『海に眠る船−コロンブス大航海の謎』 クラウス・ブリンクボイマー、クレメンス・ヘーゲス シドラ房子訳 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『海に眠る船−コロンブス大航海の謎』 クラウス・ブリンクボイマー、クレメンス・ヘーゲス シドラ房子訳


コロンブスが新大陸に到達した時の乗船として知られるサンタマリア号は、その年の1492年にイスパニョーラ島(現在のドミニカ、ハイチ)で浅瀬に乗り上げ、解体されて砦の資材に使われた。コロンブスの4回にわたる新大陸への航海の船団からは多くの船が松食い虫の被害や悪天候などで、12隻もの帆船がカリブ海地域で沈んでいる。コロンブスの一行の遺した記録文書などを手がかりに、多数の水中考古学者や財宝探しが、コロンブスの船の発見を競っている。

本書はそういったいくつかの捜索の実態と、コロンブスの航海日誌や膨大な当時の文書記録の研究者たちの成果、旧大陸から到来し難破した船や初期の植民地の遺跡調査の成果をまじえながら、コロンブスの生涯を追ったものである。コロンブスに関する著作は、数多く出されているが、ドイツのジャーナリストにより書かれた本書のユニークな構成と視点は、コロンブスのアジアへの到達の挑戦精神力、計画実現のためポルトガル、フランス、イギリスまでに及んだ長年の工作、並はずれた航海能力と対照的に欠けていた部下の掌握や現地での統治能力、執拗なタイトルや収奪した金についての権利の要求なども明らかにしており、目新しいコロンブス評伝になっている。

〔桜井 敏浩〕

(ランダムハウス 講談社 381頁 2006年5月 2,400円+税)