中南米から移民と日常的移動で膨大な数の人びとが米墨国境を越えて移動し、米国側の国境地帯に移民コミュニティが成立した。本書はその形成・発展の要因、移民統合の様式、中米諸国・メキシコからの移民の流れを分析し、北米で形成されつつある新しい移民の「共生コミュニティ」の構造と特質を、7人の米国政治、メキシコ現代史、米墨移民等の研究者が解明しようとしたものである。
MexAmericaと称される移民コミュニティ構築、米国の対メキシコ移民政策の歴史、メキシコの新しい対米移民政策と共同体構想、移民送金を基に出身地の村興しを行うマッチングファンド、産業連関表による米墨間相互依存関係の分析、在米移民ネットワークの政治参加、米墨国境を目指す中米移民キャラバン、米国の対中南米移民政策・ヒスパニック移民への対応の変化に至るまで、現代の問題を包括的に考察した論集。
〔桜井 敏浩〕
（東進堂 2022年10月 208頁 2,300円＋税 ISBN978-4-7989-1782-5）
〔『ラテンアメリカ時報』 2022/23年冬号（No.1441）より〕
