第1巻「在日ブラジル人の労働と生活」、第2巻 在日ブラジル人の教育と保育の変容」、第3巻「ブラジルにおけるデカセギの影響」
在日ブラジル人の集住地での調査にもとづき、その生活と共生、地域住民意識の現実、行政の対応、労働と社会関係、ブラジル系エスニック・ビジネスの展開を論じた第1巻、日本の公立校あるいはブラジル人学校、保育所に通う子弟と保護者の意識、そこでの日本人との関係、日本の外国人教育問題の歴史と課題、本国政府による在日ブラジル人の教育支援を論じた第2巻、リピーターや定住者が増えたデカセギをブラジル側から見た帰国者の起業や再出発支援活動、ブラジル大都市近郊農村や僻地農村でのデカセギ現象の影響、教育面での帰国子女の現状、デカセギ経験者の意識、そしてブラジル人のトランスナショナルな生活世界と集住地での日本人との共生の現実と可能性を明らかにした第3巻からなる。
国境を越えて移動するブラジル人のトランスナショナルな生活、労働、子弟教育と地域社会との共生の現実を、延べ25 人の研究者が日本の集住地、ブラジルの送り出し地での調査も交えて真摯に分析している。
(御茶ノ水書房 2009年12月 208 210 189頁 各3500円+税)
『ラテンアメリカ時報』2010年春号(No.1390)より