連載エッセイ214:ピーター藤尾「チリの風」その10 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ214:ピーター藤尾「チリの風」その10


連載エッセイ211

「チ リ の 風」その10

執筆者:ピーター藤尾(在チリ・サンティアゴ)

「2022年12月26日ー2023年1月1日」

「政治」

1)ボリッチ動向
世論調査ですが、ボリッチを支持する・拒否する人の数が出ました。支持するとしたのは政権が始まった3月は54%。それが12月には34%に下がりました。拒否するとしたのは3月が42%、12月は65%。もういつもの傾向が確認されています。これがそのまま継続して支持が10%、拒否が80%とかになったら国会も彼を罷免するような議論が出るかもしれませんね。彼があっさり辞任することはないでしょうが。じゃ、国民は何を希望しているのか、それもちゃんと世論調査で出ています。

ところで今日、彼はブラジルに飛びました。新大統領の就任式に参加する為です。彼の大好きな外遊ですね。

社会犯の恩赦
ところが仕事の最終日30日に彼は犯罪人の恩赦を発表しました。3年前の社会騒乱で逮捕された多くの人間のうちの13名です。不思議なのは内務大臣がその恩赦を発表したときは11名で、後で2名追加されました。大臣が名前を書き忘れることはないでしょうから,後で誰かが追加2名を指示したのでしょうね。ところでその恩赦になった人間ですが、放火とか破壊とかの凶悪犯で有罪になっています。右翼と戦った左翼と言う雰囲気ではありません。

世論調査では国民は現在の急増する犯罪を抑えると言うのが政府の最も重要な仕事と考えています。この社会犯恩赦の発表をした内務大臣は記者会見で犯罪を抑えると言う最重要な事項を与野党が一致して実践したいとコメントしましたが、それなら火炎爆弾を警官に投げた犯人を釈放するのは大きなエラーでしょうね。彼女はこれ以上恩赦ないとしましたが、多くの有罪者の中からどのようにこの13名を選んだのでしょう。ボリッチの失政のシンボルになるのではないでしょうか。

恩赦の中の一人は左翼ゲリラグループのメンバーで社会騒乱とは関係なく銀行を襲って逮捕されました。共産党は彼の恩赦を評価しています。もちろん野党側はこの恩赦に反対し、後で2名追加した不手際の法務大臣を国会で糾弾するとか。大統領府の動向報告書にはこの事項は掲載されていません。

それでもボリッチはアメリカのタイム誌に就任を大きく書かれたり、ブルームバーグ誌ではボリッチは昨年の世界に影響を与えた50人の中に入っています。

ところで今年の政界で勝ち組負け組と言う記事が大晦日に出ました。新左翼で議会の議長にえらばれたミロセビッチが勝ち組、前内務大臣のシーチェスとボリッチの学生運動時代からの仲間ジャクソン大臣は負け組のトップとか。そうそう新憲法委員会の議長をしたマプチェの女性ロンコンは私が議長にえらばれたとき、ボリッチはこの先、私のそばにいるとコメントしてくれたのにそれが薄れてしまったのが残念とコメントしました。9月4日に新憲法が拒否されたのでボリッチにとって彼女は価値がなくなったのでしょうか。ボリッチが経済関係関連事項で大ヒットを打つとは思えませんから、日に日に人気が落ちていくのは間違いないでしょうね。

検察長官
もういつもと同じようですが、二人の候補者が出てボリッチはその一人を推しているとか。議会で承認されるかな?そのうちの一人はフェースブックでピニェラを批判したことがあるらしい。

新憲法
もう国民の興味は薄れていますが、今年はまたそれに関する選挙があります。国民はどう対応するでしょう。右翼側はほとんど興味はないし、左翼側は新憲法委員会に識者を入れるというアイデアを嫌っています。委員は全員市民にするべしというわけです。

「経済」

1)銅価格と為替
昨年の最終数字は1ポンド3.84ドルで為替は1ドル852ペソでした。その銅価格は1月4.38ドルに始まり3月には5ドルに近づいたこともありましたが、7月から下降が始まり結局3.84で終わりました。為替は1ドル850ペソで始まり、7月に1000ペソを超えましたが、またペソは勢いを取り戻し戻し852ペソと年初と同じレベルになりました。

