連載エッセイ192:ピーター藤尾「チリの風」その7 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ192:ピーター藤尾「チリの風」その7


連載エッセイ192

「チ リ の 風」その7

執筆者:ピーター藤尾(在チリ・サンティアゴ)

「9月25日~10月2日」

「政治」

1)ボリッチ動向
 木曜日、全テレビ局を通じて来年度予算の説明をしました。景気回復をする政策を基本にして、国民の生活の安全を図る。また市民の安全確保を第1にしてその分野に現在より多い予算を回すなどを説明しました。国が投資する新規事業で20万人を雇用するとしています。もちろん口で言うのは簡単です。ちゃんと実施・実行できるのと言われそうですね。週末、彼はコピアポに。そこは8月に大きな洞穴を見に行ったところです。今回は自然保護のため砂漠のお花畑見学とか。観光好きですね。

2)新憲法
もう飽きたという気がしますが、今週の議論では話が進まず来週また各党が議論するとか。新聞の特集に右翼・左翼の見解という表が出ましたが大きな違いはありません。つまり右も左を同じようなわけです。それが今回の新憲法委員会では極端な方向に流れて国民の支持を得られなかったのですね。

3)TPP11
今週、結論が出るはずでしたが、延期されました。与党の2グループ、特に共産党が頑強に反対し、先延ばし作戦を立てているとか。過去30年、諸外国との協調で輸出が増え、チリの経済成長が安定化したのは数字で確認できますが。

新左翼は、前回2018年の大統領候補だったそのグループのサンチェスがその様な条約にはサインしないと明言していますから、ボリッチも基本的には同じ考えなのでしょうね。もっとも今の彼は検討・議論が延期になったのは残念だとコメントしました。新聞に野党が彼の案を支持して、与党が拒むなんて、世界で唯一の国と書かれました。つまりボリッチの統率力が無いわけですね。

4)新大使認証
6か国の新大使がボリッチと面談し、認証を受けました。アメリカやフィンランドのほかにイスラエル大使も入っています。3月からの新政権は外交問題が多く出て、安定性に欠けると言われますが、確かにそうですね。

「経済」
1)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド3.47ドルと先週より少し上がりました。為替は1ドル966ペソでした。ペソは落ち込んでいますが、対ドルで世界で6番目に落ち込んだ通貨になりました。チリ経済が低迷し始めたとかなり前から言われていますが、8月は久しぶりにマイナス成長だったようです。まだ詳しい数字は発表されていませんが、マイナス1%とみられています。1年前の8月はプラス18%とコロナの影響をはねのける勢いがあったのですが。この先マイナス成長が続きそうです。

年金の運用利益
チリでは各自が積み立てた金を民間の会社が運用します。8月は全部の分野で赤字になったとか。もろに自分がもらえる将来の年金に影響します。また現行制度を壊せというデモが出そうですね。

「一般」

1)マプチェ問題
また放火事件が起きています。いつもの通りですね。国会で議決され、8回目ですが、南部の州を特別州にして軍隊を駐在させます。新内務大臣トアがアラウカニア州を訪問しました。前内務大臣は就任直後に訪問し、全く何も出来ずに戻ってきましたが、今回はどうかな? 少なくとも現地の州知事や政府関係者とは会談を終え、政府方針を発表して戻ってきました。もう少しするとボリッチもそこを訪問するらしい。しかしこの2年間で同州の農業関係者は現状を容認できず、以前の3倍と言われる土地が売りに出ているとか。誰も買わないでしょうね。

ところで安全の面では首都の地下鉄が3回も問題を起こしました。学生デモと誰かが線路に降りた事件のためです。昔はそんな事件はほとんど無かったのですが。ダディ・ヤンキのコンサートが国立競技場であり、数万人の観衆で埋まりました。なんでも4千人が柵を乗り越えて不正に入場したとか。カトリカ対チリ大学の試合でカトリカファンの投げた火炎花火がチリ大学のキーパー近くで炸裂し彼は負傷。試合は中止になりました。

