『メモリアス —ある幻想小説家のリアルな肖像』 アドルフォ・ビオイ=カサーレス | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『メモリアス —ある幻想小説家のリアルな肖像』 アドルフォ・ビオイ=カサーレス


著者はアルゼンチンの裕福な大農園主の家に生まれ(1914〜1999年)、14歳の時から文芸作品を発表してきた。幻想的なストーリーの中にも独特の比喩や風刺を込めた作品を次々に発表し、特に短編小説ではボルヘスやコルタサルと並び称される。妻である作家シルビナ・オカンポとの共作や、ボルヘスとの共著・共作の推理小説、映画シナリオ、アンソロジーの編纂も行っている。

農場で育ち、後に農場経営者ともなったビオイ=カサーレスだけに、本書は広大なパンパの田園での生活と自身の思考、幅広い交友、文学作家としての成長の軌跡などの主部と、一族の歴史のエピソードを綴った「家族の物語」、自作について語った「私の著書について」の3部からなる。20世紀前半のパンパの農場やブエノスアイレスでの上流層の生活、交流光景を彷彿させる。

(大西 亮訳現代企画室2010年4月233頁2500円+税)