さてチリ株式市場IPSAは昨年22%の大幅上昇を記録しました。日本はマイナス9%、アメリカのダウジョーンズもマイナス9%ですから、チリは世界的に見てトップクラスですね。珍しい。

2)最低賃金
昨年は40万ペソでしたが、今月から少し上がって41万ペソになりました。たくさんの人がにっこりするでしょうね。

「一般」

1)コロナ問題
一日当たりの患者数が今週は6千人に増えています。また陽性率も20%まで上がっています。でもコントロールは全くありません。ただ今まで自由だった入国が、中国人と中国からの旅行者にはPCR検査が入国時に要求されるようになりました。

2)山火事
鎮火されていない山火事が16も記録されています。南部のビオビオ州(第8州)はナシミエントとサンタ・フアナで家屋や学校が燃えました。ユンベルも火が町に近づいているとか。その南のアラウカニア州(第9州)はルマコなどで1700ヘクタール、200件の家に火がついたとか。山火事とは関係ありませんが、この大みそかの花火大会がほとんど全国で禁止になりました。                  以    上

「2023年1月2日ー1月8日」

「政治」

1)ボリッチ動向
先週の予想通り囚人の恩赦が問題になっています。彼はマヌエル・ロドリゲス戦線に所属していたホルヘ・マテルナの恩赦をしましたが、それに関し、裁判内容に何か疑問が見えるとコメントしました。裁判所が間違って無罪の彼を有罪にしたと言う気配でした。彼は銀行強盗をしたのですが、左翼ゲリラが活動経費を得るために強盗をするなら、彼らを援護する共産党に資金援助を求めればよいのでは。裁判所はボリッチのコメントに即時に反応して大統領は三権分立を知らないのか、裁判の内容に口をはさむのかとクレーム。ボリッチは裁判所のクレームにはそれはその通りですねと軽く 回答しました。実はこの件に関しまだ話があります。ボリッチがまだ議員だったころ、刑務所に入っている彼を訪問しているのです。そして国会議事堂の前で彼らの戦線を応援したいと過激なアピールをしています。昔、そのグループはチリの最右翼党UDIの創設者を暗殺しています。そんな新左翼の考え方・行動が3年前の社会騒乱を引き起こしたわけですね。如何にボリッチがその運動とかかわりあっていたかが証明されています。

しかし裁判所も大きな顔はできません。マプチェの犯罪です。ルシンゲル・マカイ夫婦の殺人事件で18年の有罪になったホセ・トラルカルが刑の途中で条件付き自由を地方裁判所から認められましたが、それを最高裁判所は認知できないと取り消しました。いやはや。国会で右翼がボリッチを憲法違反で訴える予定です。大統領府はそうした意味のない行動をするのは止めましょうとコメントしています。しかしピニェラの時代に左翼がピニェラを憲法違反として訴えたことと同じで、自分たちは正義のためにやったが、右翼は嫌がらせのためにするとします。いやはや。

法務大臣リオと社会厚生大臣ジャクソンが同じように憲法違反で訴えられそうです。リオは辞任するか更迭されると言われています。金曜日にここまで書きましたが、土曜日に何とリオ法務大臣が辞任と発表されました。辞任が更迭か分かりませんが、大統領府の発表は彼女の辞任要請を大統領は認めたと書かれています。国会で憲法違反になると公職に何年も就けなくなるので、ここで辞任して来週から新しい仕事を探す方がよいと考えたのだろうと言うコメントもあります。何年かしてから、自分の問題は大統領が突然に恩赦の数を変えたことから起きたと発表するでしょうね。ところで右翼の党は辞任した彼女をさらに憲法委員会で取り調べしたいとしています。

同じようにボリッチの補佐官をしていたマチアス・メサも辞任しました。彼はボリッチの一番近くにいたようで、大統領とコンタクトしたいときは彼を経由するのが一番手堅いと言われていたらしい。その彼もこの恩赦事件で大統領府にいれなくなったのですね。新聞にボリッチ政権の最悪の事態と描かれています。

先日、ボリッチは新大統領の就任式にブラジルを訪問しました。今日、ブラジルで前大統領の応援団が最高裁判所と国会に侵入しました。アメリカでも似たような事件が起きていますね。ボリッチはすぐにルラ大統領応援の声を上げました。

しかし全般を見ると、それほどひどいボリッチ政権でもラテンアメリカ諸国の中で安定・汚職・腐敗などを比較すればチリはそこそこにいると思います。3年前から比べれば落ち込みましたが、まだましです。甘いかな?