日曜日のリーグ戦でカトリカとホームで戦うコロコロが金曜日ファンを入れてお祝い練習をしました。1.5万人のファンは球場の宣伝鉄塔などの上によじ登り騒いでいると、それが倒れ負傷者が多く出ました。その事故のため今日の試合は延期になりました。なんだか毎日、こうしてファンの怪しい行動が続きますね。

2)コロナ問題
ほとんど問題にならなくなりました。10月1日から、マスクの使用が義務付けられなくなりました。その土曜日、バスで学校に行きましたが、大半の乗客はマスクをしていませんでした。何年もマスクを着けていたので、今日近くの野菜屋さんに行くとき、マスクなしで歩くと不思議な気がしました。                  以   上

「10月3日~10月9日」

「政治」

1)ボリッチ動向
 あまり大きな仕事はなさそうです。次の夏の森林火災予備の集会に参加しました。今週、イースター島で大規模な火災が起こり、20%のモアイに修復不可能な大きな影響が出ています。それからボリッチは零細企業育成の集まりでコメントしたりしました。

 ところで彼の奥さんはファアーストレディとして大臣級の大きな仕事を受け持っていますが、彼女はそれを拒否し、今年中にすべての任務を終了すると発表しました。チリが民政化してから、この「職」は継続ですが、バチェレットの時はファーストレディではなく彼の息子が その仕事をしました。もちろん将来のその仕事には影響しないで、彼女だけがその任務を放棄するのでしょう。何か不愉快な出来事があったのか、そんな仕事に興味がないかでしょうね。

 オレジャナ女性省大臣が、今の妊娠中絶法は、母体に悪い影響があるとか暴行によって妊娠させられた場合は中絶の実施を法的に認めています が、自分はすべての妊娠を中絶できるようにしたいとコメントして大問題になっています。法案と違うことをほかの誰にも相談せず発表したのでしょうね。さぁこの先どうなるかな?女性の話が続きますが、先日、辞めさせられた内務大臣は、元の仕事、医師に戻りました。どんな毎日を送るのでしょう。

2)TPP11
来週の火曜日に議会で可否の投票がされます。ラゴス、バチェレットそしてピニェラと左右の政権が承認していた条約をボリッチの与党は反対するわけですね。この条約に関し、外国からの投資でチリと問題が起きたのは過去に6度あるそうですが、チリ側と外国側に有利なように結論が出たのは半々だったとか。ちゃんと条約が機能していますね。経済学者がこれに反対する政治家は条約を ちゃんと読んでいないのだろうとコメントしています。

先の大統領選挙で右翼側の候補の一人だった元大蔵大臣のブリオネスはインフレが収まらず、経済成長が低く、そして失業率が高止まりなら国民生活に大きな影響が出て、ボリッチ政権は深刻な問題を抱えるだろうと予測しています。当たるかな? 確かに9月の輸出は前年対比0.9%下がりましたが、4か月連続です。どうなったのと聞きたいですね。ウォールストリートの数字が下がっていますが、チリの株式市場も今週2%も下がりました。

3)新憲法
 各党の動きがバラバラですが、何とか合意事項ができたようで、もう少しで国民への提案が出そうです。

「経済」

1)物価上昇率IPC
9月のIPCは0.9%、過去12か月では13.7%になりました。もちろん高値安定ですが、少なくとも12か月の数字が久しぶりに前月より下がりました。つまり上昇傾向が一段落です。鶏肉の価格が今年に入って今までで40%も上がったとか?? 8月の経済成長率はマイナス1%の予想でしたが。最終的にはゼロで終わりました。

2)銅価格と為替
 1ポンド9.43ドル、1ドル943ペソと先週とほとんど同じです。

「一般」

1)暴力事件
 今週、3度も高校生の暴力行為がありました。有名高校から白いオーバーオールの服を着た学生が外に出て道路を封鎖して車の通行を止め、それを開放する為に来た警官に火炎爆弾を投げつけるものです。1台のバスが全焼しました。
 2時間目までいたセルヒオが突然、教室からいなくなるという状況が毎週続いて、クラスメートは何もしないのでしょうか。3年前の社会騒乱の時、暴れまくったデモ隊を抑えようとピニェラ政府は警官の大量投入をしました。新左翼グループは、右翼政権は警察の暴力を市民に向けるしかしない、そのデモの理由を理解できないとクレームしましたが、自分たちが政権を握ると同じことしかできません。つまり右も左も同じという証拠です。

