中南米に頻繁に通いキューバ、メキシコ、ラテンアメリカの鉄道、パタゴニアやアンデス、アマゾン河についての既刊書(https://latin-america.jp/?s=%E3%81%95%E3%81%8B%E3%81%90%E3%81%A1+%E3%81%A8%E3%81%8A%E3%82%8B&cat=18)がある著者が、6か国の郷土料理をめぐる紀行記。それらの国々が原産地の食品があり、植民地以前の食生活はどのようなものだったか、現代の食べ物の文化・歴史的な要素についての解説を交えつつ、メキシコのタコスから始め、多用されるトウガラシやテキーラという特産酒、グアテマラの七面鳥料理や各地の食堂、ニカラグアの首都や地方の伝統料理、パナマでは新鮮な魚介や分離独立したコロンビアの流れを汲む料理、ペルーの庶民料理の数々、及び広大なブラジル各地にある料理、代表的な焼き肉シュハスコ、フェイジョン豆の煮込みフェイジョアーダやリオデジャネイロ、アマゾン、ミナスジェライス州の料理の数々や観光スポットなどを沢山のカラー写真とともに楽しく紹介している。
欲を言えば「中南米グルメ」と題するなら、すばらしい牛肉のアサード(焼き肉)が一般家庭でもレストランでも賞味されるアルゼンチンやウルグアイ、近年「世界のレストランランキング」上位の常連を輩出し、それがカジュアルなレストランにも良い影響を与えているペルーやブラジルの新しい料理の潮流についても採り上げて欲しいところなので、ぜひ続編を期待したい。
〔桜井 敏浩〕
(東京堂出版 2022年12月 200頁 1,800円+税 ISBN978-4-490-21077-4)
〔『ラテンアメリカ時報』 2022/23年冬号(No.1441)より〕