『雲の上で暮らす —アンデス・ヒマラヤ高地民族の世界』 山本 紀夫 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『雲の上で暮らす —アンデス・ヒマラヤ高地民族の世界』 山本 紀夫


アンデス民族学研究者で、『インカの末裔たち』(日本放送出版協会 1992年)、『ジャガイモとインカ帝国』(東京大学出版会 2004年)、『ラテンアメリカ楽器紀行』(山川出版社2005年)の著者のこれまで40年間のアンデス、そして近年はヒマラヤ、チベット、エチオピア調査を続けてきた著者(国立民族学博物館教授)の、両地域に住む高地に暮らす人々の姿を描いた集大成。ジャガイモ原産地を求め、クスコから200kmも奥に入った標高4000mのマルカパタ村で本格的な現地調査を始め、通算10年にわたるアンデス等世界の高地での滞在を通じて、自然環境、その過酷な条件の中で営まれる農牧などの生業、祭りなどの実体験を綴った、高地で暮らす人々の生活のフィールド・サーベイ記録。現地再訪により、時の流れのなかで起きている変容もまじえ、民族学に関心のある読者には特に興味深い。

(ナカニシヤ出版2006年12月389頁2600円+税)

『ラテンアメリカ時報』2007年春号 No.1378 掲載