 マプチェの方も同じで、森林会社から木材を盗んで逃げたトラックが捕まりました。ただ不思議なのはその運転手が、裁判が始まるまで自宅待機になって、刑務所には入りませんでした。それでよいのでしょうか。裁判所の仕組みですが、不思議です。今年に入って都内の商店で犯罪にあったのは59%とか。強盗窃盗などですね。悲しい実態です。

2)コロナ問題
 もうほとんど話題になりません。先週からマスクの使用が不要になりました。それでも患者数は増えていません。じゃ今までもマスクの使用は不要だったの? もっとも患者数が増えないのはPCR検査数が減少しているからなのですが・・・OECD加盟国の中で、コロナ問題で学校を封鎖した期間を調べると一番長期間封鎖したのはチリでした。                                  以 上

「10月10日~10月16日」

「政治」

1)ボリッチ動向
北部のアントファガスタ州を初訪問
南部だけでなく北部にも軍隊を派遣する特別制度を認めてほしいという要請が出ています。ボリッチは今週その州を訪問しました。その地区の 銅を輸送する鉄道が狙われ何度も被害が出ています。強盗グループが運転手を襲い、積まれている銅を盗んでトラックに積み込んで逃げるわけです。今回は警察の調べでその銅の一部が国境の町アリカで見つかりました。ペルーへ輸送中だったとか。

さてアントファガスタで不法移民について聞かれると、ボリッチは私の政策ははっきりしている。正常化させるか、帰国を命じるかのどちらかだと回答しました。ボリビアとの国境から不法にチリに入る移民が後を絶ちません。そしてそれに加えてボリッチは最後に国民の安全を守るのが目標だから、自分たちは犬になって犯罪グループの後を追うとコメント。犬になるのが最善なのでしょうか?

2)TPP11
 上院で可決されました。否決の投票をしたのは多くが、共産党と新左翼の議員で与党です。政府と与党が対決する不詳事態は世界でチリとハイチだけだろうというコメントが出ました。素人の私はそれが冗談なのか真実かわかりませんが、異常なことは確かです。
野党から新憲法に関してもこれと同じように政府内で混乱があると言われるとそんな気がしますね。

「経済」

1)銅価格と為替
1ポンド当たり3.48ドルと先週より少しですが、上がりました。うれしい。銅の値段が上がるニュースが私にはトップクラスのニュースです。1ドルは945ペソと先週と同じ。どうしてドルがこんなに高値を続けるのでしょう?アメリカも多くの問題を抱えているみたいなのに。

2)求人数
 中銀の発表ですが。求人数は過去2年で最低とか。9月の数字は対前月で16%マイナス、対前年で44%マイナスとか。勢いが落ちたというのは本当ですね。それからまだオンラインで働く会社もあって、高級事務所の人気が下がる一方、空き部屋が過去8年で最高だとか。来年のビル建設は今年より5%下がると言われますが、景気の停滞がはっきりしているのでしょうね。

「一般」

1)デモ
今週も祝日の月曜日にデモがありました。地下鉄・道路の封鎖が起き、10名逮捕されましたが、警官が1名負傷しました。今年に入って6名の警官が殺されています。今週、首都圏近郊で不法な道路レースをしているグループを抑えようとした警官が襲われ殺されました。犯人は逮捕され裁判になっています。

さて来週の10月18日は社会騒乱が始まって3回目の記念日です。高校生の地下鉄タダ乗りから始まりチリ通常社会が粉砕されました。そのころ、学生グループを動かしていたのがボリッチですが、彼がそのころ書いた文書が土曜日の新聞に掲載されました。それによると暴動により起こった社会騒乱に関し、これは素晴らしい、そして有効な手段だ。これを怖がってみるのではなく喜びをもって見ていこうとしています。その彼が今は大統領ですね。
今の経済大臣グラウが、そのころツイッターした文ですが、「暴力警察の君たちとその上司がいつかその責任を問われるを待つ」他の記事でその暴力行為を支持するとした人がこの3年間で半分になったと書かれています。地下鉄の駅を壊し、教会に火をつけて、商店で略奪行為…これが社会のためになるとする考えが半分になったのは当然でしょうね。まだ高校生で暴動デモを続けているグループがありますが。どこかにボリッチが自分も過ちをしていたと自己批判すべきと書かれていました。

