『もうひとつの風景 フアン・ルルフォの創作と技法』 仁平ふくみ - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『もうひとつの風景 フアン・ルルフォの創作と技法』  仁平ふくみ


代表作『ペドロ・パラモ(Pedro Páramo)』(岩波文庫 1992年)や短編集『燃える平原(El llano en llamas)』(岩波文庫 2018年)で知られ、「メキシコの寂れた農村を舞台に、登場人物たちの声が聞こえてくるかのような台詞、死者の語り、断片で構成される複雑でユニークな小説形式によって、メキシコだけでなくラテンアメリカ文学に大きな影響を与え、文学史に名を残したフアン・ルルフォ。
現実の土地や風景、出来事をそのまま記録するのではなくそれを想像によって別のものを創り出す世界を、「権力」「場所の表象」「実際に起きた出来事のフィクション化」「語りの技法」の四つのキーワードから、繰り返される出来事や暴力の過去を一つの物語に凝縮して託そうとしたルルフォの過去を幻視し、文学として再創造する能力を様々な側面から検証しようとした、スペイン語圏文学を専門とする京都産業大学外国語学部准教授の労作。

〔桜井 敏浩〕

(春風社 2022年3月 432頁 4,500円+税 ISBN978-4-8611-0784-9)
〔『ラテンアメリカ時報』 2022年 秋号(No.1440)より〕