『貧困国への援助再考—ニカラグア草の根援助からの教訓』  加賀美 充洋 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『貧困国への援助再考—ニカラグア草の根援助からの教訓』  加賀美 充洋


ラテンアメリカの開発経済の研究者であり、2003〜07年の間駐ニカラグア大使を務めた著者の体験による貧困国援助の実態と提言を、実例を多く交えながら具体的に述べている。

経済協力を中心に大使館の仕事、相手国政府との援助案件の決定過程、ODAの中でも地方等からの小規模な協力要請に応える「草の根援助」について詳細に解説している。数多い要請案件の中から公正に供与対象案件を選ぶ審査基準(ニカラグア大使館が考案した点数評価)や完了時・事後のモニタリングの具体例、多くのプロジェクトの竣工式に出た時の模様などの草の根援助の実情を詳しく紹介している。最終章で、全体金額が削減されつつあって、しかもニカラグアよりさらに低所得国であるアフリカ向け援助に重点が置かれるようになってきた日本のODAの中で、少額であるが小回りが利き、効果がすぐ出て相手国から喜ばれ、費用対効果に優れた草の根援助を、中央政府に対する比較的大型案件と組み合わせるきめ細かな援助が必要と訴えており、そのための成功要因についても的確に指摘していて、日本のODA無償資金協力総額の中では12.1%と相対的には小さな草の根援助だが、その効果は非常に高いと力説している。

〔桜井 敏浩〕

(アジア経済研究所(新書 アジアを見る眼111) 2009年10月  166頁  980円+税)

『ラテンアメリカ時報』2009/10年冬号(No.1389)より