ボリッチは就任後、初めてロス・リオス州を訪問しました。マプチェで問題になるアラウカニア州の南に位置する州です。その州都はバルデヴィアですね。州の知事や市町長などと面談して現地情報を集め中央政府の考え方を伝えました。

新憲法
もう私とすればほとんど興味はありません。これは個人のことですが、私の感触はチリの一般人のそれとよく似ていますから、チリ人も新憲法にそれほど注目しないでしょう。5月に新憲法委員会のメンバーを選ぶ選挙があります。強制選挙なので投票に行く必要があります。また誰に入れるか選択する必要があります。

新検察長官
3人目の候補者が出ました。アンヘル・バレンシアです。彼はモネダ宮殿を訪問し、内務大臣・法務大臣と面談。さぁ国会がどう判断するかな?明日に議会で賛否の投票があります。

「経済」

1)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド3.79ペソで先週とほとんど同じでしたが、為替は1ドル842ペソとかなりペソ高になりました。株式市場IPSAは2.6%ダウンと苦しいスタートでした。

さて12月の物価上昇率IPCは0.3%で、2022年の年間指数は12.8%となり1991年以来過去30年で最悪の数字でした。

これが影響して、給料が上がっても物価上昇率より低いと実質賃金はマイナスになります。最近4か月間、実質賃金はマイナスになり過去4年で最低とか。ローンを組んでいる人はこの上昇率が支払額に直接影響し12.8%アップになります。厳しいですね。

ただ12月のIPCは低かったので、今年は年間3%くらいに落ち着くと言われます。もっともインフレ問題より重要なのは経済成長率が低迷していることだとするコメントも出ています。外国人の失業率は9-11月で8.3%とチリ人と変わりません。

2)新車の販売
昨年の新車の販売は42.6万台で新記録でした。意外ですね、チリ人もかなり余裕があるのですね。

「一般」

1)コロナ問題
もうほとんど話題にならなくなりました。今週も1日5000人ほどがピークで、陽性率は18%が一番高い数字でした。火曜日は感染者数がわずか1305人でしたが、PCR検査数はたった6067人。コロナがひどかったときは10万人以上がPCR検査を受けていましたから、現在、新規患者数が減るのは当然ですね。

2)入学手続き
私立の学校は入試がありますが、公立の場合は入学要請を受付けます。今週、話題になったのは有名校の前に前夜から寝袋で列を作って順番を待つ人です。なんでも2晩泊った人もいるとか。人数制限があるから並んだ順番なのかその後で抽選があるのか知りませんが、大変ですね。私は子供が二人いるが同じ学校に入れなかったので送り迎えが厳しいとこぼしている人がニュースに出ました。

会社員の時代、学校が休みに入ると車の量が目立って少なくなったのを思い出します。日本と違って子供が歩いて登校するのはチリではありません。スクールバスに乗るか親が送り迎えをするわけです。さて大学入試の結果が出たので、学生は自分の勝ち取った点数をもとにどの大学のどの学部に入れるか探しはじめました。日本の一発勝負より落ち着けますね。

3)山火事
まだ19の山火事が続いています。それでも今年の山火事の数・焼失面積は昨年とほとんど同じとかで、消防部隊が頑張っているようです。          以  上

「2023年1月9日ー1月15日」
「政治」

1)ボリス動向
外交
コロンビアのペトロ大統領がモネダ宮殿を訪問し、国交200年のお祝いをしました。コロンビアは社会・経済ともに上手くいっているようには思えませんから、二人の話の内容はかなり厳しいものだったでしょうね。先住民との問題も両国にあります。

囚人恩赦
この問題は今年いっぱい続くかな?冗談ではなく、連日深刻化しています。大統領が恩赦の内容を全部、理解していなかったと言う説もでています。部下が仕上げて彼がそれにサインしたとか。彼の責任を少しでも軽くする作戦かな?それでも彼が議員だったころ、「罪もなく刑務所に収容されている人間を助けよう」と言うパンフレットを持った写真が出ています。社会騒乱の時捕まった人間は右翼がでっち上げた罪で刑務所に入っているとするわけです。昔の彼の同志と言うことになります。今回恩赦で自由になった人の履歴が報告されていますが、その社会騒乱に関係なく数回の逮捕歴のある凶悪犯もいます。誰がそれを選んだの?

