連載エッセイ211:新井賢一「南米コロンビア・雲と星が近い町から」その8 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ211:新井賢一「南米コロンビア・雲と星が近い町から」その8


連載エッセイ 208

「南米コロンビア・雲と星が近い町から」その8
カリ出張の記

執筆者:新井 賢一(Andes Tours Colombia代表 ボゴタ在住)

先日コロンビア第三の都市・カリに出張しました。この地を訪れたのは実に久しぶりです。記憶では前回のカリ滞在は2013年7月に開催された”第二のオリンピック”とも称される「ワールドゲームズ」で約二週間、協会役員の方々のアテンドで滞在して以来です。

日中空路でカリに行く場合、着陸が近づくと視界一杯に平野が広がります。カリ近郊の平野部が肥沃な大地である事を察する事が出来ます。詳しい事は分かりませんがコロンビア国内有数の農業地帯なのかもしれません。空港はカリ市内ではなく近郊のパルミラに近い場所にあります。

カリ空港からカリ市へ向かう街道沿いを日中走行すると左右には広大なサトウキビ畑が広がり、遠くには山々の姿も見えます。また、「この木なんの木気になる木」と歌いたくなるような横に広がっている不思議な木々や、首都ボゴタでは標高が高過ぎて見る事が出来ない背中にコブを持つ肉牛達の姿も見られます。空港から市内への風景の美しさとしてはコロンビア国内でもトップ3に入るのではと個人的には思います。

こちらの画像は先年撮影したものです。コロンビア国内有数の都市カリも首都ボゴタと同様、エリアによって景観(特に住宅)がはっきりと異なります。こちらはいわゆる際高級住宅街地区です。また、右画像は市内有数のショッピングモールです。画像にはありませんがカリ市内には昔SLにより列車が走っていた名残が所々にあります。

こちらはカリ市内を見渡せる山中でキリスト像があり観光スポットになっています。ここからカリ市内を見ると広大な平野にある事が分かります(平日の日中は人が少ない為訪れるのはあまり良くないとされています。訪れるのであれば週末に)背後にはコロンビアで3つに分かれているアンデス山脈の西端の山々が連なっているのが分かります。

 肥沃な土地のカリでは様々な農産品が生産されています。その中でカリの人々が愛して止まないのが画像の赤い実「チョンタドゥロ(Chontaduro)」です。これはカリ市内で多数見かけるヤシの木に付く実です。このチョンタドゥロは独特の臭いがあり、日本人の方々のおそらく10人のうち7-8人は何とも言えないこの匂いに耐えられないのではと思います。私はこのチョンタドゥロの臭いが全く苦手で近づく事すら出来ません。

右画像にあるのですが、チョンタドゥロは皮をむいてそのまま食べたりミキサーで砕いてジュースとして飲んだりしています。私は一口すら食べた事がありませんが見た目は柿のような、色の付いた里芋のような外観です。カリを訪れたなら是非とも一度は口にしてみて下さい。味の保証はしませんが(笑)

今回のカリ出張の目的については割愛しますが、訪問先は先日のメデジンに続きまたしても「動物園」でした。カリ動物園は閑静な高級住宅街エリアにあり、敷地はメデジンと比較してとても広いと感じました。また、敷地内を貫くように流れる「カリ川」の岸辺には竹林が広がり、何となく日本っぽい雰囲気を感じました。個人的にはカリ動物園の方がメデジンよりも気に入りました。

標高約1,000mのカリはメデジンと比較すると暑さを感じますが朝晩は程良い気温に下がります。標高の関係もあるのか、動物園内ではバナナの木々・そしてバナナの花、竹林なども見る事が出来ました。私は動物視察の為に出張しましたが思いがけずバナナの木々などを見る事が出来たのは良かったです。

こちらは今回の出張とは関係なく先年2013年に開催されたワールドゲームズ期間中に撮影したものです。ここは「ベロドローム(スペイン語ではベロドロモ)」と呼ばれる自転車トラック競技の屋内スタジアムです。バンクと呼ばれる走行レーンは木で出来ています。よく見るとコーナーのあたりはものすごい急角度で歩いて上に行けるものではありません。

ここカリのベロドロームでは先年まで毎年自転車トラック競技のワールドカップが開催され、かつて日本から「競輪界の神様」と呼ばれた中野浩一選手・神山雄一郎選手、アトランタ五輪銅メダリストの十文字貴信選手、アテネ五輪銀メダリストの伏見俊昭選手他、日本の競輪年間チャンピオンを獲得された選手などが「ナショナルチーム」を編成してここカリで参戦した歴史もあります。

カリ市自体は観光スポットに乏しいですが、広大な平野と適度に暑い気候、そして激しいステップが特徴の踊り「サルサ」の世界首都とも称されるほど軽快な音楽と踊りで有名な地です。音楽好き・踊り好きの方々は是非とも訪れてみて下さい。  以    上