『フィデル・カストロ後のキューバ —カストロ兄弟の確執と<ラウル政権>の戦略』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『フィデル・カストロ後のキューバ —カストロ兄弟の確執と<ラウル政権>の戦略』


ブライアン・ラテル伊高浩昭訳

2006年7月に「フィデル・カストロが腸内出血のため手術を受け静養が必要なので、暫定的に全権をラウル・カストロに委譲する」との発表がなされ、あらためてフィデルの後継者としての弟ラウルが脚光を浴びることになった。1969年のキューバ革命を初めからともに行動してきた兄弟だが、カリスマ性の高いフィデルやチェ・ゲバラなどの存在の陰でラウルの実像も、兄弟の関係もあまり知られていない。

本書は、ながくCIA(米国中央情報局)のキューバ分析官を務め、後にジョージ・ワシントン大学やマイアミ大学などで研究生活を送っている著者が、キューバの指導者の心理分析を中心に、兄弟の生い立ち、革命政権内での役割とその実績などを通じての確執、フィデルが先立った場合のラウル政権の戦略を分析している。ラウルは兄より実利主義者あり、周囲の意見もよく聞くのでバランスのとれた指導者になるだろうとしている。

キューバのポスト・フィデル体制が現実になろうとしている時に、米国の政府のキューバ専門家による情報分析を知ることが出来るのは、今後のキューバの政治、外交を予測する上で大いに参考になる。

(作品社373頁2006年12月2400円+税)