2)コロナ問題
同じような数字が続いています。それまで2000人台だったのに木曜日4796人まで上昇。これはPCR検査数が増えたからです。いつも同じことを言っています。

3)マプチェ問題
数名の覆面グループに大きな荘園が襲われ、家屋がほぼ全焼しました。そのオーナーの女性はグループに銃を突きつけられ、ここから逃げ出すように言われたが拒否したとコメント。何年ヵ前に同じように荘園が襲われその家屋にいた老夫婦が焼け死んだという事故がありました。マプチェ問題は継続というのがはっきりしています。

南部で木材が盗まれますが、木材を積んで走るトラックを全部調べれば、犯罪は激減すると思いますがどうでしょう。この土曜日に2台の木材運搬トラックを調べたら盗まれたものだったとか。

4)肥満問題
チリの年少児の肥満が問題になっています。31%の子供が問題を抱えているらしい。2023年には肥満児の数が正常児の数より大きくなりそうとか。2009年では正常児49%、肥満児16%でしたが、昨年はそれぞれ34%、31%になっています。毎年の傾向を政府・学校・家庭は認識していないわけですね。

5)世界の横丁ランキング
派手ではないが何か面白いという横丁の世界ランキングが発表されました。1位はメキシコのグアダラハラでしたが、南米から1か所だけ、チリサンティアゴのユンガイ地区が9位に選ばれました。
公園、博物館、喫茶店とか見ながら歩くのが楽しいとか。この3月からボリッチがそこに住んでいます。日本から東京の下北沢が7位に入りました。
全然、関係はありませんが、世界大学ランキングでラテンアメリカの20か国428校の中でなんと1位と3位がチリでした。カトリカ大学とチリ大学です。2位はブラジルでしたが、チリの大学は毎年。こうして光っていますね。        以  上

「10月17日~10月23日」

「政治」

1)ボリッチ動向
ボリッチを支持するは27%、支持しないは72%と市民が彼を見放しているのは明白です。その理由は簡単に説明できます。10月18日に社会暴動3回目の記念日が来ました。そして予想されていたのと同じくまた暴力デモが起きました。

 ボリッチは3年前の騒乱に関し、モネダ宮殿で演説しました。彼の考え方は暴動デモを評価するつもりはないが、長い間チリに社会格差問題があるのに、それを時の政権が解決しようとしていなかったことがきっかけになっているとして、暴動デモのすぐ後の集会で100万人を超える人が集まったのはその証拠としました。

さて首都圏レコレタ区長のハドゥエは政府を鋭く糾弾し、3年前にピニェラに要求した事項を全く取り上げていないとしました。彼は先の大統領選挙の候補者になった共産党員です。さらに新左翼の議員のセレスはボリッチはピニェラよりレベルが低いと糾弾しました。彼女は各自が積み立てている厚生年金の基本金を一部引き出すのを認める法案を作って成立させました。私は皆さんのために働きますとコメント。もらえる年金は下がりますけどね。つまり共産党・新左翼はボリッチを糾弾するわけです。ピニェラ政権で働いたデルガードがボリッチは議員の時、警察援助の法案に反対票を投じているから今回、警察と手を組んで社会の安定を図ろうというのは信用しがたいとしています。右からも左からも嫌われています。

ボリッチは木曜日に零細企業連合の総会に出席しましたが、そのリーダーが出席者に「私たちには犯罪防止と新憲法とどちらが重要か?」と聞きました。全員が犯罪防止と答えると、その人たちは席を立ってくださいとすると全員が総立ちで拍手。そんなところでボリッチが話を始めると雰囲気が全く合わず、犯罪防止をなぜやらないんだとされます。
ボリッチも分かっていますと回答しましたが、出席者の一人がボリッチにかみつきクレームを言うと、私の発言を邪魔しないでと何度も何度もお願いしました。お互いに信頼が無いわけですね。そういうところにどうしてボリッチは行ったの?新左翼か共産党が私たちの応援グループだとして連れて行ったのでしょうね。

大統領府のボリッチ動向の記録では地下鉄7号線の開所式に参加とか出てきますが、この零細企業グループの集会参加はありません???

