ボリビア、アルゼンチン、メキシコ、パラグアイ、エルサルバドルに通算20余年間、一貫してJICAとその前身機関で移住に携わってきた沖縄県出身の著者が、40年間のラテンアメリカとの関わりの中でのさまざまな体験を綴ったエッセィ集。
約40年前の沖縄(当時は琉球)からボリビアに移住する移民団の引率での船旅から始まり、ボリビアはサンタクルス郊外で革命のため蜂起した軍に捕まったこと、カーニバルや居酒屋などでの現地の女性を含むさまざまな階層の人々との交流、料理やワインなどの楽しみ、ゴルフ仲間のことなどを、軽妙なタッチで豊富な体験の一端を描いている。
しかし、随所に、例えば目下の者でも人前で面罵してはならぬこと、日本と現地の習慣からくる他人の評価の行き違い、人種や出自が絡む人との付き合いや人脈の重要性など、ラテンアメリカでの生活にとって必要なノウハウがさり気なく盛り込まれているのは、さすが長い経験のなせる業である。
(文芸社2009年3月165頁1200円+税)