『南部メキシコの内発的発展とNGO』 北野 収 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『南部メキシコの内発的発展とNGO』 北野 収


社会運動としての内発的発展論を再評価し、開発途上地域の文脈における新しい公共空間形成の動態的把握を試みた。メキシコでは20年来、構造調整、NAFTA、プエブラ・パナマ開発計画など、経済社会空間の新自由主義的再編成が進行した。多くの先住民人口を抱えるオアハカ州を例にメキシコ南部で勃興しつつある小農・先住民と現地市民社会のネットワーク化による新しい公共空間の形成過程を、知識人・運動家の記憶、ローカルNGOを含む運動主体間の相互作用と連関のなかから描き出す。

取り上げたNGOの活動事例には、有機農業、コミュニティ放送、フェアトレード、環境教育などが含まれる。比較的狭い地理的範囲のなかに、多様性に富んだダイナミックな空間の形成の一端を見出すとともに、内在される「危うさ」も指摘した。イデオロギーとしての脱開発論、オルタナティヴな発展論に止まらず、メタ視点からの「内発的発展論」を提示する。ラテンアメリカの開発問題に関心を持つ多くの方々に是非読んでいいただきたい一冊である。

(勁草書房   2008年11月 355頁  3,800円+税)