『小松亮太とタンゴへ行こう』 小松 亮太 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

 『小松亮太とタンゴへ行こう』 小松 亮太


1998年にデビューし、演奏のみならず、自らのユニットを率い、作曲も手がける若手バンドネオン奏者が、タンゴの基礎知識からタンゴの楽しみ方、タンゴの黄金時代を築きあげた創造者たち、出会った演奏家・歌手について存分に解説し、タンゴ観を語っている。

1970年代くらいまでのいわゆる伝統的なタンゴに魅せられた世代(本稿紹介者もその一人だが)と、1960年頃から独自のスタイルを確立し92年に亡くなったタンゴの革命児といわれたアストル・ピアソラ以後のタンゴ愛好家の間では何となく距離が空いているが、本書はタンゴの歩みを描くことによってこの二つの世代の間をつなぐ役割もしており、バンドネオン奏者ならではの聞き所やアマチュア奏者への助言があって、巻末の名曲「ラ・クンパルシータ」の小松亮太バージョンの譜面は、「この付録を経験してからピアソラの曲を練習すると、譜面の見え方がそれまでとは少し違ってきます」という。昔からのタンゴ好きにも、80年代のピアソラ以降にタンゴの世界を知った人にも楽しく読めるタンゴの入門書である。ピアソラの研究家とタンゴの研究者である編集協力者によるコラムと脚注が付いていて、理解を大いに助けてくれる。

(編集協力 斎籐充正・西村秀人旬報社2009年10月181頁1600円)