【季刊誌サンプル】メキシコ ロペス・オブラドール政権のインフレ対策、 社会政策と次期大統領選挙 北條 真莉紗 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【季刊誌サンプル】メキシコ ロペス・オブラドール政権のインフレ対策、 社会政策と次期大統領選挙 北條 真莉紗


【季刊誌サンプル】インフレを引き起こす構造的な問題に苦しむアルゼンチン

西澤 裕介

本記事は、『ラテンアメリカ時報』2023年春号(No.1442)に掲載されている、特集記事のサンプルとなります。全容は当協会の会員となって頂くか、ご興味のある季刊誌を別途ご購入(1,250円+送料)頂くことで、ご高覧頂けます。

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特集 ラテンアメリカの政治と社会を揺るがす高インフレ メキシコ ロペス・オブラドール政権のインフレ対策、社会政策と次期大統領選挙 北條 真莉紗(在メキシコ大使館専門調査員)

はじめに
任期6年中4年半が経とうとしているロペス・オブラドール大統領は、50%台後半~60%台前半の支持率を堅持している。しかし、大統領個人に対する支持率が高水準を維持している一方で、経済政策に関する政権の取組の評価については、長期間にわたり悪い評価との回答が良い評価との回答を上回っていることが注目されてきた。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による経済的打撃の後、ウクライナ情勢による世界的なインフレ傾向を受け、メキシコ中銀が政策金利を継続的に引き上げる一方で、大統領は、40品目から成る基本バスケットの価格安定化等、「民衆経済のための措置」として社会的な側面からのインフレ対策方針を掲げてきた。しかし、インフレ率は2023年に入っても高止まり傾向にあり、低下に向けた道筋は見えてこない。2024年に大統領選挙を控える中、低所得者層を中心に支持を固めてきた現政権が経済を底上げできるかが注目されている。

ロペス・オブラドール政権のインフラ対策
世界的インフレを前に、ロペス・オブラドール大統領は、2022年5月にインフレ対策パッケージ(通称PACIC)及びその補完的政令として一部品目にかかる関税の一時的免除を発表した。同パッケージは、半年間、基本バスケット24品目の適正価格を据え置きするとともに、生産(食料供給増加を目的とした補助金による燃料価格の安定化、ガスと電力の基準価格設定、穀物生産増加、肥料提供拡大等)、流通(道路・鉄道料金などの据え置き、通関業務縮減による費用と時間の削減等)、通商(一定品目輸入時のゼロ関税適用等)面での戦略が主な内容である。大統領は、PACICが連邦政府と民間企業の相互利益による自主的な合意であり、価格統制や強制措置ではなく、民間企業側は柔軟に価格安定化対象製品を変更することが可能であると強調し、生活費高騰の最も大きな影響を受ける貧困層のためにPACICを通じた対策を行うと述べた1。また、政府は、インフレ抑制のためには国内消費財の自給生産と同様に食料自給が選択肢になると主張し、①肥料の流通支援による穀物生産の増加、②トウモロコシの備蓄の増加、③トウモロコシ、豆、米、牛乳の価格保証を提案した。その他、PACICには、食品等の盗難を防ぐための道路警備の強化、大手通信会社による電話・インターネット料金の据え置きも含まれる。大統領の発表に合わせラミレス大蔵公債大臣は、これらの措置による供給とコスト削減が業界の競争力を刺激し、業界がより良いマージン管理を行えるようになるため、価格統制に影響を与えることはない、燃料価格に対する税制優遇措置と追加刺激がなければ、インフレ率は7.7%ではなく10%となっていたと述べ、より多くの企業がPACICに参加するよう呼びかけた。民間部門は、PACICに参加を表明しつつも、インフレの原因がグローバルなものである以上、インフレ圧力の一部に過ぎない基本的品目への上限価格設定では限定的かつ短期的な封じ込め効果しか期待できないと当初から指摘していた。また、穀物生産の増加は収穫のサイクルに左右され、短期間で達成できるものではないとも指摘されていたが、PACICが価格統制を伴わないため、闇市場の出現を招かないとの点は歓迎された2。また、ガソリン等への助成(生産・サービス特別税〔IEPS〕の排除)は逆進的な措置であり、最も裕福な層に利益を与えているとの指摘も、当初からなされていた。関税撤廃については、対象品目