「歴史から見るラテンアメリカのかたち」は「その1」が「新旧二つの世界が出会って」と題する論考だが、この「その2」は「スペイン植民地時代の遺産」と題する論考である。
1492年のコロンブスの「新大陸」到達によりもたらされた、全く異なる新旧両大陸の接触が広大で多様性に富むアメリカ大陸のその後の運命を大きく左右し、3世紀にわたるスペインの植民地時代にイスパノアメリカで形作られた政治経済社会体制、宗教、人々・社会の気風がこの地域に後々まで影響を与えた。
この論考では、主に植民地時代にスペイン文化の影響によってできた政治文化、社会風潮や人々の気質に関する歴史からの説明である。ブラジルについても言及した。
「その2」目次:
1.強権的な風潮を生んだ封建的な植民地時代
スペイン植民地時代の封建制
その中で生まれた階層階級社会
2.カトリック教が支配的な地域
3.民主主義の発展を脅かす政治風土と経済体制
法は「服すれども、守らず」の伝統
ペルソナリスモの政治社会文化
ラテンアメリカ人の個人主義
民主主義を脅かす階級社会
固定化する貧富の格差
4.ラテンアメリカの社会
人種の混淆
混血のメスティソ文化
都市がスペイン人の生活の場で支配の拠点
根強い宗主国との結びつきとヨーロッパへのあこがれ
言葉は帝国の同伴者
※ 会員様限定の資料となります。 2023.04.24 一般公開に切り替え
ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート 「歴史から見るラテンアメリカのかたちーその2:スペイン植民地時代の遺産」渡邉利夫