『ボリビア移民の真実』 寺神戸 曠 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ボリビア移民の真実』 寺神戸 曠


1956 年から南米ボリビアへ「1000家族6000名」の“ 計画移住” が開始されたが、著者はこれに6年余の間、当時の移住実施機関であった海外協会連合会(後のJICA前身の一つ海外移住事業団)派遣の農業技師として現地で移民支援に当たった。東部のサンフアン入植地は、最初の移民が到着した時は雨期に入っており、現地からは中止要請があったにもかかわらず、国内事情から次々に移民が送り出され、入植者は初めから辛酸をなめた。

その原因は、1952年の戦後初のアマゾン移民、1957年のドミニカ移民、後に続くパラグアイ移民の場合と同じく、事前の入植地の調査の不徹底、熱帯農業の指導軽視をはじめ送り出してからの支援体制が不十分であったこと、受入国との外交交渉と農村等での海外移住者募集などの国内関係官庁・実施機関・地方自治体間の権限・責任体制が不明瞭なためどこもが無責任になり、さらにそれに担当官僚・実施機関の怠慢、杜撰な送り出しが重なったためであるといわれる。 “ 計画移住” とは日本から出す移住者の数と期間だけについての意味で、肝心の移民の生業、生活についてはまったく無計画であったことを、著者は現地サンファン移住地で思い知らされたことから、国の欺瞞、不作為の「罪」を厳しく追及している。

(芙蓉書房出版 2009年10月 210頁 1900円+税)

『ラテンアメリカ時報』2009/10年冬号(No.1389)より