メキシコ料理の中心にあるトルティージャの材料である各種とうもろこしの知識、単純そうに見えるが基本であるマサ(製粉された粉)の練り方とトルティージャの伸ばし方、焼き方、保存法とさまざまな活用法から始まって、実にいろいろな材料を駆使したアントヒートス(とうもろこしを主体にした総菜を指す)のレシピと作り方、その他メキシコの代表的な一品料理とサルサ(ソースと訳しただけではその種類、使い方は想像出来ない。日本料理の出汁、醤油、味噌の使い方に似ている)、世界に広がり豊富な種類があるメキシコ原産のチレ(唐辛子)などを、多くの写真とともに丹念に解説している。
これまでの先入観では想像がつかなかったメキシコ料理の奥の深い世界を、メキシコで修行し現在は東京の代官山でメキシコ料理店“La Casita”のオーナーシェフである著者が熱心に紹介していて、筆者のメキシコ料理への旺盛な探求心の成果となみなみならぬ愛情を感じさせる、眺めているだけでもメキシコの味を感じさせるような楽しい一冊である。
(旭屋出版2008年9月125頁2500円+税)