連載エッセイ241:新井賢一「南米コロンビア・雲と星が近い町から」その12 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ241:新井賢一「南米コロンビア・雲と星が近い町から」その12


連載エッセイ 238

南米コロンビア・雲と星が近い町から」その12

カリ出張の記 -2-

執筆者:新井 賢一(Andes Tours Colombia代表 ボゴタ在住)

4月に入り突然、何かタガが外れたかの如く当社のコロンビア人顧客の方々が続々と「日本を旅行したい」と希望され、対応に追われています。コロンビアにいながら日本国内の観光名所を巡る周遊プランの作成をするという日々で少々戸惑いを感じています。

日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年3月の外国人観光客入国者数は約182万人・コロナ禍前の2019年同月と比較して約66%まで戻ってきました。東京・京都その他の観光地は今や外国人観光客で溢れ、空港でも入国審査の列が相当なものだと日本の同業関係者の方々から聞き及んでいます。現在私が必死になってプランニングしているコロンビア人のお客様方も6月から順次日本へ向かう事になっています。

コロンビアを訪れる外国人観光客数も再び上昇傾向にあり、2023年第一四半期に来訪した外国人数は約106万人で前年2022年比47%アップとなりました。首都ボゴタの旧市街地区その他の観光スポットでは今や多くの外国人観光客の姿を容易に見かけます。団体旅行は日本を含むアジア圏旅行者特有のパターンなのかと言えばそうではなく、ボゴタでもドイツやアメリカその他からの団体グループがひとかたまりになって歩いている他、外国人個人旅行者の数も相当増えてきている事を実感しています。コロンビアはもはや「危険な国」というよりも観光地として完全に認知されているのは確実です。

他方、2023年3月の日本からの日本人出国者数は約70万人、これもコロナ禍前の2019年同月と比較してたった36%にとどまっているという発表もありました。前述の外国人入国者数が約70%水準まで戻って来たという状況に相反する、かなり厳しい現実です。ボゴタの観光スポットでもやはり日本を含むアジア系の観光客の姿はほぼ皆無に近い状況です。

私自身はこの地に住み始めてから既に25年が経ち、この間多くの日本人観光客の方々をご案内してきました。最初の10年ほどはコロンビア国内がまだ最危険国だった事もあり国外から観光で訪れる方の数はそれこそ年間数組程度でしたが、治安の良化に伴い昨今ではコロンビアを観光するのに何ら抵抗なく訪れる日本人の方々がかなり多くなってきました。その数は年々右肩上がりになって来たばかりでしたがコロナ禍に巻き込まれ、再び一からやり直しのような状況になってきています。

こちらは2018年6月にワールドクルーズの途中で世界遺産の古都カルタヘナに寄港した日本の豪華客船「飛鳥II」です。この時には約700名のお客様方をお迎えし、カルタヘナ市内観光各ツアー手配の総責任者として無事大役を果たしました。私が今までご案内した日本人の方々で一度にお迎えした数では勿論この時が過去最多です。飛鳥IIワールドクルーズはこれ以降今年に至るまで残念ながらワールドクルーズを行っておらず、再開・コロンビア寄港を心から待ち望んでいる次第です。

私が普段ご案内している日本人観光客の方々は昔も今も個人旅行で来訪されるケースが殆どで団体ツアーの取扱は殆ど行っていません。しかしながら個人・団体を問わず再び日本人の方々が一人でも多く未知の国・コロンビアを観光で訪れて頂く事を願ってやみません。