それだけエラーがはっきりすれば、今回の恩赦を取り消してボリッチが「エラーがありました。恩赦は取り消します」とすれば問題は一気に解消します。もちろんその時、ボリッチはレベルが低いと言われるでしょうが、その方が現在の混乱よりはマシでしょう。しかしボリッチはマスコミの前でこの件に関してコメントしていません。

新法務大臣ルイス・コルデロが就任しました。彼はこの件に関し、大統領の恩赦に不法行為はない。ただそれに関して各自が異なった感触を持つのは自然だろうとしました。この作戦で逃げ切るつもりなのかな?

もっともこの問題の解決策の一つとして内閣改造が出ています。昨年末に大臣の中で問題があるとして法務大臣と社会福祉大臣があげられました。法務大臣はもう交代させられましたから、次はボリッチの親友のジャクソンです。もちろん、政権の色を塗り替えるなら新左翼・共産党から大臣を選ばず、昔の政権を担っていた中道左翼から候補者を選べばイメージを変える最高の方法ですね。今まで頻繁に与党間の統一がないと書いていますが、今までの中道左翼 政権で中心党の一つだったPPD党のディバルディが新政権の新左翼・共産党は私たちを嫌っているとコメント。イヤハヤですね。次の選挙で与党は二つに分裂する可能性があると言われますが、チリの風で毎週書いていることですね。日曜日の新聞にボリッチの孤独と言う特集記事が出ましたが、特に不思議な気はしませんね。世界でも珍しいでしょうが、チリでは野党が大統領を支援して与党が対立すると言うことがありました。今回の恩赦事件で野党は今までと違ってボリッチと距離を取りました。ボリッチ支持・応援をする勢力は無くなったのでしょうか。内務大臣・法務大臣・大統領補佐官の3名を交代させましたからね。

世論調査で彼を支持する層が減少していますが、もう毎回同じなので新鮮味はありません。それでも不支持がピニェラの時はもっと高かったと言うコメントがありますが、就任1年目でこれほど不支持が高いのはボリッチがトップでしょう。

ボリッチはサンティアゴとビーニャの間に汽車を走らせると言う計画を発表しました。13億ドルをかけて2030年にサービス開始とか、到着までバスと同じ1時間半で運賃も現在のバスとほとんど同じらしい。今まで同じような計画が何回も出て完成していません。それを新幹線スタイルにして1時間半の代わりに30分で到着なら多くの市民に喜ばれると思いますが。

先年、各自が積み立てている厚生年金の一部を引き出すことを議会は認めました。それは何度も起きていますが、また今回、少し色を変えて自己貸与として自分に貸し出すようにする法律を新左翼の議員が出しました。大蔵大臣はそれをやると社会が混乱し、当然インフレは拡大すると拒否の声明を出しました。新左翼側は気にせず成立させようとしましたが、多数決で拒否されました。もう新左翼の顔も見たくないと思うのは私だけでないでしょうから、次回の選挙で大きく後退するでしょう。大統領は新左翼ですよ。彼は与党を全くコントロール出来ません。

チリの健康保険は国営のフォナサと民営のイサプレがあります。国営の保険は毎月かかるは費用は安いがサービスの質が落ちると言われていました。ところが最近、イサプレが調子が悪いと言われ始めました。システム全般に問題があるのか、その中の独立した運営会社の一部が経営難なのか分かりませんが、結構厳しい状況の様です。どれかの会社がつぶれた場合、その保険会社に入っていた人はどうなるのか、何ができるのかそのうち知らされるでしょう。健康保険と厚生年金は世界中、どこでも運営はむづかしいですね。