今年の3回記念日に起きた事件に関し、政府は今年も問題が起きたことは認めましたが、昨年よりその傾向は軽かったと逃げました。150件のデモがあり、195人が逮捕されました。商店略奪事件などは3年前と同じです。新左翼などはそれで逮捕された犯人を政治犯として全員釈放するよう要求していました。じゃ、ボリッチは今回の犯人を政府として裁判所に訴えることはしないのでしょうか。

 テレビのニュースに店から商品を持って出てくる犯人が多く映っています。もちろん近所の人が見ればすぐに誰かわかるでしょう。逮捕されてもすぐに釈放されるのかな?
 先週話題になった経済大臣がモネダ宮殿で警察トップと2時間の面談をして、社会騒乱の鎮静をどう図るか話をしたとか。彼は3年前は警官を調べて暴行罪で起訴するよう言っていたのですが、今はその頃のピニェラと同じようにコメントしています。右も左も同じですね。新聞の社説に3年前に暴動を呼び起こすことになったデモを繰り返すのは国のためにならないとされました。

これだけ書くともうボリッチに将来はないということになります。じゃ思い切って勝負をかけてみればどうでしょう。私の考えは3年前の社会騒乱をベースにして自己批判し、新左翼や共産党の陰で行動するのではなく、彼らとは一線を置いて市民の皆さんのために働きたいと言う演説を切々と訴えれば、市民の心に響き、支持率が上昇し、それがベースになって新左翼・共産党も彼を援護するようになる・・・甘いかな?

2)TPP11
 議会で承認された条約ですが、それを憲法裁判所に持ち込みこの条約を違法とさせる動きが出ています。与党の議員グループですね。彼らが次の選挙で全員落選してほしいです。

3)下院議長の交代
 中道左派グル-プの中心PPD党のソトが現在の下院議長をしていますが、来月に辞任します。彼の後任に共産党のカリオラ議員が就任するはずでしたが、もめています。彼女は共産党員として初めての議長になるはずでした。共産党は彼女が議長にならなかったら議会の混乱が極限まで行くだろうと脅しのコメントをしています。

「経済」

1)経済成長率
 今年のチリのGDPは2.2%と言われますが、それはラテンアメリカ平均の3.2%より低い数字です。また来年の予想は0.9%とラ米で最悪の予想とか。経済低迷が目立ちます。それはボリッチが大統領だからですか?近い将来にチリは厳しい経済危機に立ち向かうとされています。経済停滞、高インフレ、失業率の増加と問題が並びます。ただS&P社の発表ではチリの経済状況は現行のAランクが維持されるとしました。まだ下方低迷とはなっていない由。

2)銅価格と為替
 今週の銅価格は1ポンド3.42ドルと先週よりも下がりました。チリには厳しいニュースです。そこで為替も1ドル972ペソとペソ安になりました。

「一般」

1)コロナ問題
 最近新規患者数が増えています。水曜日は5611人でした。さらに木曜日は上がって6201人。これは9月2日以来の高い数字です。新規患者の陽性率も毎日のように14%まで上がっています。ピニェラの時、厚生大臣をしていたマニャリッチがこれだけ患者数が増えているのだから地下鉄やバスの乗客はマスクをするべきではないかとコメント。彼がコロナの責任者の時は野党側から彼は無策と厳しい批判が出ていました。

 一番きついコメントをしていたのは医師協会の会長ですが、彼女はボリッチの内務大臣になったときコロナ対策を全面的に白紙にしました。外出禁止とかマスク着用とか、手を打っても新規患者が減らなかった時期が続きましたが、ボリッチになってから何もしなくても減少してきたのは確かです。じゃどうして今また増えてきたのかな?土曜日にコンサートに行ったとき、満員の観衆でしたが、マスクをしていたのは私たち夫婦だけで、ほかにはほとんどいませんでした??

