鉄塔がダイナマイトで壊されました。もちろんその地区は停電です。マプチェのパンフレットが置かれていました。同地方で道路が封鎖され、交通が遮断されました。そして金曜日に2軒の家屋への放火と車両が燃やされました。いつもと同じですね。親子でリーダーが逮捕されたマプチェグループはまだ活発に行動しています。

3)コロナ問題
もうほとんど話題にならなくなりました。マスコミでも報道されません。ピニェラの時の強制管理が、ボリッチになって自由奔放になり、前厚生大臣は全く存在感がありませんでした。それで新大臣に変わったのでしょうが、新しい大臣はどう動くのかな?今週の新規患者は5千人ほど陽性率は10%くらいです。 

「2022年9月12日―9月18日」

「政治」

1)ボリッチ動向
 久しぶりにピニェラがテレビの番組に出ました。そこでボリッチを批判しました。「この半年間(大統領に就任した3月から今日まで)新憲法承認を目指して仕事をしていたようで、国民の課題、例えば犯罪の増加から安全性が下がっていることなどに注目していなかった」
 もちろんボリッチは即座に反応して、「彼は私を批判する自由を持っている。私が彼の政権を批判していたように。しかし大事なのはその批判の内容で、彼の4年間の政権で犯罪数が大幅に増加していることを忘れて私を批判するのはレベルが低すぎる。もう少し状況を見ながらコメントしてほしい」世論調査ではボリッチを素晴らしい大統領と思うのは30%しかいませんが、半年ぶりに見たピニェラの話し方 は、私の眼には悲しいほど老人ぽかったです。

 似たようなことですが、社会騒乱があったころは毎日の様にデモ隊と警察がぶつかり、負傷者が出ていました。その負傷者が警察の暴力で身体機構に問題が出たと政府を訴えました。ピニェラ政権時に145件の訴えが出ましたが、その内49件だけが認知されました。ところが、ボリッチになってから、今はそういう負傷はほとんどありませんが、ボリッチ政権は何と296件のクレームを受け入れました。過去にクレームした人を全部認めたのかな?障害年金の額は現在の所26万ペソから52万ペソとか。

イスラエル問題
ボリッチは新イスラエル大使と面談するのを拒否しました。その理由はパレスチナ問題ですが、同地区の少年をイスラエル軍が殺したからで、それに反対するボリッチはパレスチナの側に立ったわけです。パレスチナは感謝していますがイスラエル政府は激怒です。
しかし思い切った判断をしたものですね。そういう事件はどこでもあるでしょう
から。・・・もっともすぐに頭を入れ替えて今月末にその新大使と面談するとか。彼は1967年の6日間戦争で決まった領土を守ってほしいとコメントしています。何それ?と言う感じですね。私はその戦争のすぐ後に大学を休学し、1年間イスラエルのキブツに行きました。そのゴラン高原も歩いたことがあります。イスラエルとパレスティナの争いは複雑です。

キリスト教のミサ
土曜日にキリスト教の新教プロテスタントの感謝のミサにボリッチは参加しました。バチェレットやピニェラの時は政府批判のコメントがでましたが、今回は国会だけでなく国が分裂の状態になっているのを何とか手を組むように変えていく必要があるとしました。

そして日曜日、旧教カトリックのミサに参加しました。もっとも昔と違ってチリ人の宗教熱は大きく下がっています。そのカトリックのミサの後、モネダ宮殿に戻り、関係者で18のお祝いを楽しみました。招待者がクエッカを踊りましたが、ボリッチは踊りませんでした。ボリッチは国連総会に参加するため、明日、ニューヨークに飛びます。

2)新憲法
この月曜日から国会で議論が始まりましたが、全く進展がありません。次回は政府を関連させないとか、委員会に今回の様に素人ばかりではなく憲法のプロも入れるとかのコメントがあるようですが、右翼も左翼もバラバラで前進するのは不可能な感じです。どうなるのかな。今月の新憲法是非の投票で60%がノーでした。2年前の投票では新憲法を作ろうと言う人が80%でした、2年前の新憲法は要らないとする20%の人の他に今回40%の人がノーに投票したわけです。つまり新憲法を希望した80%のうち半分が考えを変えました。それは新憲法委員会の人間のレベルが低いとか、複数国家など理解しがたい条項が多かったからでしょうが、風が大きく変わったわけですね。
次回はどんなふうにそれに取り組むのでしょうか。