新検察長官
バレンシアがとうとう長官になりました。前長官が辞めて100日間の空白がありましたが、やっと3人目の候補者で組織が正常化。モネダ宮殿で、その新長官はボリッチ、内務大臣、法務大臣と4名で話し合ったとか。社会の安全が最重要項目だから検察も頑張ってくださいと励まされたのかな?しかし彼は就任して即時に幹部役人14名を更迭しました。一人は二人ではないですよ。野党の右翼議員は国会で彼は自分が長官になれば大きく組織を入れ替えると発表したが、それを即時実現するとは素晴らしいとほめています。

就任後、直ちにテムコに飛んでマプチェ問題を取り上げました。確かにやる気のある新長官ですね。同じく大統領府の次官にカルロス・ヅランが就任。恩赦事件で混乱していたボリスの部下も空席が埋まりました。

新憲法
社会党は元大統領のバチェレットを招待して面談。新憲法委員会について話をしました。彼女に識者として委員になってほしいと

要請したのでしょうね

「経済」

1)経済成長率
今年のチリのGDP経済成長率はマイナスが予想されていますが、今週の世銀の発表ではラテンアメリカでチリとハイチだけがマイナス成長になるだろうとのこと。チリはマイナス0.8%とか。ラテンアメリカで2位と聞くと普通なら良く頑張っていると思いますが、これに関してはがっかりですね。しかし銅の価格がなんと今週4.13ドルまで上がりました。中国の復興が目覚ましいからと説明しています。私の見込みではこの調子が続けばチリの今年はマイナスではなくプラス成長になります。

そのため為替は1ドル822ペソと、すごいペソ高になりました。7か月ぶりのペソ高です。もちろんそれはインフレを抑える力になると喜ばれています。このため、毎週のようにガソリン価格が下がっています。もっとも日本円にすれば1円くらいですが。ところで原油価格が上昇すると言う噂もネットで流れています。どうなるかな?

「一般」

1)マプチェ
南部のクラカウチン地区で家屋が放火されました。そこにマプチェの政治犯を釈放せよと書かれたパンフレットが置かれていました。このほかに水力発電をする施設が崩壊される事件も起きています。国会で南部地区の特別区扱いがまた国会で認証されました。南だけでなく北部にも不法移民問題が継続で連日、ボリビアから移民が入ってきます。ちゃんとテレビのカメラに映されていますから証拠は十分です。どうして政府は手を打てないのかな?警察だけで無理なら軍隊を使えば良いのに。トア内務大臣は最北端部を訪問し、この不法移民問題の実態を確認しました。

それに関係ありませんが、テレビのニュースに福島原発の排水が今年海に流されると言うのが流れました。日本のイメージが悪くなりますね。日本政府はこれでは海水汚染はしないと発表しているとコメントされました。それならどうして今まで貯めていたのでしょうか?

山火事はそれほどひどくはありませんが、首都圏とその南でまだ継続です。

2)夏休み
バケーションが始まりました。チリに隣国アルゼンチンンから多くの観光客が来ています。ところでチリの外務省は市民に不要不急の場合ペルーに入国しないように要請しました。ペルーの混乱は深刻ですね。

3)社会の安全
これが最近のチリのとって最重要事項とされています。チリ経団連会長が、それは一般市民だけの問題ではない、外資を含めた資本家の要請でもあるとしました。毎日のテレビのニュースはこの犯罪関連が多くです。コデルコから盗まれた大量の銅を積んだコンテナーが見つかったとか。犯罪グループも作戦を立てて盗んでから外国への販売まできっちり仕上げているのですね。

首都圏のフロリダ区の区長カーターは「首都圏で麻薬組織が毎年規模を大きくしているのは容認できない。私が責任を負っているこの区に麻薬組織の家屋が見つかれば、法律にのっとってその家屋の崩壊をしたい」としました。裁判所に出した申請が容認されれば、即時に壊すのですね。彼は最右翼のUDI党関連者です。新左翼はそれに反対するでしょうか?人が住める住居を壊すなんて人権問題だと言うかな?

