同じ出版社から出た小池洋一他編 『図説ラテンアメリカ —開発の軌跡と展望』(1999年)を引き継ぐ全面改訂版だが、経済問題に絞っている。
内容は、
1.「一次産品輸出から輸入代替化工業」、2.対外債務危機、インフレ、通貨危機を扱った「マクロ経済の諸問題」、3.ネオリベラリズム、経済改革などの「経済自由化」、4.ポピュリズムと大きな政府、財政、社会保障、左派政権の躍進を採り上げた「経済発展と政府」、5.国営、民族系、多国籍企業を考察する「経済発展と企業」、6.教育、技術を含む「人的資本と技術開発」、7.貧困削減のために試みられた政策を含む「貧困と格差」、8.「農業と農村」、9.貿易、資本と人の移動から見る「経済のグローバル化」、10.その歴史と1990年代以降の統合、インフラ協力を扱った「地域統合」、11.復権した「新一次産品輸出経済」、12.危機に瀕する自然、都市環境の悪化、環境保全への挑戦といった重要な課題がある「開発と環境」、13.貿易、投資、ODAで見る「日本とラテンアメリカ」
と、いずれもラテンアメリカ経済の発展と構造の変化の全体像を、簡潔な文章と多数の図表により、分かりやすく解説している。
ラテンアメリカ経済を知るうえでの副読本的な資料集として有用である。
(宇佐美耕一、小池洋一、坂口安紀、清水達也,西島章次、浜口伸明
日本評論社2009年4月128頁2400円+税)