「経済」

1)国際レベル
ムーディズの発表でチリのレベルはA1からA2に下がりました。社会混乱に経済低迷がその原因とか。外から見てもチリは落ち込んでいるのですね。
チリはTPP11にまだ加盟していませんが、チリの現状を見て、将来を考えるなら、国際化を進めるのは当然の動きで、その条約に加盟するのは必要不可欠だと新聞の社説に出ました。ボリッチのまわりには随分、孤立主義の人がいるのですね。それに加盟するとチリ自由な権利が縮小するとか言っています。

2)銅価格と為替
1ポンド3.54ドルで終わりました。一日3.77ドルまで上がったので、チリにとって最高の週だと思いましたが、 最後は先週より落ち込みました。しかしたった2日ほどで銅価格が大きく動くのは不思議ですね。いつも言うように需要が動いたとか、銅のストックが変わったなどではないですね。誰かが売りに出す、買いに出ると言うのがその動きの理由でしょうね。さて銅価格が下がったので1ドル917ペソとペソ安になりました。

「一般」

1)学生デモ
今週も3回ありました。今までは高校生でしたが、今週は大学生が中心。この先も継続しますね。デモがあるたびに幾つかの地下鉄の駅が封鎖されます。それくらいならまだ我慢できるかもしれませんが、全線が止まれば市民生活に大きな影響が出ます。理由があってデモをするなら理解できますが、最近のデモは全く不可解です。
 
同じようにマプチェ問題も継続です。今週もアラウカニア州で放火事件がありましたが、従業員の家に覆面部隊が押しかけ放火します。家屋が大きく燃え上がった段階で引いていくらしい。しかし会社の事務所や倉庫でなく一般従業員の家に放火するのは、この地区は俺たちの物だ、お前たちはここから出て行けというわけですね。いつも書いているように、その地区に住むのは難しいです。

新内務大臣のトアのコメントです。前大臣が3月にそのアラウカニア州にマプチェと面談しようと行きましたが、銃を撃たれ、全く面談もなく、首都に戻りました。それに関し、新大臣はそのアイデアは良かったが、準備が整っていなかったとコメント。自己批判の一つでしょうか。国会で南部の州に軍隊を派遣する特別法案がまた可決しました。7回目の延長とか。

2)コロナ問題
今週も数字は安定して低めで1日の新規患者は3000人ほど。陽性率も9%ほどです。今日は更に下がって2000名で8%でした。予想として建国記念のお祭りが終わった後、第8波が来ると言うのと、このまま収まっていくだろうとする意見に分かれています。さぁ、どうなるかな?

建国記念のお祭りは金曜日から月曜日までの4連休ですが、首都圏から30万台の車が郊外に出て行ったとか、事故を起こさずに帰ってきてほしいですが、今日まででもう30名ほどの交通事故死亡者が出ています。  

「2022年9月19日―9月25日」

「政治」

1)ボリッチ動向
国連で演説
その内容が大統領府の行動報告に掲載されました。「チリは世界を必要とするし、世界もチリを必要とするだろう」と言うのが彼の考えの基本でしょう。それに加えてフランス大統領とニュージーランド首相、アメリカの元大統領オバマとも面談しました。

TPP11問題
与党グループの新左翼と共産党はこの条例に参加するとチリの自由が制約されると反対しています。大蔵大臣はチリの進歩のために政府は条約加盟をする方針で国会で承認されるのを待つとしました。つまり現政権の基盤になっている2グループがボリッチに反抗しているわけです。元外務大臣7名がこの条約が批准されるよう願うと発表しました。
ところで、ボリッチは他の項目でもその左翼を批判しました。
それは左翼は左翼陣営に問題がある時、イエメンやエルサルバドールの問題は批判するが、べネスエラ、ニカラグアそしてチリの場合は口を閉じてしまうと言うわけです。ボリッチが自陣の基盤の左翼の批判をするとは気合が入っています。この先どうなるのかな?その2グループから離れて、社会党やキ民党などの中道左派グループに入っていくのでしょうか?

