『ブラジルへの郷愁』 レヴィ=ストロース | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ブラジルへの郷愁』 レヴィ=ストロース


世界的なフランスの社会人類学者であるレヴィ=ストロースは、アマゾン奥地のインディオたちを調査し、それとの出会いを綴った名著『悲しき熱帯』(中央公論社)で名高いが、本書は1930年代半ばのブラジルの様々な姿を撮影した特異な写真集である。

まだ開拓の最前線都市であったサンパウロに滞在し、市の北東約300kmにあるブラジル最高峰イタティアプ山(標高2800m近い)を訪れ、大部分未開拓地であったパラナ州やゴイアス州への旅、そして鉄道と道無き道を自動車と馬、舟によってたどり着いたマトグロッソ州奥地のナンビクワラ族などのインディオ集落、そこで自然の中で生きる人々の生活の1年にわたる探検調査行の写真が中心だが、帰途立ち寄ったボリビアのコチャバンバ、サンタクルス、そしてバイアやビトリアの古き時代の写真も収録されていて、訳者の懇切な解説によりその現代的な意味も明らかにされている。

本書は、1995年に同じ訳者でみすず書房から出た『ブラジルへの郷愁』を、新たな翻訳出版権によりコンパクトな判型で刊行したもの。

(川田順造訳中央公論新社2010年10月233頁2800円+税)

なお、レヴィ=ストロースのこの時のブラジル行きの際には、当時のサンパウロの写真も撮って出版しているが、それを紹介した下記の訳書も出ている。

『ブラジルから遠く離れて 1935−2000 クロード・レヴィ=ストロースのかたわらで』

http://www.latin-america.jp/modules/bluesbb/thread.php?thr=190&sty=1&num=l50#p205

『サンパウロへのサウダージ』クロード・レヴィ=ストローズ今福 龍太訳・著

http://www.latin-america.jp/modules/bluesbb/thread.php?thr=157&sty=1&num=l50#p172