2)メトロ
 サンティアゴの地下鉄が営業を止めるという事件が最近よくありますが、デモで止まった他に、今週1号線が半分くらい止まりました。誰かが線路に降りて歩いていたらしい。そんな事故(犯罪?)はいつでもどこでも起こりそうですね。そんな事は3年前までほとんどなかったのですが。

 事件としては爆弾騒ぎがあります。数年前にあちこちに爆弾を置いて負傷者を出した犯人が今週45年の刑になりました。その裁判の翌日、同じようにラス・コンデスのビルに袋が置かれていました。それが爆弾でした。それは普通グループではなく個人の犯罪です。昔のニュースを聞いて、自分もやってみようと思ったのでしょうね。マプチェ問題もいつものように覆面グル-プが家屋の放火事件を起こしています。   以   上

「10月24日~10月30日」

「政治」

1)ボリッチ動向
 10月31日は福音派の祝日です。ボリッチはキリスト教の旧教カトリックでなく新教福音派を金曜日モネダ宮殿に招待してお祝いしました。さて内政だけでなく外交部門もパッとしません。メキシコ・コロンビアなどまだ大使が決定していない国をどうするのか、外務大臣とのネゴがうまくいきません。彼の仕事が遅いのか、外務大臣が省内をまとめられないのかわかりませんが。

 経団連ソフォファの会合に参加し演説しました。「現在のチリは厳しい状況にある。もちろんそれはチリだけでなく世界中同じだ。そう考えればチリには未来がある。談合問題で訴えられた鶏肉・薬局・トイレットペーパーなどの問題産業はあるが、全般にあなた方は社会に責任をもって対処されている。素晴らしい、ありがとうと言いたい。その努力を一層高めてほしい」これってほめているのですか、ばかにしているのですか?
 この他、サイバーアタックに対応する防衛組織の発足を祝いました。

2)TPP11
 環太平洋パートナーシップ条約です。最初はTPP12でしたが、トランプがそこからアメリカを外したのでTPP11になりました。11か国の中に日本とチリが入っていました。11か国でどう運営していくかの会議がチリであり、バチェレット大統領のころですが、何とか継続できることになりました。その次のピニェラ政権の時も問題なかったのですが、ボリッチになって共産党と新左翼が反対になり政府を反条約に動かそうとしています。憲法裁判所にその件が持ち込まれましたが、大きな動きはなさそうです。駐チリ渋谷大使からチリがこの条約から抜けると日本企業の中にチリへの新規投資をあきらめるところが出るとするコメントが出ています。確かにそうでしょうね。犯罪抑制(市民の安全確保)と並んで経済促進が望まれていますが、その逆の方向に行くとはボリッチ政権は不可解です。

 ボリッチ政権の与党は上記の2グループのほかに以前の中道左派グループがあります。そこがチリの民主化以来、多くの大統領を出してきたのですが、そこも分裂気味です。その一つキリスト教民主党DCの有名代議士リンコンとウォーカー、それに首都圏と第10州の州知事合計4名が離党宣言しました。新憲法問題で賛成・反対に分かれたことなどから内部が噛み合えないのでしょうね。彼らは新憲法に反対したのは右翼だけではないとしています。そして中道左派グループをリードする新党を結成するようです。先週書いた下院の議長に関して共産党は最も有能なわが党の候補者をDCは応援しないが許せないと噛みつきました。ボリッチが所属していた新左翼は行く道を失ったとされ、中道左派グループとも共産党ともうまくいっていません。それなら以前、チリの風で書いたようにボリッチは私は国民の皆さんのために働きますと、共産党・新左翼と距離を置けばよいのでは。

「経済」

1)経済成長率
 IMFの予想ではチリの成長率は今年は2.1%、そして来年は…なんとマイナス1.3%だとか。そんなにひどいの?