先の内閣改造で、問題になりましたが、政府内で意見の統一がないというのが最悪の状況です。ボリッチに統率力がないのは明白ですが、各党・グループが好きなことを言って分裂・破綻に接近ですね。今週も大統領側近の職員に入れ替えがあったらしい。

2)メールの漏洩
軍隊が使っているシステムに誰かハッカーの手が入り、秘密メールが数多くもれました。もちろん、マスコミにはその内容は何だったのかと言う詳しい内容は出ていませんが、危ないことになったのは間違いないでしょう。そのうち内容について漏れてくるはずです。関連者が辞任したり、問題は深刻化しています。

3)イスラエル大使問題
その大使はテレビの番組に出て実情をコメントしました。彼はチリ政府の大使承認をされていないので各種の会合に参加できないとか。外務大臣もいつまで続くかな?外務大臣は各国大使の任命にも多くの疑問を残しましたから大統領の信任は極めて低いといわれます???

4)新憲法
国会で議論されていますが、ほとんど進展はありません。今月初めの投票で新憲法は拒否されましたが、そのおかげで投資家などは安心したとされていますが、この先どうなるかはまだ心配の種とか。さて中道左派グループは新憲法を革命として考えるのでは無く、現憲法を改善すると言う方向にしたいとコメントしました。それを実施しようとする新グループに黄色グループと言う名前が付いています。何それと言う名前ですが、私は黄色グループに期待します。国を潰すのが新憲法の目標ではないですから。投資家援護というつもりではなく、チリの安定を願うからです。

1980年の軍事革命時に作られた憲法を変えるのは国民の願いだと言われますが、その憲法は中道左派の大統領ラゴスが一度手を加えて変更しています。つまり全部がピノチェットの作品ではないわけです。ラゴスがやったのと同じように必要な点を改善していこうとするのは可能だし、大惨事を起こさない方法でしょう。

「経済」

1)銅価格と為替
 銅価格が1ポンド3.38ドルと先週より大きく下がりました。もちろんそれが影響して1ドル943ペソとペソ安になっています。もう一度1000ペソまで落ちるという予想もあります。これはチリに大きな影響を与えますね。
 
8月までのこの1年間のチリの物価上昇率は14.1%とこれまでになかったほど上がっていますが、ラテンアメリカの中でべネスエラ・アルゼンチンに次いで3位とか。ロシア戦争の影響はどの国にもあるわけですが、チリの場合、それ以外の影響が大きいわけですね。

 OECDの発表では今年のチリの経済成長率は1.9%になるだろうとのこと。それは心配される数字だとコメントされましたが、落ち込んできたのが明白ですね。さらに新税制が上手く行かなければ支出は抑えられないから国債が増えていくでしょう。現在はGDPの40%以下ですが2030年にはそれが55%まで上がると予想されています。

「一般」

1)ディエシオチョ18の総括
この月曜日までの4連休でしたが、その間に交通事故による死亡者が38人と対前年で12人増えました。昨年より、国民の移動する数・距離が増えたのでしょうね。飲酒運転が増えたのかな?首都圏のオヒギンス公園の入場者は5日間で25万人とか。そこで屋台を出していたオーナーはニコニコ顔でした。天気は今ひとつでしたが、2年間、禁止になっていたお祭りが再開されたことから、一般市民が溢れるように会場に入り、飲み食いに大盤振る舞いをしたのでしょうね。たまには良いかな?同じようにサンティアゴ空港の使用者は今年に入って8月までで150万人と前年対比40%の上昇です。

2)コロナ問題
 少し前に5回目のワクチン接種が討議されましたが、風は全く逆の方向に向かい、10月1日からマスクの着用が強制されなくなります。バスや地下鉄、国内線の飛行機の中でもマスクは要りません、また博物館・レストランなどに入る時に要求された移動パスが不要になりました。厚生大臣は、コロナ問題が消えたわけではないので、今回の措置が変わり、将来また規制が復活する可能性はあるとコメントしました。

3)マプチェ問題
 南部で木材を積んで走っていた貨車が転覆しました。線路が外されていたからです。しかし毎週、同じような事件が継続です。マプチェのパンフレットがあったようです。政府は国会に軍隊を同地に駐在させる特別条例の延長を要請中です。先日逮捕されたマプチェのCAMグループのリーダーのジャイツル裁判はまだ進んでいません。