4)コロナ問題
新規感染者数や陽性率は大きな動きはなく通常です。ただし収まってきていると言う雰囲気はありません。政府は今年のワクチン接種をどう進めるか検討中とか。 以  上

「2023年1月16日ー1月22日」

「政治」

1)ボリッチ動向
もちろん例の恩赦事件が継続です。右翼のグループが与党側のDC党と手を組んで、ボリッチが恩赦した中の7名に関し憲法裁判所に異議を申し出ました。裁判が始まるわけです。 世論調査で72%の市民がこの恩赦に反対しています。特に左翼ゲリラについては81%が釈放反対とか。

今週行われた共産党の集まりにボリッチは参加して、一緒にお祝いをしました。

国会で審議されたジャクソン社会福祉大臣の罷免に関しては65対76で否決されました。野党側のRN党議員が何人か反対票を入れたためです。野党側は私たちはすべての大臣を咎めているのではない。ジャクソンは彼の任務を放棄しているので、多くの市民が困窮しているとしました。もちろん、野党としてはこれは敗戦と言うことになりますね。次は前法務大臣のリオに関し同じように憲法違反で論議します。与党内の分裂に関し、内務大臣は次の選挙で与党は団結し、グループ内で一番右のキリスト教民主党DCから左の共産党までが統一候補を選ぶべきだとしました。

それに対し元議員のジラルディはバチェレットを支援した「連合」グループは新左翼・共産党には投票しないだろうとコメントしています。つまり現在の与野党の対決ではなく、与党その1.与党その2、そして野党の3グループに分かれると言うわけです。野党が勝つのは明白です。

鉱山
鉄と銅を持っているドミンガ鉱山計画が却下されました。環境汚染をするとされたわけです。今までに6000億ペソをかけた計画です。前のピニェラ政権の時、野党グループはピニェラもこのプロジェクトに絡んでいると批判していましたが、自分たちが政権を握ったので却下の動きを一歩進めたわけです。私の考えは、環境汚染を進めるのは良くないから、「どこに問題があって、どこを変えればその汚染が軽減するか探し、それを条件にして新鉱山の認定をする」です。ドミンガ鉱山が否定されれば、次の新鉱山計画は大きく後退するでしょう。その鉱山が設定される地区だけでなく、外資が止まってしまえばチリの将来に大きく影響しますが、ボリッチはそこまで考えないでしょう。新聞の社説に囚人恩赦とドミンガ鉱山問題は関係ないと市民は思うかもしれないが、国の将来と言う観点では同じ重要性を持っていると書かれました。

さて先日、サンティアゴとビーニャを結ぶ鉄道建設の計画をボリッチは発表しましたが、その工事を請け負うだろうと言われる会社が政府の発表した費用は実際の半分にしかならないとクレームしています。それが正しいとあとの半分を誰かが請け負うことになりますね。さらにほかの会社が1時間半の時間をかけず新幹線方式で45分で走る方が誰にとっても魅力になるはずだとコメント。ボリッチはいつもの通り誰も説得できないようです。

イサプレ(民間会社運営の健康保険)
最高裁は自分たちの結審がイサプレを破壊すると言うのは間違いで、そういう状況下で各社が責任を果たすべきだろうとコメントしました。イサプレが各病院に支払いを遅らせると病院の経営に影響します。どこかの病院が医師・看護師の削減を計画していると言う話を聞きました。私は今月、歯の病院に3回行っていますが、その費用の一部を私が入っているイサプレの会社に請求に行ったところ、その病院は当社と契約がないので支払えないとアッサリ断わられました。

ボリッチはイサプレに比べれば質が落ちると言われる国営の健康保険フォナサに投資しレベルを上げるとしました。例えば、イサプレなら患者に必要な手術が1か月で用意されるのにフォナサなら、1.2年も待たされるわけです。それを解決しようとするのですが、ちゃんとレベルが上がるかな?

