『大統領チャベス』 クリスティーナ・マルカーノ、アルベルト・バレーラ・ティスカ 神尾賢二訳 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『大統領チャベス』 クリスティーナ・マルカーノ、アルベルト・バレーラ・ティスカ 神尾賢二訳


いまラテンアメリカで最も注目を浴びている時の人であるベネズエラ大統領の伝記。ベネズエラの二人のジャーナリストが、膨大な数の関係者にインタビューし、調べ上げた、出自から米国大リーグの野球選手に憧れていた少年が陸軍士官学校に入り、職業軍人の道に転じ、次第に社会問題と政治に目覚め、1992 年にクーデタ未遂事件で服役、出獄後に政治活動に入り、次第に国民的人気を得て1999 年に大統領選挙に当選、2001 年頃からの反政府運動の激化と2002 年のクーデタ発生による拘禁という最大の危機を乗り越えて、04 年に大統領信任投票で圧倒的支持を受けるまでを中心に、その後の2006 年1 月までに起きたことを付け加え、ウーゴ・チャベスの50 年の半生を克明に綴っている。

チャベスの政策や外交とその成果や問題点にはあまり触れられておらず、半生の行動を同志との離反や女性関係などの私生活とともに詳しく記録している。本書にも出てくる評論家や学者たちもチャベスを「ポピュリスト」「革命家」「独裁者」と様々に形容するが、まだチャベスについて結論は出せないと著者はその判断を読者に委ねている。

(緑風出版 2009年3月 517頁 3000円+税)

『ラテンアメリカ時報』2009年秋号(No.1388)より