連載エッセイ185:富田眞三「2022年メキシコ大地震の被害は最小限」 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ185:富田眞三「2022年メキシコ大地震の被害は最小限」


連載エッセイ177

2022年メキシコ大地震の被害は最小限

執筆者:富田 眞三(在テキサスブロガー)


写真:(https://news.trujillo.com/mexico)

2022年9月19日のメキシコ・ミチュアカン州の地震が起こった当日は、1985年メキシコ・シティーで大被害をもたらした、大地震記念日だった。

当日、恒例となっている、メキシコ全国での地震避難訓練の終了1時間後に地震が起こったため、地震を待ち構えた格好のメキシコの人的・物的被害は最小限にとどまったのは幸運だった。メキシコ国は環太平洋地震帯に位置しているため、地震があるのは当たり前なのだが、1985年当時、私を含めて大方のメキシコ人には自国は地震とは縁遠いと考えていた。だが、今は違う。

そんなメキシコにとって、1985年にシティーを襲ったマグニチュード8.1の大地震は、メキシコ地震測候所は、死者4万人、赤十字は1万5千人、政府は1万人と発表した数字が示しているとおり、大混乱を巻き起こした。何しろ、全国で倒壊した建物は大小取り交ぜて、140万棟にも上っていた。


写真:https://redmichoacan.com)

その大地震記念日の37年後に再び大地震がメキシコを襲ったのである。今回の震源地はメキシコ・シティーから511㌔に位置するメキシコ中部のミチュアカン州コアルコマン市(人口15,000)だった。この一帯は、麻薬シンジケートが暗躍する地でもある。首都メキシコ・シティーでも6.9の地震が観測された。 その他、メキシコ中部のハリスコ、ナジャリ、ゲレーロとコリマ州で大きな揺れが観測されたが、被害は最小限だった、と各州知事は発表していた。


写真:(https://geoenciclopedia.com)

一つ私が関心を寄せた記事は、現地の日本人が「コリマ富士」と称する、震源地の隣州にある、コリマ火山(3,839米)が噴火した、というのは誤報道である、というものだった。

1985年に続いて、2017年にも同じ9月19日に、メキシコ南部で大地震が発生していたが、「二度あることは三度ある」といわれる通り、今年の同日に大地震が発生したことにメキシコ国民は衝撃を受けていた。9月19日に3回も大地震が起こったことを、専門家は「単なる偶然」としている。なぜなら1985年以降、9月以外にもメキシコ各地では地震がかなり頻繁に起こっているからだ。とにかく、信心深いうえに迷信家であるメキシコ人は、3回連続の同日地震を「神の怒り、政府への罰」ととらえたがる、のである。

だが、幸いなことに今回の地震は、震源地も遠く離れた首都メキシコ・シティーや震源地近辺の州にも大きな人的、建造物被害は少なくてすんだ。死者数も一桁程度だったのは、不幸中の幸いだった。将に「備えあれば患いなし」だったとは、私の第二の故郷メキシコも進化したものである。(終わり)