「経済」

1)銅価格と為替
銅の価格は先週より少し上の4.18ドルで終わりましたが、水曜日は何と4.28ドルまで上がり驚きました。いつも思いますが、後ろで誰かが動かしているのでしょう。為替は1ドル829ペソでした。

IMFはチリに関して次のようなコメントをしました。昨年に関し、予想されたより良い結果になったとほめました。そして今年は公共投資など政府の支出を増やすことが経済停滞を防ぐ重要事項となるだろう。この政府案件の基礎になるのが銅価格の上昇ですね。そして考案されている厚生年金の引き出しなどは実施するべきではないと結んでいます。それを実施しようとしているのは与党の新左翼グループですね。

さて旅行者の件ですが、 一般的には 昨年の空港の使用者は対前年87%も上がりましたが、それでもコロナ問題以前より低い数字です。

「一般」

1)観光地
アメリカの雑誌の発表ですが、今年訪問すべき観光地のベスト10が決まりました。

イグアスの滝とかエンジェルの滝(ベネスエラ)、ガラパゴス島などと並んでチリから何と3つも入りました。それらはアタカマ砂漠、パタゴニアそしてイースター島です。1か国で3つも入ったのはチリだけ。チリには見るべきところがありますね。

2)信じられる職種
世論調査で31の職種に関し信じられるかどうか調べたところ、1位は消防所(消防夫)でした。95%の人がそれを評価しています。2位は警察(警官)でした。3年前の社会騒乱のころは警官は市民の敵だと言われていたのですが・・・。政府関連は下の方の25位、キリスト教関連はさらに下の28位でした。チリの一般市民はちゃんと見ていますね。

3)山火事
首都圏、ビオビオ州、アラウカニア州などで7か所の山火事が継続です。

4)コロナ問題
毎日新規患者数が2-3000人ほど出ています。陽性率は12%ほど。もうニュースにならなくなりました。                         以  上

「2023年1月23日ー1月29日」

「政治」

1)ボリッチ動向
彼の好きな外遊ですが、今回は隣国アルゼンチンに飛んでラテンアメリカ・カリブ諸国共同体首脳会議に出席しました。この会議に関し、二つの話題があります。会議の前日にブラジルの新大統領ルラがアルゼンチン大統領と面談し、欧州のように南米でも各国が政治経済で同盟国として合意できないかとしました。なんでも両国はその前段として共通のお金を使用する計画があるとか。チリではすぐにその共通通貨には入らない方がよいと言う意見が出ています。

もう一つは会議の席でボリッチがペルーを厳しく批判しました。「最近2か月近くで政府とデモ隊が対立し、すでに50人もの市民が死亡している。政府は彼らを保護するのが役割で殺すのは認められない」3年前にチリで社会騒乱が起きたとき、ボリッチとそのグループは大規模なデモを計画・実施しました。それを警察が抑えようとすると、彼らは警察は市民に暴行を加えるのが仕事と考えるのかと厳しく批判しました。その彼が大統領になると犯罪グループを抑えるのは警察の力が必要と大きく考え方を変え、警察を自分の懐の中に入れました。それがまた国際会議で昔の考えを取り出したわけです。ペルーは苦々しい思いですね。そのペルーの前大統領カスティジョは議会から捕捉される前の週にモネダ宮殿を訪問し、ボリッチと話し合っています。その時ボリッチは、「君のためには何でもやる」と言ったのでしょうか?

そのほかにベネスエラを取り上げ、同国の正常化をここで取り上げようとしました。他国のことにそれほど口を挟めるのと言われています。新聞に掲載された識者の文では大統領と言うより反体制グループの人間のコメントの様だと厳しい批判になっています。

その後、彼はサンティアゴに戻らず南のアイセン州に行き、同地区の市村長と会談し、同地区の道路の舗装と病院の建設を約束しました。それから外遊の前に首都圏の地下鉄の現場に行って2号線の延長を確認しました。これが完成すると首都圏の南部に住む人は、今まで中心街まで2時間かかっていたのが30分で到着できるとか。素晴らしいニュースですね。

さて明日の月曜日、ボリッチはウクライナのセレンスキー大統領と電話会談するとか。励ますだけなのか、具体的に何か援助をするのでしょうか?彼の外交観がおかしい(怪しい)のは先の国際会議で証明されていますけれど。ところでウクライナ問題から第3次世界大戦の可能性が出ていますが、もしそれが起きたとき、その状況の中で直接・間接の状況で安全と思える5つの国の名前が発表されました。1位はツバル、2位はアイスランド、3位はニュージーランド、4位はカナダ、そして5位は何とチリでした。どこまで当たるか分かりませんが、ほかの国より安全と考えられるわけですね。

