2022年9月7日はブラジル独立200周年であった。日本でこれを音楽で盛り上げる企画を、放送・音楽プロデューサーである著者が駐日大使館文化部との協議の過程で生まれたのが、ブラジルのポピュラー音楽の名曲200選を紹介した本書である。
1頁に1~2曲ずつ曲名の原題と邦訳、作曲・作詞者名、曲のテーマや歌詞の大意、その曲が生まれた時代の背景、その曲を収めたCDを紹介している。200曲に入りきれなかった曲のいくつかは20のコラムで解説している。PART 1「20世紀前半の名曲52」では19世紀末から1950年代後半のサンバの誕生と発展とシューロ、サンバ以前のカーニバル音楽を、PART2「サンバ/ボサノヴァ/MPB 128」は1950年代末に誕生したボサノヴァとその影響を受けたブラジル・ポピュラー音楽、1960年代以降のサンバから80年代半ばまでの軍政下でブラジル各地の文化を背景とした音楽やロックなど英米音楽の影響を受け消化した時代の音楽を、PART3「80年代~21世紀の名曲20」は1985年の民政復活から現代に至る多様な音楽を簡潔に解説している。巻末に人名・曲名索引、200曲をインターネットでのSpotifyとApple Musicのプレイリストで聴けるQRコードも付されている。
〔桜井 敏浩〕
(アルテスパブリッシング 2022年12月 176頁 1,700円+税 ISBN978-4-86559-270-2)
〔『ラテンアメリカ時報』 2023年春号(No.1442)より〕