連載パナマ・レポート35:ルベン・ロドリゲス 2023年03月分 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載パナマ・レポート35:ルベン・ロドリゲス 2023年03月分


連載パナマ・レポート35: ルベン・ロドリゲス 2023年03月分

執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(早稲田大学法学研究科講師・パナマ共和国弁護士)

I.政府

A.採掘権に関する交渉

 カナダのFirst Quantumの子会社である鉱業会社のMinera Panamaとパナマ政府は、3月9日に、採掘権に関する契約についての合意に至ったと発表した。1997年の法律によって結ばれた契約においては、採掘可能の鉱物についての制限を定めておらず、Minera Panamaには、法人税、所有税、消費税、関税等は免除された上、政府の利益は、土地の利用費、企業収入2%を受ける権利とされた。1997年の契約を承認した法律は、最高裁判所の2017年判決によって違憲だと判断された。新しい契約の元で、Minera Panamáはパナマ政府に払う最低ロイヤリティーは3億7500万ドルとされ、売上総利益に応じるロイヤリティー12%または16%を払わなければならない。

 契約期間は20年間、さらに20年間の更新が定められ、採掘可能な鉱物は銅や契約に明記されている鉱物に限られた。さらに、Minera Panamáの納税免除は廃止され、支払った税金が特別な信託に移動すると規定されている。この信託の利益は、年金制度の補助、鉱山に近い町の公的事業や奨学金、教員の教育に利用される。また、契約では、再生可能エネルギーの利用義務と植林義務、政府による監督権限拡張、および、汚職が確認された場合、政府の契約解除権利が追加されている。

 政府は、近々に契約書を発表し、パブリックコメントを行った後、国会に送ると発表した。

B.パナマ首都圏都市交通の延長

 3月15日に、パナマ首都圏都市交通第2号線のトクメン国際空港駅がオープンした。トクメン空港から駅までシャトルバスで移動する必要があるが、パナマは、中米において初めて都心と国際空港が列車で繋がった国となった。

 さらに、3月16日に、パナマ政府と日本政府は、パナマ首都圏都市交通第3号線についての投資協定を結んだ。協定によって日本政府は、第3号線の延長にローンとして920億円(6億2500万ドル)を投資する。ローン期間は20年間で、返済は、2029年から2043年までとされている。第3号線は26.7キロ、モノレール方式で、パナマ県と西パナマ県を繋げる予定である。モノレール車両や様々なシステムには、日立製作所と三菱商事の技術が利用される。

C.同性婚の違憲審査

 3月1日に、パナマの最高裁判所は、男女の婚姻は、人類、そして連続性をもたらす目的があると述べ、家族法典において婚姻は「男女の間」という条文は、パナマ憲法に違反しないと判断した。さらに、国際私法法典において同性婚の禁止も同様とされた。最高裁判所の判決に対して、ドイツ、ベルギー、アメリカ、フランス、カナダ、メキシコ、オランダ、ポルトガル、およびイギリスの大使館は、パナマ政府に対してLGBTの権利が尊重されるような共同宣言を発表した。

II.経済

A.経済復帰

 3月19日に、パナマで開催されている米州開発銀行年次会議においてイラン・ゴールドファイン総裁は、長年にわたるパナマの経済的成長を認め、危機を乗り越える国として挙げた。政権交代に影響されず、計画的なパナマ運河の管理は特に評価すべきであるとも述べた。新型コロナウイルスによって、2020年におけるパナマの経済は17%の景気低迷を経験し、失業率は18.5%まで上がったが、2021年以降、継続的な成長の傾向があり、GDPは、2021年に15.8%、2022年に10.5%の増加があった。さらに、2022年に失業率は10%に下回った。

 経済的な復帰に伴って、パナマを訪問する観光客も増えている。2022年にパナマに入国した観光客は、2019年同期比83%増加している。2022年のホテル稼働率は52%(前年同期比13%増加し、ホテル業界の利益は、2019年同期比111%上がった。