前法務大臣の国会での議論は先の社会福祉大臣のケースと同じく罷免することにはなりませんでした。与党と同じく右翼の野党も内部分裂が明白ですね。その前大臣は先の恩赦に関して責任を問われたわけですが、私はもちろん彼女ではなくてボリッチの責任と思います。

ところで外務大臣が仲間と話してるのが録音され、それがなぜか外にもれました。どこかの番組でその外務大臣を罷免すべきとコメントされています。モネダ宮殿の政府内で混沌・不信があふれ、それをコントロールできないとされています。悲しい実情です。来週はどんな問題が発生するのか心配ですね。

新聞の政治漫画ですが、ボリッチが監督でサッカーチームを率いています。彼は部下の選手に、「違う。逆の方向に攻めるのだ」と叫んでいます。これって冗談ではなく本当なのでしょうか?

そして新憲法委員会の「識者委員」を選ぶ選挙に各党が候補者を出しました。そこから新委員を選ぶわけですね。元大統領のバチェレットの名前も挙がっています。世論調査の組織から私に電話が入り、3月の選挙にどのグループに投票しますかと聞いてきました。

民間健康保険イサプレは国との話し合いを止めたとか。もう裁判所ではイサプレに不利になる結審をしていますから、裁判所・政府とコンタクトしなければつぶれるのを待つと言うことでしょうか?不思議な気がします。政府は与野党議員を招待して対応策を検討するとか。

「経済」

1)銅価格と為替
1ポンド4.21ドルと先週とほぼ同じの高値安定。1ドルは803ペソとペソ高が続いています。中銀は公定歩合の維持を発表しました。これを下げるとまた消費が増加し、インフレ問題が再燃するだろうと言うわけです。

さてユーチューブでラテンアメリカの20の貧困国と言うのを見ました。もっとも貧しいのはハイチです。暴力グループの反政府運動が連日激しさを増していますが、同政府は武器を購入して警察に渡す金がないとか。チリにそのハイチから多くの移民が来ています。そして中米の国が続き、チリは最下位の20位。つまり一番貧しくない国でした。私がチリに入国した1979年の軍事政権のころは貧しい国の上の方にありましたが、民政化してから少しづつ上がってきたわけですね。

2)サーモン
チリから世界75か国に輸出されています。主な輸出先は日本・中国・アメリカ・ブラジルです。鮭と鱒で75万トンと前年より27%アップし66億ドルの売り上げでした。しかしその数字はコロナ問題前の2020年には追い付きません。

「一般」

1)外国の犯罪グループ
その中で一番勢力があるのは「アラグアの汽車」と呼ばれる外人グループですが、今週そのうちの18名が逮捕されました。1名だけコロンビア人で、それ以外はベネスエラ人でした。刑務所に入れるより国外追放の方が良いと思いますが、どうかな?

2)コロナ問題
一日当たり2300人が最高で、感染率は一日10%以下です。低め安定ですから、もうテレビのニュースにならなくなりました。

3)山火事
各地で山火事は継続ですが、前年対比、同時期で火事の数は5%アップですが、焼失した面積は39%アップと、火事の規模が大きくなっているのが分かります。

4)超過重問題
チリ人は飲みすぎ食べ過ぎで体重が増えると言われますが、どこかの国際調査でチリは人口の63%が肥満で、世界で34位でした。世界の平均は39%の人が超荷重です。つまりチリの肥満度は世界の2倍です。アメリカはもっとひどいとか。

5)マプチェ問題
軍隊を入れて警戒をすると言う体制をとっていますが。その結果として昨年は事件・犯罪が前年対比40%下がったとか。確かに効力があるわけですね。

6)イタリア広場
そこにデモ隊が集まって暴動騒ぎと言うのが、今まででしたが、サンティアゴの中心地のそこでベートーベンの第9交響曲が演奏され、広場にあふれるような数の観衆が音楽を楽しみました。6000人と言われます。珍しいですね。チリも正常化してきたのかな?

以  上