『ブラジル北東部の風土と文学』 田所 清克 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ブラジル北東部の風土と文学』 田所 清克


ブラジルで最も早く植民地化が進んだ北東部は、ブラジル文化の揺籃の地であり、現在に至るも多くの文学、音楽、伝承を継承している。特に文学では、ブラジルを代表する作家を輩出しているが、それらの作品を読んでブラジルを認識しようとするには、独特の風土、歴史、文化を反映した北東部の社会、すなわちブラジルで最も貧しい地域の一つであり、土地所有の偏在、飢餓から逃れるべく都市への移住による過疎化などの問題が背景にあることを理解する必要がある。

本書は北東部社会の文明史と風土的特性、ブラジル地方主義についての概説の後に、偉大な4人の作家の代表作を取り上げ、それぞれの作品について背景、意義、社会性などを読み解いている。長年にわたって特に北東部出身の作家の著作を研究し、日本での紹介に努めてきた著者は、これらの文学を通じてブラジル人の思考や行動様式、国民性、ひいては感性と美学を知ることを期待している。

(金壽堂出版2006年12月187頁2600円+税)

『ラテンアメリカ時報』2007年春号 No.1378 掲載