『ベネズエラ・ボリバル共和国憲法(和訳)』 佐藤 美由紀監修、岡部 史信・アルベルト・松本訳 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ベネズエラ・ボリバル共和国憲法(和訳)』 佐藤 美由紀監修、岡部 史信・アルベルト・松本訳


−Constitución de la República Boliviana de Venezuela−

1998年末の大統領選挙で低所得層の支持を中心に当選を果たしたウゴ・チャベスは、憲法制定議会を開催して憲法改定に着手し、1999年12月に大統領再選を可能とし、国名を「ベネズエラ・ボリバル共和国」に変更する新憲法を成立させた。新憲法は、“ベネズエラ的特性” をもつと想定される大衆を支持基盤とするチャベス政権が、既成権力に対抗するための直接民主主義的な手段を多く用いることが出来るようになり、また大統領が議会の解散権を持ち、副大統領、閣僚の任命権をもつなど強い権力を有するが、大統領の罷免権は議会になく、国民投票に依るとされている。その他、司法権、裁判官の選出や国会議員の選挙民への義務、先住民への配慮など、独特の規定をもつ。

いずれもスペイン語とラテンアメリカ法に通暁した翻訳者と監修者による本書は、的確な訳文と冒頭の監修者による解説、近年における最高裁判所の判例も付いていて、優れた資料になっている。

この憲法がチャベス政権の権力の基盤になっているが、チャベス大統領は今度は三選を可能とする憲法改定を行おうとしている。いまラテンアメリカで最も注目されるチャベス大統領の思想と言動をより深く知るための有用な基礎資料だが、残念ながら学術目的に僅かな部数が印刷されただけで、非売品なのが惜しまれる。

(ベネズエラ憲法翻訳チーム発行2007年3月66頁非売品−連絡先:松本 Fax 045-544-0192)