“神秘のマヤ文明遺跡”で知られるグアテマラは、マヤ以降スペインの征服と植民地時代、独立後の中米連邦の結成と解体、米国の経済支配を経て、米国系バナナ農園をはじめとする大土地所有制を覆そうとした農地改革の挫折、これに続く軍政に対するゲリラ蜂起は、結局36年間に及ぶ悲惨な内戦となった。
24人の文化人類学、言語、歴史、文学、宗教、中米政治、経済学、染織・服飾、文化交流の研究者等による、人・自然・地理、マヤ文明、歴史、現代の政治・経済・人権問題、マヤ言語・文学、宗教・祝祭・文化、文学、市場、芸術・観光に至るまでの網羅的な解説によって、古代、近代、そして現代にわたる、小国ながら多彩なグアテマラのすべてが理解できよう。[桜井 敏浩]
(明石書店370頁2006年9月2000円+税)
『ラテンアメリカ時報』2006/7年冬号掲載(社)ラテン・アメリカ協会発行