講演会報告:ラテンアメリカ・カリブ研究所講演会「ブラジル気候変動政策の変遷とアマゾン森林ガバナンス」東京外国語大学講師 舛方周一郎/福井県立大学教授 石丸香苗 2022年11月28日【月】 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:ラテンアメリカ・カリブ研究所講演会「ブラジル気候変動政策の変遷とアマゾン森林ガバナンス」東京外国語大学講師 舛方周一郎/福井県立大学教授 石丸香苗 2022年11月28日【月】


【演 題】ブラジル気候変動政策の変遷とアマゾン森林ガバナンス
【講 師】舛方 周一郎 東京外国語大学講師
     石丸 香苗 福井県立大学教授
【日 時】2022 年 11 月 28 日(月)16:00~17:30(日本時間)
【場 所】オンライン
【参加者】40 名

舛方先生の報告:

 自著『つながりと選択の環境の政治学―「グローバル・ガバナンス」の時代におけるブラジル気候変動政策』(晃洋書房 2022)(2011 年までの政策を扱っている)の続きを石丸先生他との共同研究で実施中であり、今回の報告はその中間報告。

 研究の目的は森林減少の実態をイデオロギーや善悪を排し、客観的に把握すること。

 ① 2003~2011(労働者党政権前期):PPCDAM(アマゾン森林減少阻止・管理計画)
 ② 2011~2018(労働者党政権後期+テメル政権):森林伐採防止政策の形骸化
 ③ 2019~2022(ボルソナロ政権):IBAMA(ブラジル環境・再生可能天然資源研究所)弱体化

 今回の総選挙で気候変動は重要な争点であった。ルーラの勝利と共に、マリナ・シルヴァ元環境大臣の連邦議員当選に注目している。

 アマゾンの森林伐採の増加はボルソナロ大統領のせいとは言えず、政治・社会的な複合的問題がからんでいる。新政権の政策はブラジル環境政策の試金石となるだろう。

石丸 香苗先生の報告:

 「アマゾン森林のローカル・ガバナンス―パラ州とマトグロッソ州の調査から」:今年 8~9 月の現地調査をベースに 大統領選挙において、マトグロッソ州は概ねボルソナロ支持、パラ州の南はボルソナ支持、北はルーラ支持。農牧族がボルソナロの支持基盤であり、森林伐採は北上している。

 アマゾンの森林減少のアクターは多岐にわたるが、大農が 70%を占め、森林伐採の多くは牧畜に起因。

 研究目的である、国家の政策が森林減少に影響しているか?に関して、連邦政府の環境政策と州レベルの環境政策をバックとして、市(ムニシピオ)レベルで調査したところ、政府レベルの環境政策/政権の変化はローカルな人々の活動にはほとんど影響がなく、州/市レベルの政策(低酸素経済や定住化)はコンスタントに実施されているという印象を受けた。

 ボルソナロ政権下での森林伐採率の増加のほとんどがイリーガルであり、このイリーガルをどのようにコントロールしてゆくかが今後の課題。

 講演後、パラ州/マトグロッソ州での伐採地での植林、ボルソナロ大統領の言動、日本はどう関わるか?等の質問/コメントが出され、興味深い議論がなされた。

 なお、本報告が研究途上の研究をベースとしているため、資料配布は行わない。