現代はグローバリゼーション、すなわち「自由貿易世界秩序の地球規模化」の時代であり、南北アメリカと日本との関係がつと重要になってきているとの認識から、8人の研究者とIDB(米州開発銀行)の実務家が、この地球時代にどのような世界戦略をもち、世界と共生していくか?を探っている。
第1部「グローバリゼーションと米州国際関係」では米国外交とそのラテンアメリカの位置づけ、南米南部の非核化を通じての信頼醸成と地域統合の進展を、第2部「南北アメリカ社会の変容」では北米での人種問題の歴史的展望、米国最大のエスニック・マイノリティ集団であるラティーノの存在、南北アメリカを結ぶ麻薬ネットワークを概観し、第3部「南北アメリカと日本」ではNAFTA、メルコスール以後の諸国の状況から、日本とメキシコ間のFTAのあり方を、またIDBグループと日本との開発面での協力を、最後に1990年の日本の入管法改正以降のデカセギ日系人激増による南北アメリカの日系社会への影響、日本社会に多文化を形成しつつある動きを紹介している。
(ミネルヴァ書房2006年11月226頁2800円+税)
『ラテンアメリカ時報』2007年春号 No.1378 掲載