2)銅価格と為替 
1ポンド3.47ドルと少し上がりました。そのため為替は1ドル945ペソとペソ高になっています。銅価格の変化とコストの関連で、コデルコ銅公社の現在までの国庫納入金が26億ドルと昨年同時期の52億ドルの半分になりました。大蔵大臣は渋い顔でしょうね。
 コデルコ社長のパチェコの記事が出ました。世界で2500万トンの銅の生産の中でコデルコは150万トンとそれほどのシェアーは持っていないと言われると、「しかし一社として世界トップクラスにあるわけで、世界そしてチリへの貢献は素晴らしいものがある。それをこれからも維持し て行くのが私たちの使命だ」としました。

3)家屋の販売
この第3四半期に家屋の販売が前年対比38%も下がりました。もちろんこれは家屋の建設に影響し、大手の建設業者が倒産とか。なんでも十数社が破産もしくは破産寸前だとかで、370の建設が終了できないとみられています。政府はこの状況をよくするため、援護政策を検討中です。

4)価格の上昇
 消費者物価の上昇の一つガソリン代ですが、93オクタンの場合今年になって320ペソ上がり、全国平均で1300ペソ以上になっています。もちろん各ドライバーに直接影響しますね。今週、このガソリン価格のほかに、ドライバーに影響する高速道路の支払いに抗議するデモがあり、車・トラックが一車線を封鎖したので渋滞が起きました。

5)失業率
失業率はあまり変わりませんが、この4半期は8%と前期よりやや上昇。厳しいです。なんでも9月に18000人が失業したとか。昨年の今頃はコロナが収まってきたと10万人くらいが新しい仕事に就いたのですが。

「一般」

1)コロナ問題
 先週6000人まで新規患者が上がりましたが、今週は木曜日7366人。この2週間で患者数は62%上昇しました。もちろんいつも言っているようにPCR検査数が増えれば陽性者数は増えます。ただ少し前には陽性率が数%だったのに木曜日は17%でした。政府は全く対応しようとしません。首都圏だけではもう20%寸前です。つまりその辺を歩いている人の5人に一人はコロナにかかっているということですね。テレビの番組で人が混雑するところではマスクの着用を義務付けるのは必要ではないかと専門家に質問する場面もありました。日本もかなり患者数が増えているようですから、また出入国にブレーキがかかりそうですね。

2)犯罪問題
 この6か月で、チリの家族の32%が犯罪に関わらされたとなっています。商店では3分の2が被害にあったようです。したがって市民がこの問題を重要視するには当然ですね。ボリッチにとって最重要事項になります。ボリッチは大統領に就任するときに犯罪の増加を抑え市民の安全を高めたいとしましたが、彼が就任した3月以降、犯罪数は減少ではなく増加の度合いを高めています。まったく手を打っていないか、間違った手を打っているかのどちらかです。

 さて殺人事件に関しては北部に問題は集中し、最北部のアリカでは昨年対比46%アップになっています。これは同地区に不法移民グループが根を下ろし、活動を高めているからでしょう。逮捕された犯人は、もちろんチリ人が90%と大半ですが、外人ではベネスエラ人が1位で26人、2位はコロンビア人で25人でした。北部で話題になっていた銅の盗難事件で、今週、犯人グループが逮捕されました。

国外追放
 今年、先月までで国外追放は898名。一番多かったのはボリビア人で666名、次いでコロンビア人89名でした。

マプチェ問題
 南部の特別条約を国会でまた承認しました。それから材木運送のトラックが襲われ全焼しました。まったく変わりませんね。

高校生デモ
 この件で元大学教授と話をしました。彼は国や警察・学校を批判する声が聴かれるが、問題の根源は家庭だとしました。一流高校の生徒が白いオーバーホールを着て道路に出て警官にモロトフ爆弾を投げつけるが、誰がその服を買うのか?母親だ。つまり両親は自分の子供がそうした犯罪行為にかかわっているのを知っている。父親は民間か公務員の幹部だろう。その両親は責任を取るべきだ。どうでしょう?
 私がその学校の校長なら、問題学生とその両親に連絡を取り、犯罪行為を続けるなら放校処分にする。行為をやめるなら処分はしないとします。      以    上