執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(早稲田大学法学研究科講師・パナマ共和国弁護士)
A.パナマ首都圏都市交通の延長
2021年2月に許可されたパナマ首都圏都市交通第3号線(約25億ドル)の建設は約32%完成していることがわかった。パナマ首都圏都市交通の第1号線と第2号線は、10年前に運営を開始し、現在、第1号線と第2号線の延長工事が行われている。第1号線の延長は、コロン県に向けて約42%進んでいる。第2号線は、トクメン国際空港まで繋ぎ、今年空港駅の利用を開始が予定されている。
第3号線はモノレール方式となり、パナマ県と西パナマ県を繋げる予定である。従来の計画ではパナマ運河を渡る橋を建設する予定であったが、橋の計画についていくかの問題点を指摘され、トンネルで渡ることとなった。 トンネル建設に必要な調査を行う会社は、法律に必要とされている保険書類を提出しなかったため、調達のプロセスをやり直すこととなった。現時点では、政府が、2026年に第3号線の運動開始と目指している。
第3号線の金融には、日本政府がパナマに25億6千万ドルのローンを提供した。さらに、第3号線のモノレール車両や様々なシステムには、日立製作所と三菱商事の技術が利用される。
B. マルティネリ兄弟の帰国
マルティネリ元大統領の息子であるリカルド・マルティネリとルイス・マルティネリは1月25日に帰国した。マルティネリ兄弟は、2022年5月に、ニューヨーク州の連邦裁判所で行われた、北・中・南米オデブレヒト汚職事件に関与した容疑を認め、禁錮33ヶ月の判決が下された。裁判所は、マルティネリ兄弟について仮釈放を認め、2年間の保護観察を命令したが、アメリカに在留資格がないため、帰国しなければならない。パナマにおいても汚職事件の関与についての裁判が行われる予定がある。指名手配が発行されているが、既に、一人に700万ドルの保釈金を納めているため逮捕されない。
ニューヨーク州の連邦裁判所では、弁護人を通して、マルティネリ兄弟は父であるマルティネリ元大統領から資金洗浄を行うように命令されたと述べた。1月25日にアメリカ政府が、汚職事件に関与があるため、マルティネリ元大統領とその家族がアメリカに入国禁止されたと発表した。
マルティネリ元大統領の息子であるリカルド・マルティネリとルイス・マルティネリは1月25日に帰国した。マルティネリ兄弟は、2022年5月に、ニューヨーク州の連邦裁判所で行われた、北・中・南米オデブレヒト汚職事件に関与した容疑を認め、禁錮33ヶ月の判決が下された。裁判所は、マルティネリ兄弟について仮釈放を認め、2年間の保護観察を命令したが、アメリカに在留資格がないため、帰国しなければならない。パナマにおいても汚職事件の関与についての裁判が行われる予定がある。指名手配が発行されているが、既に、一人に700万ドルの保釈金を納めているため逮捕されない。
ニューヨーク州の連邦裁判所では、弁護人を通して、マルティネリ兄弟は父であるマルティネリ元大統領から資金洗浄を行うように命令されたと述べた。1月25日にアメリカ政府が、汚職事件に関与があるため、マルティネリ元大統領とその家族がアメリカに入国禁止されたと発表した。
C.観光業界
パナマ観光局(ATP)は、2022年1月から9月のパナマを訪問した観光客は、前年同期比198%増加したと発表した。しかし、パンデミック前の2019年同期と比べると、21%下回っている。観光局は、2023年に200万人から230万人の観光客が訪れることを予測し、パンデミック前のレベルに復帰すると述べている。
パナマの商事パイロット組合はパナマの航空会社であるコパ航空とパイロットの報酬に関する交渉が進行しないため、2月2日からストライキを起こすことを発表した。会社とパイロットの交渉は、2022年9月に遡り、賃金上昇の他、妊娠中の労働者、資格取得支援、その他の福利厚生を求めている。
D.パナマの輸出入
統計局の報告書によると、2022年4月から6月、および7月から9月の間のパナマへの輸入が前年同期比2.9%と32%増加したことがわかった。主な原産国は、アメリカ、中国、メキシコ、コスタリカ、コロンビア、ブラジルであるが、「ゼロコロナ」政策の影響として、中国からの輸入が減少している。他方、2022年12月に公開されたOECDの報告書では、コロン県にある自由港が他のラテンアメリカ国の黄金密入とマネーロンダリングに利用されていると書かれている。米州機構の2022年2月に公開された報告書でも、コロンビア産の黄金はパナマや他のカリブ海の国を経由して密輸されていると発表している。これに対して、関税局のバルサヨ局長は、黄金や宝石の密輸事件は限られ、個人がパナマに入国する際、黄金を報告しないケースが多い。その場合、発見され次第、当局への通報や引き渡しが行われていると述べた。
A.パナマ船籍とイランの関係
United Against Nuclear Iran (UANI)のコンサルタントとして勤めているアメリカ元政治家のジェブ・ブッシュは、ワシントン・ポストでパナマ船籍の船とイラン密入航についての記事を執筆した。記事ではUANIはパナマ海運庁にイランが138隻を密入航に利用していると報告したにも関わらず、18隻のみ登記取消処分を受けていると書かれ、ブッシュが、アメリカ政府が調査を開始すべきであると主張している。これに対して、パナマ海運庁はイランとの関係を否定し、2019年から2022年の間、678隻についての登記取消を行い、その内136隻はNational Iranian Oil Companyと関係を持った船であったと発表した。
ブッシュが指摘した船に関して、パナマ海運庁と在アメリカ大使ラモン・マルティネスがパナマの批准した国際条約に基づいて調査を進め、パナマ法に違反する船が確定された場合は適切な処分を行うと説明している。
B.移民問題
2023年1月1日から20日の間、コロンビアに接しているダリエン県経由でパナマに入国した者は、1万3千人超え、その内、3000人がパナマ側に設置している移民センターに残っていると明らかになった。入国管理局は、2022年1月から10月の間、同じルートでパナマに入国した者は、20万6千人の内17万人はベネズエラ人であった。これに対して、2023年の移民はエクアドル、ハイチ、中国が多いことが判明した。
ダリエン県では、約110㎞に延びているダリエン地峡という沼地や熱帯雨林が多い地帯があり、コロンビア政府は、兼ねてからパナマ政府に貿易や両国の発展を求めているが、パナマ政府は意思を示していない。2021年8月上旬、パナマとコロンビア政府は、移民に関する協定を締結したが、近々、パナマ政府が設立した移民支援センターでは対応できなくなってきている。そのため、コルティソ大統領は、国連およびアメリカ政府に対して、移民問題に対応する国際協力を要請している。