『メキシコ時代のトロツキー —1937−1940』 小倉 英敬  | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『メキシコ時代のトロツキー —1937−1940』 小倉 英敬 


レーニンに率いられたボリシェヴィキ(多数派)は、1917年のロシア革命成就後ロシア共産党に改称したが、レーニンの死後スターリンとの抗争に敗れて国外追放になり、フランス等を経て1937年にメキシコに亡命してきた。しかし1940年にスターリンの放った刺客により暗殺された。

本書は、トロツキー追放、1920〜30年代のメキシコにおける共産党の成立とカルデナス政権下での政情を概説した後に、彼のメキシコ時代の一部始終を、彼に関わった人たち(その中には恋愛関係にあった女流画家フリーダ・カーロもいる)とメキシコの政治、トロツキーの暗殺を警戒した生活ぶり、そして暗殺者の接近と最後の日を詳述している。

メキシコの左翼運動の中で、トロツキスト系グループは重要な一翼を担っていたが、メキシコ革命以降一党支配を続けてきたPRI(制度的革命党)から1980年代後半に分離、統合した民族主義的左派諸党に吸収されていったが、一部は1994年に蜂起したサパティスタ民族解放軍の合法組織であるサパティスタ民族解放戦線(FZLN)に参加した。本書はトロツキーのメキシコ滞在の歴史的意味に関する再解釈を試みたとものだという。

(新泉社381頁2007年3月3000円+税)