ブラジルの邦字紙が2008年の日本人ブラジル移民100周年記念事業の一環として連載した「伯国の大地に生きる日本女性物語」の集成。ブラジルへの初期の日本移民先駆者の婦人たちがどのような思いで生きてきたかを記録し、国際人として生きてきた日本女性の生き様を知ってほしいという意図から、両国語で刊行されたうちの日本語版。
日本からブラジルへ移民した人々のほとんどは、父が夫が成功を夢見て反対する家族や妻を同行したものである。過酷な労働の中で、家事、育児に苦労を重ねた女性の内助の功によって日系社会は発展してきた。北はアマゾンから南部州まで、100人の女性の証言を各2頁で綴り、日本人移民史年表を付けている。
女性たちの生き様は男性以上に逞しく、日系団体の催しの裏方や農協、文化団体で活躍する行動力と包容力を兼ね備えた姿は、移民史料がとかくこういった市井の側面に触れていなかっただけに貴重な記録である。
(ファイル2009年2月215頁1500円+税)